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【釜石ごはん】素朴であたたかい地元の食堂

移住者にして釜石の美味しいものを知り尽くしているがんちゃん #feriskamaishi といく釜石美味しいものめぐり「釜石ごはん」。
今回は「三重食堂」。
みえしょくどう、と読む。

オススメのお店、だった

埼玉県出身のがんちゃんは、釜石に来る前に
「釜石にいったら必ずいくべき美味しい店」
のひとつとして、釜石を知る人から勧められたという。

お店にはいると、畳1枚幅の細い小上がりがあって、
2人用の小さいテーブルがふたつ。
フロアにも4人がけのテーブルふたつ。
カウンターには丸イスが3つ。

それぞれにお客さんがいたけど、
運良く小上がりのお客さんが食べ終わって帰るところだったので、
そこに着席して注文を取りに来てくれるのを待った。

ところが、いつまでたってもお店の人は来ない。
ああ、となにかを思い出したがんちゃん。
くつをつっかけて厨房の方にいき、
「ラーメンとミニ他人丼セットお願いします。
セットのラーメンは大盛りにできますか?
ん? できる?
じゃあ、セットのラーメンは大盛りで」

いつものことだが、がんちゃんよく食べる。
そしてこれもいつものことだが、釜石の人たちはよく食べる。
三重食堂にいるお客さんたちは、
みんなミニ丼セットか、おにぎりか半ライスをサイドオーダーしていた。
炭水化物+炭水化物。夢のユニット。

エアコンはあったけど、スイッチは入ってなかった。
ウクライナのように暖房なし。
食べれば暖かくなるという理屈で、
みなさんコートを着たまま食べ始めて、やがて脱ぐ人もいれば、
着たまま食べ終わっていく人もいた。

素朴な味、である

ほどなく、ラーメンとミニ丼セットがきた。
注文してから料理が出てくるまでわりと時間がかかる釜石にしては、
とてもスピーディな対応。
もちろん、ミニ丼はつくりおきとかチンものではない。

調理担当のおばちゃん、さすが。

ラーメンは釜石ラーメンだから、麺は極細、スープはあっさり。
メンマと肉と海苔がのっかってて、430円。
安い!
壁にあるお品書きの、値段のところは白い紙で上貼りしてあるから、
値上げしたんだろう。
しかもよく見ると、上貼りが二重になっているので、
二回の値上げを経て430円。

で、この味は納得する。
素朴な味、としかいいようがないラーメン。
美味しくないことはない。
どっちかというと、やや美味しい。
イヤホンでなにか聴きながら食べたり、
スマホをいじくりながら食べると、
いつの間にか食べ終わってた、という感覚になるかもしれない。

だけど、二度の値上げをしてもラーメン430円、ミニ丼セット630円の価格なのは、
お店の雰囲気と同じ、さりげない努力の賜物だろう。

さりげなさがあたたかい

さりげなさといえば、三重食堂は4月公開予定の映画『釜石ラーメン物語』のメイン舞台。
にもかかわらず、それを全面に押し出したりはしていない。
ただポスターが貼ってあるだけ。
ポスターといっても、去年の12月3日に釜石の市民ホールで上映会をやった、
そのときの宣伝用のポスター。
いろんなお店に貼ってある。
もちろん、出演者たちのサインはちゃんとポスターのそばに添えてあるが、
有名人たちの震災前からのサインもあるような
たくさんあるサインたちのいち部分、って感じ。

雰囲気も味も素朴な三重食堂。
お店を出ると、横殴りの風で雪が降っていた。
食べているときから、なんか暗くなったなあとは思っていたけど、
まさか雪が降っていたとは。

雪が降ってても寒くない。
わたしの身体は釜石ラーメンであたためられていた。