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ひねくれ北欧4か国周遊記⑩どれだけ景色が良くても12時間移動はつらい


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10-1.ナットシェル


2023年12月29日金曜日
ノルウェー・オスロ


今日はナットシェルで大移動の日です。ナットシェルとは、オスロ~ベルゲン間を風景やらフィヨルドやらを見ながら、いい感じに遠回りしながら移動できる周遊パスのことです。

飛行機だったら1時間、鉄道だったら6時間ちょいで到着する距離ですが、ここをあえて【鉄道・鉄道・船・バス・鉄道】という4回の乗り継ぎをし、計12時間かけて移動する中々にクレイジーなのがナットシェルです。

まあしかし、ついでにちょっとだけフィヨルドを見たい!という方には比較的おすすめな選択肢なのではないかと存じます。と言うのも、ナットシェルのフィヨルド観光は移動とセットなので、宿泊せずに済み、フィヨルドを効率的に見ることが出来ます。

どうせ景色なんか長い時間見たって変わらないから、ちょっと見れればいいっしょ?という私のような心の貧相な人 タイパ重視の方にはとてもお誂え向きです。

ナットシェルは、事前に日本でVELTRA(ベルトラ)というサイトで予約しました。日本語で予約できて便利でした。一人当たり3万6千円です。ちなみに直通で6時間の鉄道なら、1万円くらいで行けるみたいです。

ピッツアとコーヒーを買ってうっきうきです
8時25分オスロ発のため、8時にオスロ駅に到着しました
電車が来ました。ベルゲンと書いてあります。
この電車に乗っていれば6時間でベルゲンに着きますが、
ナットシェルでは途中の駅で降りて乗り換えます。
乗り込みました。快適です。
しかし、あえて12時間かけて遠回りして向かいます。
クレイジージャーニーです。

スーツケースが重たくて電車に乗るのも大変だったのですが、後ろの方が持ち上げのを手伝ってくださって無事、電車に乗れました。北欧の人はみなさん親切です。

さて、本日の旅程は以下でございます。

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1.電車
オスロ駅 8時25分発 ➡ ミュンダール駅 13時4分着
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2.電車(フロム鉄道)
ミュンダール駅 13時15分発 ➡ フラム駅 14時5分着
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3.船
フラム 15時着 ➡ グドヴァンゲン 17時着
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4.バス
グドヴァンゲン 17時25分発 ➡ ヴォス 18時20分着
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5.電車
ヴォス 19時13分発 ➡ ベルゲン 20時40分着
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12時間移動・4回乗り換え、というきつすぎる工程です……

なのですが……初っ端から事件が起こりました。

なんと、「3.船」の目的地、グドヴァンゲンで雪崩が起こり、行けなくなってしまったとメールで連絡が入ったのです。

メールには、ツアーは予定通りの集合時間にて催行しますと記載があり、グドヴァンゲンまで行かないで途中で引き返すので、以下のルートに変更になるとのことでした。

ウンドレダル(Undredal)ってどこですか……

残念といえば残念なものの雪崩に巻き込まれたりしなくてよかった、とポジティブに考えようと思っておりました。むしろ早めにベルゲンに着けるのではないか?とちょっと期待しておりました。

しかし、さらなるトラブルに見舞われます。なんと電車がトラブルで出発が1時間遅延してしまったのです。

電車は時間通りに8時25分に来てくれたにもかかわらず、待てど暮らせど動きません。故障があったんじゃあぁ、Unfortunatelyなんじゃぁああ、とアナウンスで言っている気がしますが私のリスニング能力では詳細はわかりません。ともかく遅れているということだけは確かです。

これならもう少し朝ゆっくりできたのになぁとか、このあとの乗り継ぎってできるのかなぁとか色々思うところはあります。ただ、意外と周りに日本人の観光客がいて、しかも皆さん慌てることなく、ゆったりと過ごしておられます。さすがこのクソ寒い中、12時間もかけてフィヨルドを見に行こうという猛者たちです。心構えが違います。心の余裕が違います。

これは私も他の富裕層を見習って、泰然自若・金持ち喧嘩せず ~ゆとりのある丁寧な暮らし~ という素振りをしなくてはいけません。窓の外を眺め、珈琲の入ったカップを傾けながら、時が経つのを待ちます。そろそろ村上春樹を読もうと思います。(ノルウェイの森に備えて)

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1.電車 約5時間
オスロ駅 ➡ ミュンダール駅
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1時間後、無事、電車が動き始めました。外はだいぶ明るくなってきておりました。

