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鹿児島~熊本旅行② 出水市 東雲の里 草の居、季節外れの曽木発電所遺構

鹿児島~熊本旅行の2日目。朝、昨夜より少し大きくなったような川の音で目を覚ますと、外は雨が降っていた。朝食を食べ、チェックアウトする。

一味でもない、七味でもない三味唐辛子「ひらめき」

近くに8:00から営業している道の駅「ひらかわ屋」があったので寄ってみた。以前は日帰り温泉もあったそうだが、現在は残念ながら休業とのこと。

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店先に大量の高菜が積まれていたので値段を見てみたらなんと5束ほどで100円だった。とんでもなく安い…。

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店内は地元の農産物がたくさん並んでいた。そんな中、「ひらめき」という調味料を発見したので購入してみた。材料はミカン、鷹の爪、白ゴマの3つでできている。一味唐辛子や七味唐辛子の中間。三味唐辛子ともいうのだろうか。自宅で使用したところ、なるほど、七味を使うほどでもなく、一味でも物足りない時に使えそうだった。

次に、昨晩飲んだ「紫尾の露」がとても美味しかったので、ぜひ蔵に行ってみようと思い「軸屋酒造」を目指す。

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途中、明らかに財宝が眠ってるなコレという場所を見つけるも、シャベルとかを持ってきていないので諦める。

仕込み水が飲める 「紫尾の露」軸屋酒造さん

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軸屋酒造さんはひらかわ屋からほど近いところにあった。隣には植園酒造さんという「園乃露」を造られている小さな蔵もあった。良い水が沸いている地域なのだろう。昨晩、園乃露も飲んでおけばよかった…と後悔。軸屋酒造さんの方にだけ寄ることにした。

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蔵はかなり大きな規模だった。もろみの香りだろうか、甘くていい香りが漂っている。事務所へ顔を出すと、商品も購入できるようだったので、珍しい陶器ボトルの四合瓶の「紫尾の露」を購入した。

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蔵の方と少しお話したところ、事前に連絡すれば蔵の見学もさせてもらえるようだ。次に訪問する際にはぜひとも連絡して蔵見学をしたいところだ。

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駐車場の脇にふと目をやると、「感謝の水」という水くみ場があった。近寄ってみると、仕込み水として使われている水を飲めるそうだ。

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一口飲んで驚いた。まろやかすぎる。すこしだけとろっとしていて、喉で消えるように溶けていくような感覚。大げさに言うと、あれ?俺、水飲んだよな?という錯覚してしまう感じ。温度もじつにちょうどいい。

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あまりに美味しい水なので、夢中で飲んで1リットル近く飲んだかもしれない。ぜひ次の再訪時には、空き瓶を用意して、紫尾の露を購入して仕込み水で前割りするという贅沢なことをしてみたいと思う。

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但し書きにも、前割焼酎を作ることを考慮されて書かれている。いやー、これはやるべきだった…こうして文章を書きながら、なぜこの時にその発想が無かったのかと悔やまれる。

自宅に帰ってから、植園酒造さんについても調べてみた。宿泊した「しび荘」では、「紫尾の露」の他に「夢鏡」も飲んで大変おいしいなと思っていた。そして自宅で調べてから「夢鏡」は植園酒造さんだったということが分かった。なんと…

話が脱線するが、「夢鏡」で思い出したことがある。今から15年ほど前、私は当時大学生で居酒屋でアルバイトをしていた。最近居酒屋を新規開店したオーナーがよく飲みに来られていた。当時は焼酎ブームが少し落ち着いた頃だった。そのオーナーは、店が全然流行らない、お客さんが来ない、どうしようと嘆いていた。私の店の店長がいろいろアドバイスなどをしたり愚痴を聞いていたのだが、ある日ぱったりと来なくなった。店長に、「あのオーナーどうしたんでしょうね?」と聞いたら、「いやあ最近、『夢鏡』っていう焼酎を取り扱い始めたらお客さんがめちゃくちゃ来るようになって、大繁盛してるらしいよ。」とのことだった。このエピソードを持って植園酒造さんに行くべきだった…。

つるつるする湯の「針持温泉」

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軸屋酒造さんを後にし、車を走らせると「針持温泉」という温泉を見つけた。特に約束の時間があるわけでもないので、立ち寄ることにした。開店の10分前くらいだったが、快く受け入れてもらえた。

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泉質は昨日の紫尾温泉とはちょっと違っていて、こちらは硫黄臭はなかった。さらりとした感じで、あまりヌメリはなかった。露天風呂はぬるめで、長湯をしたくなるお湯だった。なんでも、「つるつる美肌美人の湯」らしい。420円ほどの入浴料でサウナも入れる。素晴らしい…

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休憩コーナーもとてもきれいだった。時間があれば半日はだらだらと過ごせそう。

季節外れの曽木発電所遺構

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次に向かったのは、明治時代に建てられた水力発電所の廃墟が見れるという「曽木発電所遺構」だ。以前、ネットの記事を見て大興奮していつか行ってみたいと思っていたスポットだった。(この記事も、今回旅のメイン「草の居」の記事を書かれた横田ちえさんの記事だ…!)

