育児書には、生後1ヶ月くらいになったら散歩をはじめましょう、とある。新米の母である私は、とりあえずその通り、午前中の母乳と母乳の間に散歩することにした。 しかし、こんなに小さな赤ちゃんを外に連れ出すのは、近所の公園までとはいえ、いつも少し不安があった。私が赤ちゃんの頃には、こんな風に毎日散歩とかしなかったと思うのに。毎日5~6回の授乳や寝かしつけでフラフラなのに、そのうえ散歩なんて。 晩秋の頃、いつものように赤ちゃんをベビーカーに乗せて戸越公園に向かっていると、隣を通
息子は、保育園へ通うようになってから、目やにが出るようになってしまった。眼科で診てもらうと、鼻涙管が細くて詰まりやすいのが原因で、成長すると管が太くなって自然に治ることが多いので、最近はすぐには手術せず様子を見るようになっているとのこと。息子も目薬を使いつつ様子見することになった。 というわけで、眼科の常連になったが、朝の眼科はとても混んでいるし、待合室は大人ばかり。幸い、息子は近くの防災広場の井戸が大好きだし、少し歩けば戸越公園もあるので、受付の方に待ち時間を聞いて、外
大きな丸い花壇の中に、「ひだまり公園」の看板。花壇の周りは木のベンチが丸く囲っている。公園と名付けられているものの、あるのはそれだけ。ただ、そのベンチに座る人は結構いるので、憩いの場としての公園の役割は、充分果たしていると思う。いつもきれいな花が手入れされている。 商店街の交差点の一角に、ひだまり公園はある。ベビーカーを押しながら横を通りかかると、座っていたご婦人が、「かわいいね、何歳?」と声を掛けてくれた。「2歳です」と答えると、「大変ね。すぐ大きくなるから、頑張って
よく晴れた日、ブーブー公園の隅で3歳の息子がシャボン玉をしていると、上から声が降ってきた。 「ああ、シャボン玉。」 「ほらもっと、もっと。」 どこから聞こえてくるのだろう。 「ほら、こっちだよ~」 見上げてみると、 「あ、あそこから。」 なんと、向かいの家の2階のベランダから、ご婦人が息子に話しかけてくれていたのだった。 2階に届くように、何度も大きく息を吸ってはシャボン玉を吹いていると、ゴミ収集車がゆっくりと角を曲がってきた。開いた窓から作業員さんが顔を出して、 「よ
冬の陽が落ちた頃、子2人を連れてオオゼキを出た。もう真っ暗だね、と帰ろうとしてスーパーの袋を持ち上げたところ、抱っこ紐に入った下の子が、袋から伸びた長ネギの青い部分をグニッとつかんだ。 しまった。 私は両手がふさがっているし、1歳の手はつかんだものを容易には離さないと分かっている。しかし、潰れた、いかにも臭いそうな長ネギをこのままつかませておくわけにはいかない。そこで、隣にいた上の子に頼んだ。 「ねえ、青ネギつかんじゃったの、取り上げてくれる?」 「いいよ!」 5