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車離れの時代でも、ソウルの人は車に乗る(韓国の車事情)

こんにちは、韓国ネイティブのむみんです。

日本の広告は面白い広告が多く、その中ではただ商品を売るためではなく、社会の変化を表すような内容もあって興味深いと思います。

そのうち数年前、トヨタ自動車が打ち出した広告が印象に残っています。
妻夫木聡とドラえもんが登場し、「免許を取ろう!」と訴えるこのCM。
車を売る前に、そもそも「免許がない」、もしくは身分証代わりに免許はもっていても日本では運転ができない若者が増えている中で、このCMはとても記憶に残りました。時代の変化を象徴するような広告だった気がします。

東京の人は車がいらない?

東京や首都圏に住む日本人の友達ほとんどは車を持っていません。
東京近郊は道路より電車の路線が発達していて、通勤のときも断トツ電車に乗る。都内の中心地はパーキング料金もとても高く、サラリーマンが車通勤をすることはめったにありません。

気になったので、日本の統計を調べてみました。
2023年日本の自動車保有率調査によると、

  • ー乗用車世帯保有率は77.6%、乗用車複数保有率は35.7%。

  • 保有期間平均は7.2年、10年超が20%以上!(高齢者のおかげ?)

  • 車両の平均購入価格は264万円(韓国は軽自動車を買わないので、平均価格は500万円近い)

  • 車型では、「軽乗用車」が4割弱を占め、「ボンネットワゴン」が2割強で続く。

  • 東京・大阪・福岡など大都市の一世帯当たりの乗用車数は0.5以下(東京は0.3)、名古屋は0.9で都市圏の中では高い。他の地方都道府県では1.0~1.5前後 (日本自験協の資料

  • 東京23区となると、世帯保有台数は0.2まで落ちる

やはり統計でも東京の人は、特に23区内に住むと車を持たなくなります。
東京はパーキングも厳しく、維持管理のお金も高いからでしょうね。

韓国の人はソウルでも車を買う!

一方、韓国の知り合いはほとんど車を持っています。
地方だけではなく、ソウルや首都圏に住む30代以上なら、車は「必需品」であります。独身は車を持たない割合が半分以上ですが。
それでも30代以降の男性は、一人暮らしでも職業がある限りほとんど車を持とうとします。恋愛においても「車がない」とかなり減点されてしまいます。
当然ながら家族でもいれば車はなかなか手放せません。

こちらも気になったので、統計を調べました。
2023年、韓国の自動車保有率統計によりますと(国土交通部の統計)

  • 一人当たり自動車登録台数は約0.49台(日本と変わらない)

  • ソウルの一世帯当たりの乗用車数は0.59、釜山0.74、京畿道(首都圏)は1.1以上

  • ソウル及び京畿道(首都圏)の乗用車のうち、韓国産一般車は48%、輸入車は16%(多目的車24%)

  • 新車の平均購買価格は4800万ウォン(約500万円)

  • 車種では(排気量基準)2000㏄未満50%、2000㏄以上31%、1000㏄未満が16%(軽より電気自動車が多い)など、8割が1000㏄以上となる

つまり、ソウルの人でも半分以上は車を持ち、
首都圏まで見るとほぼ全世帯が車を持つか、2台以上を運用し、
その車の車種は軽ではなく、大きめのセダンかSUVがほとんど
になります。実際ソウルの道路を見たことある方は、おわかりでしょう。

2024年5月韓国でもっとも売れた車は、KIAの「ソレント」

ソウルの人はなぜ車を買う?

ソウルも東京と同じく高いビルや人がぎっしり集まる大都会です。
それでもなぜ、ソウルの人は車生活が維持できるのでしょう。

それはソウルの中流家庭は、大体「マンション」に住んでいることも大きな理由です。
ソウルには一つの団地で1000世帯を軽く超えるとこも多く、このマンションの駐車場は、住民なら車1~2台までは無料で使えます。最近は地下の駐車場からエレベーターで玄関まで直結しているところがほとんどで、とても便利。

マンションではないお家も駐車場はとても重要で、
建築の法律上、部屋当たり一定の駐車場を確保することになっています。
ちなみに日本のように、車を買う人が車庫証明する必要はありませんので、居住する場所に駐車場がなくても、お金さえあればどんどん買えます。

もちろん最近の若者の中では、車を持たずに必要なときだけシェアリングカーや、短期のレンタカーなども使う人が増えてはいますが、
彼らも30代以降になり、家庭ができるとほとんど車を買います。

また、ソウルのど真ん中にあるビルなども、月ぎめ2~3万円台で駐車場が使えます。もちろん地下鉄やバスなども整っており、多くの市民はこれで通勤していますが、有料道路が少なく、料金も格安なため、郊外に住む人は車通勤することも珍しくありません。
(私の会社は会社補助があるため、月ぎめ5千円です。このように補助がある会社も多いので、皆さんどんどん車通勤が…)

そしてソウルを少しだけ離れた京畿道になると、
意外と交通の便が不便なところが多く、時間を考えると車が便利だったり。家族でおでかけするところも、多くが「車でいく」ことを前提で運営されています。だからソウルの人は、通勤は電車やバスで行っても、お出かけは車を使う割合が断トツ高いです。

だから韓国人向けのお出かけ情報やグルメブログには、
必ず「駐車場」の情報が載っています。ソウルのごちゃごちゃした街でも、公営や民間駐車場は1時間千円は超えないし、道に適当に違法駐車してしまう車も多い現実です。

逆に自転車の事情はあまりよくなく(これはまた別途記事で書きます)
スポーツとしては乗りますが、日常生活で自転車は使いづらいです。
バイクは危険なので、ドライバーさんが乗るくらい。

また、車検のお金も日本と比べたら高くないので、
大きめのセダンやSUVに乗り、小さい車で運転すると大きい車で視野が隠れたり、方向転換するときに譲ってもらえなかったりして、結局みんなが大きい車を好む傾向になっています。

特に若い世代では外車への憧れが強く、
ベンツやBMWのエントリーモデルの売れ行きが、韓国産の車の3割近くまで伸びています。韓国の車価格自体も500万円近いので、外車との差が縮まり、選択肢が広がったことも原因だとみられます。

ということで、韓国の人がなぜ日本より車を買うのか、
どのような車が人気なのかも書いてみました。
韓国の車文化については、まだ山ほどネタが多いので、お楽しみに!


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