虎が舞う、家族の無事を祈って
「虎舞フェスティバル」を見にいってきた。
釜石では、獅子舞じゃなく虎舞。
舞うのは獅子ではなくて、トラが舞う。
市内の地域ごとに、それぞれ独自の虎舞チームがあって、
住宅街の平田(へいた)には「平田青虎会」、
スタジアムがある鵜住居には「鵜住居青年会:、
小さいけど優良な漁港の白浜には「白浜虎舞好友会」、
とか。
それぞれのチームが、古くは創設200年超えていて、
えらく伝統のある住民団体だ。
舞のお囃子には、大太鼓小太鼓、笛、がドンツキドンツキピーヒャラピーヒャラ、
そこにテビラ金と呼ばれる小さなシンバルがチャンチャンチャンチャン、
掛け声も合わせてリズミカルに、観ている人たちを興奮させる。
団体によっては、お囃子に子どもたちも混じったりしているので、
興奮と同時にほんわかとした気持ちにもなる。
釜石虎舞の由来は、鎌倉時代に鎮西八郎為朝(ためとも 源義朝の弟、頼朝と義経の叔父)が、
武士たちの士気を鼓舞するために始めた、といわれている。
江戸時代になって、東北の豪商前川善兵衛(通称吉里吉里善兵衛)が、
江戸で近松門左衛門の歌舞伎『国性爺合戦』の虎退治の場面に感動。
地元の創作舞踊として、お囃子をつけて神様に奉納した。
三陸海岸にはいまも昔も漁師が多く、
漁師は「板子一枚、下は地獄」といわれ、
海難事故も多く(これはいまも変わらない)、
漁師の家族にとっては、無事に帰ってきてくれることが一番だった。
そこで、虎は「千里行って千里帰る」ということわざがあることから、
漁師たちが事故なく帰ってこれるように祈り、
沿岸の漁民たちの間で広がっていった。
という由緒であり由来であるけれども、
きっちりと記された記録がなく、
口伝として代々伝えられてきている。
わたしが住んでいる只越町にも「只越虎舞」がある。
釜石市内14団体のうち、ただひとつだけ、白虎が舞う虎舞。
アパートの近くに「只越虎舞」の集会場がある。
なんか、誇らしい気分になった。