そもそも文型ってなんで学ぶの?
【問題】次の各文を日本語になおしなさい。
(1)She ran home soon after work.
(2)My mother both runs our home and works outside.
(3)Dining out at a fancy restaurant in Tokyo runs you a lot of money.
(4)The well has run dry.
今回は文型のお話をします。
「文型S+V+O+Cって何のためにやるの?」
って思っている人もいるかと思います。
実は文型はいろいろなことを教えてくれるのです。
英語はカタチから入ろう!
形にはヒントがいっぱい!
第1文型:SV...
では(1)の構造を見ましょう。
注意点はhomeの品詞ですね。
homeは副詞「家【へ】」という意味ですから
英文を書く時には
run to homeと前置詞toを入れないように注意しましょう。
他にも
here「ここ【に,へ,で】」 there「そこ【に,へ,で】」
abroad「国外【に,へ,で】」 overseas「海外【に,へ,で】」
upstairs「上の階【に,へ,で】」 downstairs「下の階【に,へ,で】」
indoors「屋内【に,へ,で】」 outdoors「屋外【に,へ,で】」
などがあります。
ここでいきなりですが問題です。
次の日本文を英語になおしなさい。
A「私たちは電車が出発する5分前に駅に着いた。」
「う~ん…」と悩んだ人
次の日本文だったらどうでしょう。
B「私たちは電車が出発する前に駅に着いた。」
We arrived at the station before the train left.
と簡単にできたのではないでしょうか。
時間の程度表現
違いは何でしょう。
「5分」という時間の「程度」が入っているか否かです。
時間の「程度」が入ると途端に書けなくなる人が多いです。
良く使う表現なので覚えておきましょう。
時間の程度表現は
before「~前に」(接続詞・前置詞)
after「~後に」(接続詞・前置詞)
later「後で」(副詞)
early「早く」(副詞)
fast「(時計が)進んで」(形容詞)
late「遅れて / 遅く」(形容詞 / 副詞)
の直前に入れるだけ!
例文
「時計が5分進んでいるのを忘れて,
いつもより10分早く家を出たにもかかわらず,20分遅刻した。」
I didn’t remember that my watch was five minutes fast
and left home ten minutes earlier than usual.
Nevertheless, I was twenty minutes late.
改めて英作文Aの解答例
A「私たちは電車が出発する5分前に駅に着いた。」
We arrived at the station five minutes before the train left.
だから(1)のsoon after workも「仕事後すぐに」と訳せますね。
和訳には困らないかもしれませんが
英作文の知識として押さえておきましょう。
(1)解答例
「彼女は仕事が終わるとすぐに走って帰宅した。」
第3文型:SVO...
それでは次に(2)の構造を見てみましょう。
先ほどのhomeは副詞でしたが,今度はどうでしょうか。
Ourという所有格の後ろに置かれているということは
このhomeは名詞「家」ということになりますね。
ということは「家【へ】走っていく」とは訳せません。
runsという動詞の後ろに直接くっついたour homeという名詞は
「目的語」と呼ばれるもので通常「~を」とか「~に」と訳されます。
でも,「家【を・に】走る」ではありません。
ヒントは動詞のrunのほうにあるのです。
(1)のrunは皆さんご存じの通り「(S)が走る」という自動詞です。
自動詞は目的語を取りません。
ただ,「run=自動詞」は厳密にいうと正しいとは言えません。
(2)からわかるようにrunは「目的語を取る動詞=他動詞」でもあるのです。
自動詞だけの用法しかないもの
他動詞としてしか使わないものもありますが
実は自動詞にも他動詞にもなる動詞のほうが多いのです。
どちらで使われているのかを教えてくれる優しいヤツが
「文型」というナイスガイなのです。
次のA, Bの英文を比較してみましょう。
Aの動詞increaseは自動詞「(S)が上がる」
Bの動詞increaseは他動詞「(O)を上げる」
であることが文型からわかります。
同じように(1)のrunは自動詞「(S)が走る」
(2)の動詞runは「(O)を走らせる」となるのです。
「私の母は家庭を走らせている」
とはどのような状況を指すのでしょうか。
動詞runの意味
実はこのrunという動詞もともとは「(滑らかに)動く」という意味なのです。
人が滑らかに動く=人が「走る」
計画が滑らかに動く=計画が「順調にすすむ」
川が滑らかに動く=川が「流れる」
会社を滑らかに動かす=会社「を経営する」
家庭を滑らかに動かす=家庭「を切り盛りする」
となるわけです。
(2)解答例
「私の母は家事を切り盛りしながら,外でも仕事をしている。」
文型を学ぶ意味が少しわかった気がしませんか。
第4文型:SVOO...
