むにみずべ 山口編01 錦帯橋下の川渡り
まさかの実在する、絵に描いたような橋の下。暑くなってきたのでそろそろ歩いて川を渡る時期です。
こちら、知っていますか?
English information below.
名宰相も驚く泰平の世
岩国城初代城主、吉川広家といえば、
関ヶ原で西軍の総大将毛利輝元の家老にして、西軍の敗北を悟り家康と内通を図った、歴史的に類稀な予知能力を持つ武将です。
しかしそんな千里眼の吉川広家も、のち400年続く泰平の世は想定できませんでした。
岩国城は戦いに備え、錦川を天然の外濠とする山の上に設けられ、下級武士や町民は対岸に住んでいました。しかし平和な世では、単にこの天然の外濠が渡り辛くてしょうがない厄介者。下級武士は城に行くのも一苦労です。
確かに独身寮と会社の間に幅200mの橋のない川があったら、出社は諦めて、テレワークですよね。テレワークが無い時代なら、まぁ転職ですね…
当然、下級武士みんな転職されると流石に困りますので、橋をかけたくなる訳です。福利厚生の一環ですね。
架けては流されていく橋
悩める下級武士のためにも橋を架けてはみたものの、どうにも流されていく橋たち。暴れ川たる錦川は、記録で追える範囲でも江戸時代に3回は橋を押し流したようです。
はてどうしたものか。
そんな折、中国の西湖に浮かぶ人工島を繋ぐ橋の絵を見た名宰相ジュニアの吉川広嘉(ひろよし)。
あ、川の中に島作ったら良いんだ!
と気が付きました。流石のジュニアです。
(正確には孫ですが…)
そこでせっせと川の中に橋脚を作り、1673年遂に5連の太鼓橋、錦帯橋が出来上がりました。
この橋脚こそが、とても大事なポイントです。
流されない橋脚の秘訣
遂に完成した5連の太鼓橋も、まさかの翌年洪水で流失。
みんなで考えていると、橋脚の周りが洗掘されることが、橋の流される原因だと分かってきました。
(洗堀:水の流れで土砂が流されること)
そこで再建した太鼓橋には、橋脚の周りに敷石を設置。水の流れで橋脚が崩れるのを防ぐ狙いがありました。この秘訣により昭和に至るまで400年以上も流されず使われ続けました。
この敷石によって
平常時はザブザブと入れる膝下くらいの水深になった訳です。
そこを歩いて渡り、橋の構造美を下から堪能しようと言うのが今回のむにみずべ。
錦帯橋 上から見るか下から見るか
では通常上を歩く錦帯橋を下から見上げつつ、錦川を渡っていきましょう。
帰りは大人しく上から歩いて戻ってきました。
(片道料金は無いので節約にはなりませんが、下歩くだけでは錦帯橋に行ったことになりませんからね)
※たとえ水深が浅くとも、足下は滑りやすく、突然増水する危険性もあると思うので、絶対に無理に渡ろうとしないでくださいね。
行ったのは残暑の厳しい9月頭、
水が流れていたのは、5連のうち中央2つ分。
絶好の川渡り日和です。
このように錦帯橋付近の川底には、石畳のように敷石が設置されています。
では川渡りしていきましょう。
広島の学会に出た後来たので、研究室の同期と一緒でしたが、うち一人は渡るの無理!と思ったらしく、大人しく錦帯橋を渡っていました。
敷石は一つ一つが大きく、がっしりしているので安定していますが、表面がヌルヌルなのも多く、気は抜けません。
ですがやはり錦帯橋の凄さは下から見上げることが最もよく分かります。
特に裏から見るポイントは
横向きの材が等間隔に並び、そこから奥に斜めに伸びる材です。鞍木(くらぎ)と呼ばれるこちらと、助木(たすけぎ)が追加されたことで、錦帯橋は人が歩いても揺れなくなったと言われています。
この巨大なアーチ橋が揺れると、下級武士が渡ってくれなくなり、果ては転職してしまうかもしれませんから、藩を支える大切な部材です。
複数人で行って、橋を渡る人と、川を渡る人に分かれないと撮れない奇跡の写真がこちら。
だんだん良さが伝わってきましたでしょうか。下を渡りたくなってきましたかね。
川を渡ると上級武士が住んでいた界隈や、さらに奥の岩国城に行くことができます。
眺望が良くなるようにちょいとズラして再建したので、ぜひ登って錦帯橋や岩国を眺めて貰いたいです。
今までずっと下級武士の気持ちで歩いてきましたが、やっと宰相側の目線に立つことができました。
帰りは大人しく橋を渡ります。
やっぱり橋があると川ってすごく渡りやすいんですね。
以上、岩国の錦帯橋でした。広島や宮島からすぐ行けますので、ぜひ下級武士の気持ちで行ってみてください。
Information
錦帯橋下の川渡り
Crossing river under the Kintaikyo bridge
Kintaikyo bridge is one of the most beautiful bridge in Japan. It was constructed for connecting Iwakuni castle and the town. There are riverbed paving stone around the bridge, so we can walk across the river and enjoy structural beauty of the bridge.
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