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森のようちえんと保育園留学

『日本の森のようちえん』という本を読んでいる。

「森のようちえん」ってなにかというと、
自然の中で子どもたちが自由に遊びながら学ぶ。
スウェーデンやデンマークなどの北欧諸国で始まり、
世界中に広まりつつある教育モデル。

特徴は、
(1)自然環境での活動
森や林、公園などの自然環境で活動する。
教室や室内ではなく、屋外で過ごすことが基本。

(2)自由な遊び
子どもたちは自分の興味や関心に基づいて自由に遊ぶ。
たとえば木登り、川遊び、虫捕りなど、自然の中での遊びが中心。

(3)自主性と創造性の育成
自然の中での遊びを通じて、子どもたちの自主性や創造性が育まれる。
指導者はあくまでサポート役で、子どもたちの自主的な活動を尊重する。

(4)五感の発達
外での活動を通じて、子どもたちは視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚
の五感をフルに使い、自然の中での体験を深める。

(5)環境教育
自然との触れ合いを通じて、
子どもたちは環境保護や自然の大切さについて学ぶ。

山形県小国町

日本にもけっこう全国的に森のようちえんがあって、
『日本の森のようちえん』では、
森のようちえんをつくった園長さん17名が、
みんな同じ質問に答えるかたちで語っている。

Q1 なぜ森のようちえんをつくったのですか?
Q2 子どもたちにどんな成長をしてほしいですか?
Q3 森のようちえんで何をめざしていますか?
Q4 何を心がけて子どもたちに向き合っていますか?
Q5 保護者に伝えたいこと
Q6 あなたにとって森のようちえんとは?

奈良県天理市の園長さんは、

森のようちえんは、気持ちよく失敗ができる場です。

奈良県天理市 森のようちえんウィズナチュラ 岡本麻友子さん 『日本の森のようちえん』p80


といっている。
それは、子どもも大人も。
大人だって自然の中で遊ぶのは慣れていない。
転ぶし、ぶつけるし。
焚き火の火だってスムーズにおこせない。

そもそも、失敗しないように生きている。
失敗すれば怒られるとパターン付けている。
失敗すれば他人に迷惑をかけると恐れている。

気持ちよく、失敗ができるところ、なんてそうそうない。

島根県智頭町の「空のしたひろば すぎぼっくり」(2015年)

島根県智頭町の森のようちえんを見学したときは、
子どもたちに対するNGワードは「ダメ」、と聞いた。
「ダメ」といってはダメ。
子どもたちがやろうとしていることをサポートする。
もしうまくいかなかったり、
もし危ない目にあったら、
そこから子どもたちは学ぶことがある。

いま、保育園留学、というのが少しブームになりつつあるようだ。
都市部の子どもたちが地方の保育園や幼稚園に一定期間通う。
都市では味わえない自然体験や地域の文化に触れることができる。
大人はその間、リモートワークをしている。
ワーケーションをしている。

保育園留学と森のようちえんは、非常に相性が良さそうだ。



『日本の森のようちえん 自然の中で感性が育つ』 内田幸一編 ミツイパブリッシング 2023年