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Thinking about a part of Carlos Ghosn Case

 今、すごくニュースになっている、ゴーンさん事件について、有価証券報告書虚偽記載罪の点についてだけ少し考えてみた(ゴーンさんは、会社法上の特別背任罪にも問われているそうだけど、この点については、オイラは検討するだけの十分な材料をもってない-会社法の研究者としては怠慢かもだけど、いまのところ調べてない-ので、ちょっと割愛します)。


 有価証券報告書虚偽記載罪って、有価証券報告書等の『重要な事項につき虚偽の記載のあるもの』を提出した者が、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するとされている(金融商品取引法197条1号)


で、1年以上まえ、ゴーンさんが逮捕されたときにオイラは↓のようなことを書いていた(タイトルに誤字があるけど、そこは気にしないでください(笑))


 で、↑のBlogの内容のポイントとしては、日産事件では、ゴーンさんが付与されてたSAR(Stock Appreciation Right)が、有価証券報告書等の開示内容について定める「企業内容等の開示に関する内閣府令」において記載が求めれる報酬等に外用するためには、

●『最近事業年度に係るもの及び最近事業年度に・・・受ける見込みの額が明らかとなったもの』に該当していたか?

●あと、もろもろ、日産や関連する法人からもらっていたものが「報酬、賞与その他その職務執行の対価としてその会社から受ける財産上の利益」にあたるか?

●「主要な連結子会社の役員としての報酬等」があったといえるのか?

 ってことが問題で、ただ、今回のケースでは、日産がゴーンさんに付与した
SARの詳しい内容がオレが知る限り報道されていないので、今のところ、なんとも言えないなぁ。。。って感じがする。。。

 あと、ゴーンさんなんかに
有価証券報告書虚偽記載罪という刑事責任を問うには、ゴーンさんたちがその罪を犯すことについて「故意」があったとえないとといけないので、検察さんは、その立証ができるかなぁ。。。


 ってなことを↑のBlogで書いた。すごくおこがましいが、↑の点に関して、同じ分野の研究者の田中先生は、やっぱり有価証券報告書虚偽記載罪の成立は難しいんじゃないかと考えてたみたいだ。


 あと、役員個人に対して有価証券報告書虚偽記載罪を問うためには、そもそも『重要な事項につき虚偽の記載のある』有価証券報告書を提出してなければならない。

 で、何をもって『重要な事項』にあたるかは解釈次第だけど、

 前提として、流通市場向けの開示書類である有価証券報告書の虚偽記載については、役員個人については、課徴金(行政処分)に関する規定がない(発行開示書類については、役員個人も課徴金の対象となり得る-金商法172条の2第2項)ってことも考慮する必要があると思う。

 すなわち、虚偽記載のある有価証券報告書を提出した会社の役員個人については、民事責任以外には、課徴金(行政処分)ではなくて、いきなり刑事責任を科すことになるんだけど、そうである以上、よっぽどの重要な事項に関する虚偽記載であることが刑事責任を科す前提ともいえそうだ。

 で、最近だと、有価証券報告書の提出会社の役員等で、虚偽記載に関する刑事責任を科された(科されそう)なのは、ライブドアと今回の日産の事件の関係者、ってことになっている。

 でも、ちょっと待てよ。。。

 『財務に関して、もっと大きな虚偽記載を行っていて、虚偽記載の発覚後に市場に大きなインパクトを与えたO社、T社、I社の役員は??? そっちは刑事責任問われてないの? なんで?』

 って言われたら、うちの国の証券市場監督当局はどう答えるんだろう?? あと、

 『日本の有価証券報告書虚偽記載罪は、ケースによって恣意的に刑事責任を問うような運用を行っているのではないか? 世間を騒がせたようなケースに限って一罰百戒的に問うているのではない?』 


 って言われたら、ちゃんとした答えが出せるだろうか?

 オレとしては、↑のようなな問いに現状ではきちんと説明ができていないし、でも、これからできるようにしないといけない、って思う。

 あと、これはオレの研究テーマ的に。。。ってことだけど、市場に対する不実開示(虚偽記載)のとくに抑止の面から、民事、行政、刑事の各種責任制度をどのように構築しておき、どのように運用していくべきか?ってことは、やっぱりちゃんと詰めていかないとあかんな〜〜 って思っている。


 で、ゴーンさんの件に限らずだけど、有価証券報告書の虚偽記載罪で逮捕・拘留された外国の人が、取り調べの際に弁護士の立ち会いも許されず(法的な観点からの抗弁とかを十分に述べられる機会を与えられない)、適用のあり方が不透明な(でもって、不公正・不公平な適用がされているようにもみえる)有価証券報告書虚偽記載罪で刑事責任を負わされそうな状況だったら、「とんずら」も考えるだろうし、とんずらされて、(ゴーンさんが言ったかどうかはそこまでニュースみてないんでわらかないけど)↑で書いたようなことを理路整然と言われたりしたら、うちの国としては「ぐぅ。。。」ってなる気もするかな。。。


 なので、ゴーンさん事件自体はいろんな人がいろんなことをテレビとかを通じていっているけど、オレとしては、研究的な観点から、今回の事件は金融商品取引法の制度・解釈のあり方の観点から考えるべき課題を突きつけられてるな〜〜

 って、思っているし、オレは研究者なんで、その面から将来の証券市場法制の構築・改善になんらかの貢献ができたらな〜〜って思ってます。


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 お土産で頂いた京都のちりめん。美味し!!





まだまだとても、サポートを受け取れる内容にはなっていないと思いますので基本的にサポートは不要です。でもでも、もしサポート頂けたら、何か面白くなりそうなことに使わせて頂きます!!