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演助青野の稽古場観察 その③

―稽古場4・5・6日目 初通しなど

4日目。昨日までのことがあって(詳しくは稽古場観察その②で)2人がどうなるのかなあと思いながら稽古場へ向かった。正直昨日の状態が常態化してしまったらこの先マジでしんどい稽古場になるし、何の生産性も生まれないまま貴重な時間が秒速で通過してしまう。それはどうにか避けてほしいなと祈る気持ちでいた。
稽古では引き続き2人にとって苦手意識が強まっているだろうシーンの返しが続いていた。正直苦手なんだろうなというのは変わらず伝わってくるが、それでも昨日の最悪な状態を何とかしたいという気持ちは伝わってくる。うまく機能していない部分を細かく返していくことで少しずつ本来の2人の姿になっていく。納得感を得ることで徐々に強くなる2人になんだか昨日の不安は杞憂に終わるんじゃないかなという希望が見えてきて、ものすごくほっとしていた。

で、迎えた5日目、初めての通し稽古の日。
この日は朝から確認と調整を行い、総見の前にいったん通してみたりもした。稽古場は広い部屋、舞台には本番を想定しいくつか物も用意しながら、、、慣れない環境が整っていっているのかもなという気はした。でも昨日の今日だしきっとなんとか2人はやれると期待した。

結論、通った。間違いなく通ってはいた。
でもずっと惜しいところにいる印象。それまでにやったシーン稽古でうまくいった感じをなぞっているばかりで、ずっともどかしい。
でももどかしいのは本人たちが一番なんだろうなと思う。稽古でうまくいった、あれは自信があるというシーンがことごとくハマらなくなって、どんどん自信を無くしていく、路頭に迷う、そしてまたハマらなくなる、、、一昨日の悪循環のさらに深化版みたいな、いやそんな深まり経験したくないのだけれど。ふと自分が役者する時にこういう風になったらどうするかなぁと考える。僕も大概メンタルは弱いから何か掴めるまでグーってなってしまうし、掴めたらよっしゃってなるし、掴めるまであまた情報をかき集めて安心材料を探そうとするのだけど、2人にとって今は情報が多すぎてショートしている節があるなと思うのでまた状況が異なっているなという感じ。とにかく安心するために情報を整理し選び取るしかないんだろうなと思う。安心。

通しが終わって、そして稽古場で広報や舞台、裏方等の今後の確認も行い、どっと疲れている2人がいた。プロデューサーとして、役者として。自分の出る作品を自らデザインすることのハードルの高さは計り知れない。でもここで折れないでくれ、、、と願う。

6日目。昨日のことも踏まえて返し稽古をしたのち、再び通し。
この通しでも、返し稽古ではできたのに、、、みたいなことが起こってしまう。

この日の稽古を経て、なんだかもっと演出助手として考えなきゃならないことがあるんじゃないかと思えてきた。稽古場が安心できる空間であること。僕達はムネさっくと一緒に走っているという自覚。
僕はここまで、この企画はムネさっくが自分たちの舞台として作り上げているものであり、それを一番近くで応援するのが仕事だと思ってきた。もちろんその気持ちは変わらないし、ここで前回のブログみたく、ムネさっくさぁ頑張れよ、みたいなことを書こうと思えば書けるのだけど、伴走者としてほかにやり方があるよねと思う。2人の思い、全てを引き受けることはできなくとも、ここに一緒にいるという事実は大切に共有すべきだなと。
って気づかせてくれたのは刈野くんの誠実な姿勢だったのかもしれない。ムネさっくの2人と、ふと同じ目線で会話する接する刈野くんを見て、自分を戒めた。

通った。さあ、ここからだ。
なんてったってムネさっくは面白い。
もうここからジャンプアップするしかない。いやこのジャンプアップこそムネさっくの真骨頂であるだろう。
あと一週間、とにかく一緒に飛んで飛んで飛びまくる!!!

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福岡で活動する友田宗大と古賀駿作による演劇ユニットムネさっく。
第1回無鉄砲公演『コルジーニ・ヴァンドリッドとスクーターの夜』の舞台裏を演出助手青野の目線でつづっていきます。

チラシ

演劇ユニットムネさっく
第1回無鉄砲公演
『コルジーニ・ヴァンドリッドとスクーターの夜』

作・演出:刈野名義 
出演:友田宗大 古賀駿作
会場:ぽんプラザホール
日程:1月14日㈮19時
  15日㈯14時/19時
16日㈰12時/17時
料金:1,000円
チケット好評発売中↓↓
https://www.quartet-online.net/ticket/munesack1

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