絶対に夏に行くべきスポットだとはわかっていたものの、季節外れだから誰もいないだろうし、「ほとんど水に沈んでたけど、先っちょだけ見えました!」なんてのも一興だろうと思い、とりあえず行ってみることにした。白樺の美しい林の中を進んでいくと…

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発電所が見えた!まったく見えない事も想定していたので、思わず叫んでしまった。

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展望所からは全景を見ることができた。こうして水につかっている姿は、いよいよ役目を終えてる感が強い気がする。また、「カリオストロの城」の最後のシーンで登場した、湖の底から姿を現した神殿風にも見える。夏はラピュタ、冬はカリ城。

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説明文を見ると、建物は1909年に建てられたものだそうだ。今からおよそ100年前。当時は国内最大級の発電力だったそうだ。昭和40年(1965)に操業を停止したというので、56年ほどで役目を終えたことになる。国内最大級とはいえたったの50年ほどで役目を終え、100年で完全な廃墟になっている。諸行無常感ある。

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曽木発電所遺構を後にし、草の居に向かう途中で「霧降の滝」の看板を見つけたので立ち寄ってみる。途中、ソーラーパネルの大群があった。曽木発電所遺構を見た後だと、これまで見慣れていたソーラーパネルがとても異質なものに見えてしまった。これらはきっと50年もせず役に立たなくなるだろう。これらが、100年後、観光地として再び注目されたり、再活用することはできるのだろうか。

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霧降の滝は少しだけ見えた。思ったより遠目にしか見えない。下に行けるのかな…?天気も悪かったので、早々に引き上げた。

風景を食べる蕎麦 東雲の里 草の居

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霧降の滝から30分ほど車を走らせ、東雲の里 草の居に到着した。一番下にある、遠いの駐車場から歩いてみる。やや急な坂を息を切らしながら上りきると、ぱっと鮮やかな紫色の花が目に入った。つつじだろうか。花が「ようこそ」と出迎えてくれたようでうれしかった。

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奥に進むと、つつじも増えた。三本の杉が見える。

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暖簾をくぐり、店内に入った。ストーブが焚かれていて温かい。私の他にお客さんはいなかった。平日の木曜日の、まだお昼になるかならないかという時間だ。ましてや、世間はコロナウイルス騒動のさなかでもある。お客が少ないのは当然だろう。窓際の席に座らせてもらった。

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お腹がだいぶ減っていたので、蕎麦、玉子焼き、ケーキセットを注文した。おにぎりもあったが流石にそこまで食べれないだろう…と思ったので持ち帰りを打診したところ、快諾していただけた。せっかくここまで来たので、いろいろ食べてみたい。

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注文した後、しばらく店内を見渡す。このストーブも、きっと店主の手作りだろう。店の物のひとつひとつに、魂が宿っているような気がする。正直、この空間を独り占めできてうれしい。

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蕎麦が運ばれる前に、前菜が出てきた。たけのこ、大根の甘酢、わらび。驚きの声を上げると、「あら?初めてですか?」と聞かれたので、横田さんの記事を見て東京から来たことを伝えると、大変お喜びになられた。「ぜひ後で主人と話してみてください」とおっしゃられて、奥からご主人と喜ばれているやりとりが聞こえる。

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前菜はどれもおいしかった。たけのこはほんの2~3センチの若いもので、ほろ苦さが春の訪れを感じさせてくれる。わらびは少し早い気もするが初物だろうか?素朴な味付けで、私の好みだ。蕎麦にも期待がふくらむ。

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蕎麦が到着した。そば粉のみの、十割蕎麦だ。確か出水市の蕎麦粉とおっしゃられていたような…「塩で食べてもおいしいですよ」とのことだったので、まずは塩を少し振って啜ってみる。グッとした歯ごたえで、蕎麦の香りがしっかりしている。優しい甘みがあって、とてもおいしい。そばつゆは甘辛く、蕎麦の味を引き立たせてくれているように感じる。

