こすもす公園が閉園した。
「役割は終わった」、と。
6月23日に、開園10周年を祝った。
一週間後、6月30日が最終日だった。
こすもす公園には、大きな壁画がある。
幅43メートル、高さ8メートル。
もとはとなりの工場のカベだった。
(いまでも工場のカベではあるけど)
うす黒く、いかにも町工場然としていて、
ある雨の日、遊びにきた女の子が、カベの様子をとても怖がった。
その日の夜、夢を見た。
大津波に襲われて、必死で逃げてやっとこさ助かった、
あの日の夢だった。
その話を知った公園のオーナーの藤井さん夫婦は、
そのカベにあかるい絵を描くことを心に決めた。
壁画を描くことを、工場の社長に語り、いろんな人に語り、
子どもたちに語り、
画家を探し、寄付を募って、
みんなが「希望の壁画」と呼ぶ、あかるい絵ができあがった。
その壁画は、近くを走っている釜石線の列車の中からも見ることができる(くらい大きい)。
わたしは東京から釜石に来るとき、
その壁画に「また来たよ」と心のなかで挨拶し、
東京へ帰るときには、「また来るね、ありががとう」といっていた。
うっかりしていると通り過ぎるので、
その場に来るまでソワソワソワソワして落ち着かなかった。
希望の壁画には、本名がある。
「再生 太陽の国」
たくさんのひかりがさす場所
こどもたちのわらい声がきこえる
しあわせをはこぶ鳥たちが空を舞い
ゆたかな大地をやくそくしてくれる
ここは太陽の国
こどもたちのたくさんの未来が
しあわせにつつまれるように
鳥たちはとびつづけ
再生の木々が芽をだす
(画家 阿部恭子さん)
こすもす公園は、
復興期のこどもたちのために遊び場を提供する、
という目的を達成して閉園した。
けどこすもす公園は、太陽の国として残っている。
誰でも入れる太陽の国、
遊んでおしゃべりができる太陽の国、
明日へつなげる、恩送りの太陽の国。