ナットシェルは席が選べず、予約時点で自動で決まっていたのですが、特に右側も左側も景色は変わらない印象でした。

というか、ようやく走り出した喜びと移り行く景色にわくわくしたのは最初の1時間程度で、あとは大概変わらない針葉樹林と雪まみれの景色です。Wi-Fiが無いので、ビートルズのノルウェーの森も聴けません。

最初の目的地であるミュンダール駅へは元々、5時間後の13時4分の到着予定でしたが、1時間出発が遅れたので、だいたい14時到着予定です。さすがに飽きてくるので、車内を散策に出かけます。

売店チェックします。
いったんホットチョコレートにします。
富裕層ごっこをしないといけないのです。
朝から酔っている場合ではありません。
無料の雑誌があったのでもらいました。
中は広告だらけでしたが写真はいいかんじでした。
スキーをする人も多いようでした。
あとは帰省の人も多かったかもしれません。
しかし変わらない景色
8時から6時間乗りっぱなし、
というのは初っ端からきついです。
14時頃、やっとミュンダール駅に着きました。
乗り換えます。

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10-2.フロム鉄道

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2.電車(フロム鉄道) 約1時間
ミュンダール駅 ➡ フロム駅 
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ミュンダール駅でフロム鉄道に乗り換えます。フロム鉄道は山の中を登っていく鉄道で、鉄道ファンの間では有名らしいです。

遅延した電車を待ってくれていたらしく、みんなが乗り込むとすぐに発車しました。

あれ、フロムじゃなくて、フラムかも……

フロム鉄道は自由席で、席は早いもの勝ちです。進行方向左側の狭い席の方が、景色が良くておすすめです。ただ右側の方が広くて荷物は置きやすく、また自由に立って歩いて景色を楽しめるので、右側でも楽しめるとは思います。

また、外の景色だけでなく、朱色の車内が味わいがあって、とても素敵だと思いました。

左側が4人掛けで景色が良いほうです
右側が6人掛けで広いほうです
窓の隅に吊り下げられていたおじさん

なんだかとても親近感が湧きました。
陰キャの波動を感じます。
プロフィール画像はこの子にしようと思います。


フロム鉄道は、景色の良いところで1度、途中で停車してくれます。夏は滝が流れていただろうという場所で、ここは夏に来る方がおすすめな気がします。ここに限らず、北欧は夏がおすすめです。

凍った滝をみんなで写真撮影
でっかい氷柱(つらら)みたいになっています
これはあったかくなったある日、
一気に流れ落ちてくるのでしょうか

5分ほど停車したら汽笛が鳴って、みんなで車内に戻ります。

白い景色にちょっと飽きている私には、やっぱりこのちょっとくすんだ赤色の車内が最高です。

赤い窓が額縁のように自然を切り取っているのが
すごくよかったです。
フロム駅に到着しました。

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10-3.フィヨルド

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3.船 約2時間
フロム ➡ グドヴァンゲン
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本当ならフロム駅で1時間ほどゆっくりできるはずでしたが、船に急いで乗り込むように指示が出ます。最初の1時間の出発遅れを、ここで取り返す計画のようです。

お土産物屋さんに入る時間もなく……
船に乗り換えます。
待望の船です。もう電車はイヤです。
お目当てのフィヨルドが待っています

船内はそれほど広くないのですが、乗る人もそれほど多くなく、ゆったり座ることが出来ました。もしかしたら1日でベルゲンまで行かず、フロムに宿泊する人も多いのかもしれません。

またおじさんが。
しかしこの子には親近感が湧きません。
陽キャの波動を感じます。

景色も楽しみたいですが、ちょっと疲れたので、まずはランチにします。

ホットドッグ2つと、ビール2つで、365ノルウェークローネ(5100円ほど)でした。値段についてはまだまだツッコミを入れたくなるところですが、ホットドッグは普通に美味しかったです。

船が動き出し、お腹も満たされたところでいよいよ甲板に出ます。フィヨルド祭りの開始です。

大自然……! 大・大自然……! というかんじでした。

大昔に、氷河が山々を削ってこの断崖絶壁を創り上げたと思ったら、とてもロマンを感じました。風もあって寒かったのですが、船内に戻って休憩をしながら何度も景色を眺めに外に出ました。

水もとてもきれいで澄んでいて、反射して山々が写り込むくらいだったので、夏は夏で緑が映えてとても見ごたえがあると思うのですが、この大自然の壮大さ、冷たさと迫力は、冬ならではかもしれません。

