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蝙蝠

僕は夜行性である。
夜になると視界に入る情報が少なくて嬉しい。
より聴覚が研ぎ澄まされる気がして、
話口調や言葉がより夜モードになる。
夜にかけて昼から変わっていくのが好きだ。
昼にはこの世界にいたくない時もある。
そんな日は夜まで寝かせてやる。
熟成肉の様な感覚だ。

夜は何かとワクワクさせてくれる。
街のキャストが昼と夜で入れ替わるのだ。
好きな夜のシーンを、いくつか挙げてみる。
東南アジアのナイトマーケット、
程よく友人と酔っている時に散歩する繁華街、
浴衣を着た花火大会、
離島の船から見た海辺のランタン、
仕事終わりの解放された自由時間、
好きなタイ料理屋のメニューも夜になれば
好きなものが出てくる。
夜になると小説を読みたくなるし、
人と話したくなる。
気になるんだ、人が何をしているのか?

太陽は裏側へ、影の時間、月が照らしている。
鮮やかな色の灯りが街を照らし、
街が魅惑の雰囲気を纏い出す。
平安時代では黄昏時は逢魔時と呼ばれ、
魔物に遭遇する時間や、
災いをもたらす時間帯として信じられていた。
魑魅魍魎、百鬼夜行、
夜の怪奇的な雰囲気が実体化していく。

今日地球の夜は明るくなっている。

どこもかしこも程よく影を落としている。
裏路地なんかは何かが潜んでいて、
もの悲しげに映ったりもする。
昼とはまた違う表情で街を歩く人々。
みんな夜に備えて昼を過ごしている。
夜から1日が始まる人もいる。
今日の僕の様に。

そう言えば東京に来てからは
仕事柄、夜がメインの生活をしている。
僕が海辺で寝泊まりをしていた時は
昼が好きだった。
今は嫌いというわけではないが、
どちらかと言えば夜が好きである。
当時は昼を魅力的に感じさせてくれる環境が
あったからそうだったのだろう。
不規則な生活をしていると、
月末には大抵どこか無気力になった様になる。
半ばまでは調子が良いのだが、
断続的でむず痒い。
今月も残りわずかだ、出会う人、友人、家族に少しでも分け与えれる事が多ければと思う。

今日は休みの日で夢が面白くて、
ついつい目を閉じている時間が多かった。
続きが見たくて、思い出そうとするのだが、
どうも夢というのは覚めると
もう戻ることが難しい。
緊張感がありながらも
仲間達がいて楽しかった。

そして散歩をしながら友人と会話を
振り返ってみる。
音楽の話をしていたな、
体格差によって音楽の性質の違いがあったら面白いよねなんて、確かにラッパーやDJ、ヒップホップのカルチャー以外にあんまりマッチョな人は見た事がないもんな。
スポーティーな印象が強い。
筋肉を肥大化させて強さや美をより際立たせる。
筋肉は裏切らないという口癖のマッチョ友達がいて、マッチョ友達と言うと僕もそうみたいに聞こえるがまだ違う。

そして夜中、阿佐ヶ谷に昭和レトロ感のある
喫茶店を見つけてそこに居座っていた。
ずっと行ってみたかった。
聞こえてくる会話のトーンもBGMも
店に合っていて居心地が良かった。

そして返信を返しながら少し電話をしようと思いビールを買って僕たちは出会った時の話をした。

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