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日本製鉄の釜石工場を見学してきた。
(正確に書くと、日本製鉄株式会社 北日本製鉄所 釜石地区)

釜石駅前にでーん、とある。
駅前といえば駅ビルで、
買い物や食事ができるというのが定番だけど、
駅ビルじゃなくても駅前ではそんなお店とかパチンコ屋とか、
人が集まってくるような施設があってもよさそうなんだけど、
釜石駅前には工場がでーん、とある。

実際には食べるところもお土産物屋もあるんだけど、
駅前でーんのインパクトが強すぎて、
ショッピングやグルメの印象とか記憶が残らない。

ところで、工場は何をつくっているんだろうか、
なぞだった。
1989(平成元)年に高炉を止めてから、
鉄をつくってないことは知ってる。
じゃあ何をつくっているんだろうか。

ホッチキスだった。

ホッチキスの針(芯?)の原料となる鉄の細い細い「線材」と呼ばれるものをつくっている。

日本製鉄の君津の工場でつくられる「ビレット」という、
長さ18メートル重さ2トンの鉄の棒を、
1100℃で加熱して、
ギューギュー引っ張って細く細く伸ばしていく。

そうしてできた「線材」は、
タイヤの中に仕込まれているスチールコードになったり、
超巨大な橋を吊り下げるケーブルになったり、
あみあみのフェンスになったり、
釘やボルトになったり、
ホッチキスの針(芯?)になったりする。

ここまで細くやわらかく加工するためには、
線材にキズやムラがあってはならない。
このキレイに伸ばす技術が超重要。
そこは1886(明治16)年創業の伝統的なものづくりの力、
と、最先端の技術の組み合わせ。

工場の中には
「伝統と改革のものづくりで
目指せ世界のKAMAISHI。
ひとりひとりが挑戦者」
と書いた看板があった。

いまでも4交代24時間の操業。
釜石ラーメンが極細麺でうす味なのは、
製鉄所で働く人たちが、
早く茹で上げてさっさと食べられるように。
夜勤明けでも酔ったあとのシメにも食べられるように、
ということを聞いたことがある。

ラーメン食べたくなってきた。

ちなみに、敷地内にある発電施設は、
岩手県内唯一の火力発電所であり、
県内発電量の約40%をここでまかなっている。

ものづくりと発電と。
釜石にとって超需要だから、
駅前にでーん、としているのだった。

0.2mmまで細く伸ばせば釜石からサンフランシスコまで届く長さになる
ホッチキスのあれは「針」なんだろうか「芯」なんだろうか