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ロシアに出現したチュパカブラ的な怪物の話など/南山宏・ちょっと不思議な話

「ムー」誌上で最長の連載「ちょっと不思議な話」をウェブでもご紹介。今回は2013年6月号、第350回目の内容です。

文=南山宏

コイ氏のコイ

 英リンカンシャー州ゲインズバラはグレイ通りの元溶接工ジョン・コイ氏(73歳)は、自宅の庭の水槽にいつのまにか、コイが2匹泳いでいるのを発見して驚いた。
「たぶんサギかトンビあたりが巣まで運ぶ途中で落っことしたんじゃないのかな。それにしても私の名前を考えると愉快だね」
 えっ? とは思わないでいただきたい。ヨーロッパでは、和鯉は地元のヨーロッパ産と区別されて、そのままコイで通用する。
 それどころかマニアの間では、″コイの御三家″紅白・大正三色・昭和という品種名も、コーハク・タイショーサンショク・ショーワで通るのだ。
 もっともコイの数え方は″匹″や″尾″のほかに、独特の″折(おり)″(折り箱に入れる高級魚の意)もあることまでは、さすがに海外の人たちも知らないだろうが――。


返り撃ち

″狩る者″が″狩られる者″になった。
 ベラルーシのフロドナで40歳の猟師(氏名不詳)がかなりの遠方からキツネを仕留め、走り寄ってまだ息のあるキツネに散弾銃の台尻でとどめを刺そうとした瞬間、キツネの必死にひくつかせる前足の先が引き金にかかって、ズドンと猟師の脚を撃ち砕いた。
 2011年1月15日付AP電によると、キツネは逃げ去り、重傷の猟師は病院に担ぎ込まれた。


トゥモローランド

 主演ジョージ・クルーニー、監督ブラッド・バード、そしてタイトルと公開予定日以外はいっさい伏せられたまま、目下極秘に製作進行中のディズニー映画超大作『トゥモローランド』をめぐって、世界中の映画ファンはむろんだが、なぜかUFOファンまでがあれやこれやと憶測を逞しくしている。
 理由の一端はこの映画、つい去年末までは『1952』という仮題で進められていたことにある。
 また周知のようにトゥモローランドは、東京版を含めてどこのディズニーパークでも、未来や宇宙を扱った人気のテーマランドだ。
 ある者はディズニーランドの伝説的な企画立案部門の創設が1952年、という事実に注目する。
 別の者はつい昨年、ディズニー社が『スター・ウォーズ』と『インディ・ジョーンズ』両シリーズを創ってきたルーカスフィルムを傘下に収めたことから、『スターウォーズ』の新作エピソード7ではと推測する。
 とくに面白いのはUFO関係者の憶測で、もともと同社の創業者ウォルト・ディズニーとUFOとは、1950年代から秘かな因縁があったとされているのだ。
 当時、米政府高官が内密にウォルトに接触し、UFOの真実に関する映画の製作を依頼したが、結局、実現しなかったという。
 さらにUFO史上、1952年はとくに重要な年とされている。
 第1に、米空軍のUFO専門調査機関プロジェクト・ブルーブックが、1952年春に発足した。
 第2に、同機関発足後まもない1952年7月、首都ワシントン上空に連日UFOの大群が出現、レーダーにも捕捉され、戦闘機が緊急発進する大事件が起きた。
 さらに1947年のロズウェル事件直後、時のトルーマン大統領の命令で直属の最高機密調査機関MJ-12が結成されたことが、ずっと後年になって明るみに出たが、このMJ-12を次期大統領アイゼンハワーに引き継がせる概況説明文書の作成日付が、やはり1952年11月18日と記されていたのだ。
 はたして『トゥモローランド』はUFOファンが期待するような本格的なUFO映画なのか?
 答えは大々的な世界いっせい公開が予定されている2014年12月半ばまで待たねばならない。


ロスト・イン・トランス

 2012年6月15日付「CBSニューズ」電子版によれば、カナダはケベック州シェルブルックの私立学校コレージュ・デュサクレカールで、学期末行事として行われた心理実験の最中、催眠術をかけられたティーン少女全員が、何時間たっても目覚めなくなった。
 12歳から13歳の少女たちは、みんな机の上に突っ伏すか、目を見開いたまま動かなくなったのだ。
 新米催眠術師のマキシム・ナドー(20歳)は大慌てで師匠のリチャード・ホイットブレッド氏に助けを求め、プロ術師の氏は仕事先のダンヴィルから車を1時間飛ばして駆けつけるや、パチンと指を1回鳴らしただけで、少女たちをトランス状態から解き放った。


ロシア版チュパカブラ

 ロシアの〈エクスプレスガゼッタ〉紙2011年6月24日付によると、同年春から初夏にかけて、南ウラル地方に″チュパカブラ″とおぼしいUMAがひんぴんと出没して、住民を震え上がらせた。
 目撃証言を総合すると、サイズは大型犬ぐらいで、口には鋭い歯が並び、目から″突き刺すような光″を放ち、ヒツジ、ウサギ、ニワトリ、ブタなどが次々に襲われてズタズタにされたとか。
「夜だったのでちらっと見ただけだが、恐ろしい顔の怪物だった。そいつは後ろ足で立っていた!」
 目撃者のひとり、ニコライ・レギンツェフは唇を震わせる。
「急いで温室に逃げ込んで、朝になるまで隠れていたよ。あとでウサギの死骸を見つけたが、血がすっかり吸い尽くされていた」
 ロシア版チュパカブラはとても逃げ足が早くて、捕獲しようとしてもとうてい無理だろうという。
 不思議なことにこのチュパカブラに限って、どこに現れても番犬や牧羊犬たちは吠えないそうだ。
 肯定派の動物学者は、イヌ、オオカミ、キツネ、タヌキなどロシアに棲息するイヌ科動物の突然変異種(ミュータント)の可能性を主張している。


モグラにダイナマイト

 ポーランドはズバッシネク市のズビッセク・ジオラ老人(65歳)は、自宅の前庭に侵入して見事な芝生を台無しにしたモグラたちに怒り、2012年3月のある真夜中、兵士の息子が基地から盗み出したダイナマイト15本を使って、猛然と反撃を開始した。
 だが、予想以上に凄まじい爆発から逃げ遅れて吹っ飛ばされ、爆発音に叩き起こされた妻が庭に出ると、ズビッセク氏の体は芝生の上にバラバラに飛び散っていた。


(月刊ムー2013年6月号掲載)

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