ーーこういうところをヴァイキングは船でのぼって攻めていったんだな……と思いを馳せたりしていると、あっという間に日が暮れていきました。

船内のモニターで現在地が分かります
ウンドレダル(Undredal)ってどこですか2
ともあれ、
氷河が削り取り、ヴァイキングが突き進んだと思うと、
わくわくします
段々日が落ちてきました
港に着くころには真っ暗になりました

ウンドレダル(Undredal)という町に着きました。グドヴァンゲンに行けなかったことは残念でしたがウンドレダルはこじんまりしていて、まるで童話の中の世界みたいで、来られてよかったと思いました。

Undredal
バスに乗り込みます。
どこまで連れて行ってくれるのでしょうか?
……フラグです。
走り出すと光ります。
なぜこの色を選んだのか……

30分ほど経ったでしょうか。寝ていたのでよくわかりません。どこかは分かりませんが、とりあえず着いたので降りるように言われ、みんなでぞろぞろと暗い町に降り立ちます。

ヴォスに着いたのかなと思ったのですが、あたりに駅は見当たりません。周りの人は、時間を潰しているみたいにあたりをうろちょろしています。

どこですか、ここは
ヴァイキンググッズが売ってます
まだフィヨルドが見られます
ウンドレダルよりは都会のような気がします

あたりを見回してもどこだか分からず、名探偵ごっこをするのを諦めて、Google先生に尋ねます。

すると、なんとここは

「グドヴァンゲン」でした……


そんな悲しい出会いがありますでしょうか?

ーー行けないのは残念だったけど、またいつか来ればいい。
ーーそうだ、次は夏にしよう。
ーー次はもう12時間強行突破はやめよう。
ーーもう今日は疲れたから早くホテルに……

そう思って自分を慰め、励ましていたところで、まさかのグドヴァンゲンです……

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10-4.バスでヴォス

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4.バス 約1時間
グドヴァンゲン ➡ ヴォス
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約30分後、ようやくバスが来ました。またバスです。もともと、バス1回の予定だったのに、バス2回です。乗り継ぎ4回のはずが5回です。

……雪崩を呪うしかありません。

さっきのバスの方が高級でした。
臨時バスだったのかもしれません。
みなさん疲れ果てているのか静かです

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10-5.ベルゲン駅へ

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5.電車 約1時間30分
ヴォス ➡ ベルゲン
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やっとヴォスに着きました……ヴぉ、ヴぉ、ヴぉぉおす……ヴぉぉおす、ヴぉぉぉxxxす……です。

思わずデスボイスになりそうなぐらいの疲労感ですが、ついにVOSSまで来ました。そして、なんとここで、元々の工程通りの時間に追いつきます。18時40分ごろに着いたので朝の予定通り、ヴォス駅19時13分発の電車に乗ることが出来ます。

「5.電車 ヴォス 19時13分発 ➡ ベルゲン 20時40分着」

一番最初の予定と同じ電車です……運営会社の完璧なリカバリーです。無欠のオペレーションです。欲を言えば一本、早い電車に乗りたかったです。

VOSS駅
駅にくっついているお店で買い出しをしておきます
変なおじさん顔のビール
VOSS駅のホーム
待望の電車です。もうバスはイヤです。
空いています。
1車両につき乗客は2人とかでした。


~気持ち的にはスガシカオの『Progress』が流れています~

長い戦いでした。
長い、長い戦いでした。

途中、幾多の困難がありました。
旅にトラブルはつきものです。
計画通り行かないのが当たり前です。

~メンタル的には『栄光の架け橋』が流れています~

しかし、トラブルがあったからこそ、見れた景色もありました。

ウンドレダル……あとから調べたら、人口100人、羊500匹の町でした。
というか村です。大半の人が人生で一度も行かないであろう村です。

ありがとう、ウンドレダル……

~空耳でしょうか? 松崎ナオの『川べりの家』が流れます~

定刻20時40分……私はついに、ベルゲンへ到着しました。

トーン ホテル オリオンというところに宿泊しました。
二泊二名朝食付きで、3万円でした。


(今回、過去一長い記事だったので、読者の皆様の方がむしろ、やっと最後までたどり着いた、という気持ちかと存じます。こんなアクが強い駄文にお付き合いくださりありがとうございます…… 胸やけする方は写真だけでも見て頂けたら幸甚です……)

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