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玉子焼き。玉子の味がしっかりしていておいしい。桜の木で作ったナイフもいいし、玉子焼き用のお皿も素敵。

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ケーキセットが到着するころ、ご主人が見えられた。とても気さくに話しかけてくださって、お話し好きなのかたくさん話した。山起こしの事、山で暮らすにはは犬と共存するしかない、陶芸の事…

途中ではっとしたのは、「人間、誰しも年を取る。そしたらどうするかを考えて今から動かないといけないよ。中途半端はいけないよ。」という事だった。なんでも浅く手を付けて中途半端にしがちな自分には耳が痛かったが、このお店を見ると、これだけの事をした方に直接そんな言葉をもらえるなんて貴重な体験はなかなかできない。自分を変えるべきタイミングなのかも、と思った。

気が付くとお店に来てから2時間近く経過していた。外に出ると雨は上がっていた。ギャラリーを見せてもらい、最後にいくつかある展望台を回って帰ることにした。お礼と再訪を伝えて東雲の里を後にした。

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展望台から。5月には蛍が舞い、6月には紫陽花が咲き、秋は一面が紅葉で染まるそうだ。来てよかった。四季それぞれで訪れたくなった。

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最後に振り返ってもう一枚。また絶対来る。

熊本へ向かう途中の山道で、山肌から水が染み出ている一帯があった。慎重に進むと、「水の駅」という看板とともに水飲み場があった。

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水を飲んでみると、これがまた美味しかった。軸屋酒造さんで飲んだ感謝の水とよく似ている気がする。体にしみこむような味。全身が洗われるような思いがする、ウォーキングなんかしてこの水を飲んだら最高だろうな…

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熊本 ファクトリエ本店

熊本に到着したのは17時近くだった。運転にも疲れたので一休みして、夕飯を取ることにした。夕飯の前に、最近お気に入りの洋服ブランド「ファクトリエ」の熊本本店に寄ることにした。

東京で、このファクトリエの山田社長の講演を聞く機会があった。メイドインジャパンにこだわり、日本全国各地の工場と提携し商品を企画・販売している会社だ。そんな洋服ブランドが、熊本本店ではカフェを併設してこだわりのコーヒーと、熊本の玉名牧場という牧場で飼育されているグラスフェッドビーフのミルクを使ったカフェオレを提供しているということで飲んでみたかったのだ。

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これがめちゃくちゃ美味しかった。ミルクが自然な甘さを持っている。ぜひこのミルクを娘にも飲ませてみたい。販売店は熊本の中でもごく限られているそうだが、通販もされているとのこと。ミルクは900ml×2本を関東まで送ると合わせて3,000円。お肉なども売っているので、併せて買うのがよさそう。

お店の方といろいろ雑談をして時間を過ごす。熊本県民はファッションに敏感なところがあって、ポール・スミスが日本で最初の店舗を出店したのは熊本だとか、ビームスも最初の店舗は熊本だとか…最後に、おすすめの馬肉料理屋はどこですか?と尋ねると、「らむ」という店を紹介していただいた。

馬刺・焼肉専門店 花畑町「らむ」で馬の焼肉

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馬肉料理店なのに「らむ」…由来が気になるところではある。到着は20時頃。予約はしていなかったが、カウンターに座ることができた。平日の夜だったが、お店はそこそこにぎわっていた。週末だったら予約をした方が無難そうだ。「くらした」「バラヒモ」と、商標登録しているという「桜なっとう」を注文。

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馬の焼肉は初めてだったが、美味しい!獣臭やくどさがなく、脂がとてもさっぱりしている。たれも不思議な味で、どんどん箸が進む。熊本に来たからには米焼酎だろうな、ということで白岳をロックで注文。

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桜なっとうが到着。凍った馬肉と納豆、うずらの玉子を和えていただく。凍っているせいか、そんなに馬肉のうまみは感じない。馬刺しの端の方を美味しく食べようという工夫の料理だろうか。

帰り際に、お店の方に熊本でおいしい日本酒はありませんか?と尋ねてみた。すると、「日本酒はぜんぜん美味しいのはありませんよー。みんな米焼酎ですね」とのことだった。本当かなあ、馬の焼肉も日本酒がばっちり合いそうだが…と思いながら、そういえば酒屋を覗いていないことに気が付いた。熊本では市街地に行ってみたい場所が集中していたので、中心部のホテルに宿泊した。本当は「湯らっくす」にも行くつもりだったのだが、疲れて寝てしまった。とても濃く、充実した一日だった。




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