「空気」で人を動かす

人を動かすにはマネジメントやコーチングなどの手法を駆使するのではなく、「空気」を変えることだという著者の主張が気になったので読んでみた。

本の内容に入る前に、うちの職場は空気がいいとは必ずしも言えない。

もちろん悪い(以前は悪かったが…)とは言わないが、みんなが前を向いて仕事をしている状況とはとても言えない。

その原因は何かと考えた時、少なからずこの空気感というものが会社の雰囲気につながっているのではないかという想いを抱いていた。

そこで、この本を読んでみたわけだが、まず登場するのは他の本とかでもよく出てくる、「自然人」「可燃人」「不燃人」という言葉だ。

「自然人(じねんじん)」とは自分で燃焼させられる人のことで、ほっといてもモチベーションを高くできる人のことを指す。

「可燃人」は自力では意欲的な行動を取ることはないのだが、周りにのせられて燃焼できる人のこと。

そして「不燃人」はその名の通り、どうやっても燃えることができない人のことだ。

それから「2:6:2」の法則。

どの職場でもこの法則は当てはまるようで、2割の「自然人」をうまく動かすことで、6割の「可燃人」にその火が燃え移らせることができれば、会社全体の空気感を変えられるという話だ。

なので「自然人」をいかに見つけて行動させるかがカギだということだ。

ちなみにどんなにひどい人材しか社内にいないと思っていたとしても、かならずこの「2:6:2」の法則に則ったバランスに落ち着くらしい。

逆にどんなに優秀な人材を集めたとしても2割は必ず落ちこぼれるということだ。

ここで興味深いことが書いてあったのだが、普通コンサルタントは会社を経営状態を立て直すために論理的に問題点を見つけ出し、それへの対応策を検討して実行に移していくわけだが、その問題点と対応策が正解であったとしても成果が表れないことがあるというのだ。

その要因がこの本のタイトルでもあるその会社が持つ「空気」なのだ。

個別に面談をして、それぞれの考え方ややる気に問題がなかったとしても、それを会社が持っている「空気」が阻止して改善を拒むことがあるというのだ。

確かにこれは思い当たる節があって、うちの会社でも同じようなことがあったりした。

ではどうしたらいいのかというと、その「空気」を変えればいいという話になるわけだが、悪い「空気」を作るひとつの理由として、「なぜそのように考えるのか」、「なぜそのように行動するのか」と問い詰めることがダメらしいのだ。

例えば、提出物を遅れて出してきた部下がいる場合、「なぜ遅れたのか?」と尋ねると、遅れた理由が特にあるわけでもないのに、聞かれたことで理由を考えてしまうようになるらしい。

なので、「誰も期限なんて守ってないからだ」とか、「期限を守ったからと言って実務に影響が出ないから」とかの理由を、本当は思っていなくても作ってしまうようになるので、そんなことでいちいち小言を言ってくる上司が気に食わず、「空気」が悪くなっていくという構図になってしまうということだ。

これを防ぐためには、

 1.早めに対処すること

 2.客観的事実に基づいた対処をすること

この2点を重視することだと著者は述べている。

とにかく、従来の論的思考による問題点に対するアプローチという方法ではなく、この「空気」に対してどのように対処していくのかというアプローチはこれまでと違った視点を与えてくれたことは間違いないので、今後の会社づくりに生かしていきたいと思った。

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