次に(3)の構造を見てみましょう。
今回も(2)同様後ろにyouという目的語を取っているのでrunsは他動詞です。
しかし,「外食があなたを滑らかに動かす」というのは
どういう意味でしょう。
「外食すると元気が出てあなたが活動的になる」
という我ながらうまい解釈にたどり着いたのですが,残念ながら違います。
目的語を取っているので他動詞であることは間違いないのですが
(2)とはそのあとの構造に違いがあるようです。
(3)のrunsの目的語youの後ろには
もう1つa lot of moneyという名詞のカタマリがくっついています。
SVOの後ろにある名詞(のカタマリ)はOかCのいずれかになります。
Cは補語で前にある目的語とイコール関係になります。
一方,Oは前の目的語とイコール関係にはなりません。
SVC(S=C)
SVO(S≠O)
SVOC(O=C)
SVOO(O≠O)
今回の場合は
you≠a lot of moneyの関係ですからSVOOという文型になります。
「文型がわかった。だから何?」
と思われた人もいるかもしれません。
冒頭にも申しました
英語はカタチから入ろう!
形にはヒントがいっぱい!
なんです。
文型を理解していればrunという動詞の意味が分からなくても
この文の意味が分かるんです。
逆にrun=「走る」は知っていても文型を理解していなければ
この文の理解からは遠ざかるかもしれません。
SVOOの文型が教えてくれるのは
「SはO1にO2を与える」という意味なのです。
このような動詞を「授与動詞」といいます。
最も代表的な動詞は皆さんご存じgiveです。
He gave me a lot of money.「彼は私に大金をくれた。」
She read us his poems.「彼は我々に自分の詩を読んで聞かせた。」
I sometimes cook my daughter lunch.「私は時々娘にお昼ご飯を作る。」
readやcookも方法は異なりますが,人にモノを「与えて」います。
他にもこの文型を取る動詞はたくさんありますが
S+V+O1+O2=「SはO1にO2を与える」
という内容を伝えているのだと覚えましょう。
では(3)の問題に戻りましょう。
確かにS+V+O1+O2ですが,日本語になおすとおかしくないですか。
「東京の高級レストランで食事するとあなたにたくさんお金をくれる。」
これが現実なら皆さん毎日東京で外食しませんか。(笑)
「授与動詞」はほとんどが「O1にO2を与える」という意味なのですが
それとは反対の「O1からO2を奪う」という意味を持つものがあるのです。
以下に例を挙げます。
deny O1 O2 : O1からO2(物)を奪う →O1(人)にO2(物)を「与えない」
take O1 O2 : O1からO2(時間)を奪う →O1(人)にO2(時間)が「かかる」
cost O1 O2 : O1からO2(お金)を奪う →O1(人)にO2(お金)が「かかる」
: O1からO2(命)を奪う →O1(人)のO2(命)が「犠牲になる」
save O1 O2 : O1からO2(手間)を奪う →O1(人)のO2(手間)が「省ける」
spare O1 O2 : O1からO2(手間)を奪う →O1(人)のO2(手間)が「省ける」
owe O1 O2 : O1からO2(お金)を奪う →O1(人)からO2(お金)を「借りる」
charge O1 O2 : O1からO2(お金)を奪う →O1(人)にO2(お金)を「請求する」
ニュアンスは違いますが
これらは「O1からO2を奪う」という意味にまとめられますよね。
ここに挙げたものは高校英文法で出てくるもので
(3)のrunは取り上げられることは少ないですが
S+V+O1+O2は基本「O1にO2を与える」
それで意味が通らなければ「O1からO2を奪う」
だということを知っていれば
暗記ではなく自分の判断で日本語訳にたどり着けるはずです。
(3)解答例
「東京の高級レストランでの外食はあなたからたくさんのお金を奪う。」
→「東京の高級レストランで食事をするとたくさんお金がかかる。」
第2文型:SVC...
それでは最後に(4)の構造を確認しましょう。
動詞has runの後ろに続くdryは形容詞ですね。
後ろに名詞が続く場合には
目的語(O)なのか,補語(C)なのかをチェックする必要がありましたが
形容詞の場合は100%補語(C)になります。
そしてSVCのカタチが教えてくれるのは基本は「S=C」です。
つまり「井戸=乾いた状態」ということがわかります。
さらに使われる動詞によって次のように分類されます。
「SはCである(状態)」:be / sit / stand / lie / remain / keep / stay
「 SはCになる(変化):become / get / go / come / fall / turn / grow / run
「SはCであるようだ(様態)」:seem / appear / look
今回はrunですから「Cになる(変化)」となります。
SVCという文型が判断できれば
全部暗記しなくても動詞の性格から3つの分類はできそうですね。
(3)の解答例
「井戸は枯れてしまった。」
さあ,いかがだったでしょうか。
少しでも文型を学ぶ意味がわかっていただけたら幸いです。
僕もまだまだ英語学習中の身です。
知識不足で間違いもあるかもしれません。
いろいろご意見いただけたら嬉しいです。
またこんな企画をやってほしいなどのリクエストもお待ちしております。
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