歩けなくなったら電動車いす?

要介護認定を受けた方々と関わらせて頂いてよく聞く話をご紹介したいと思います。

若い時に車の運転を得意としていた要支援1・2の方から言われた一言。
「歩けなくなったら電動車いす借りるからよろしくね。」
その時は笑顔で「はい。」と答えますが、実際に電動車いすを借りることになる方はほとんどいません。

15年のケアマネ人生の中、私の担当した方でこのような経緯で電動車いすを使用した方は一人もいません。
(脳血管疾患等のご病気が原因でリハビリ後に電動車いすの使用を始めるなど他の経緯の方はいます。)

私も常々そうしたいと考えていました。

「歩けなくなったら電動車いす借りよう」

私は車を運転します。歩くのは嫌いではありませんが辛い思いをしてまで歩きたくありません。歩行器などを使用してなんとか歩くとか無理!と思っていました。
同じようなことをおっしゃっているご利用者さんもいます。

ではなぜ電動車いすに辿り着かないのでしょう。
(ここからは個人的な見解です。プロの方の意見があればお聞きしたいです。)

私が15年ケアマネをしてきて感じたこと。
それは「皆歩ける以上ギリギリまで歩く」です。

「頑張って歩いているのに車イス使うようになったら歩けなくなってしまうのではないか」皆さん同じことで葛藤します。
結果「もうしばらく頑張って歩こう」と思っている間に電動車いすを使わず過ごしてしまうことが多いように感じます。

そして電動車イスを使いたいという気持ちに傾いている方もいざ借りようかという時に、車いすの置き場・車いすに乗る動作・車いすでお店などに入ることの抵抗感・操作への不安・バッテリー管理の不安など「やっぱり利用するのはやめよう」と思わせる材料がたくさんあるのではないかと思います。
必要になる前は一つ一つの理由を想像してみてもなんてことないことだと思います。

でも、介護保険で車イスが借りられるようになるのは原則「要介護2」以上です。

要介護2になった私を想像してみました。
不安定だが歩行器を使用すればなんとか歩けている。しかし転倒のリスクはある。
認知症は軽度で判断能力の低下もある。
そんな中で電動車いす選択するかな。

答えは「否」です。

そもそもこの程度で要介護2にはならないと思います。
おそらく要支援2か要介護1程度。もっと症状が重ければなおさら電動車いすは選択できないと思います。

「怖いからやっぱり借りない。」
「歩けなくなったら困るから利用しない。」

そう話す自分が容易に想像できました。

おそらく自分でも選ばないだろうし、周りもリスクが高く電動車イスの使用は適切ではないと判断するだろうということが想像できます。

障害のある方でお若い時から電動車いすを使用していた方は別です。高齢になってもとても上手に操作される方が多いです。

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