引き算の発想をすればライバルに勝てる

書籍:引き算する勇気
著者:岩崎邦彦
評価:★★★★☆

この本はおもしろい。

引き算の発想といえばまっさきに最近家電メーカーとしての大躍進が目立っているアイリスオーヤマが頭に浮かぶが、この本にはそうした企業の多角化(足し算)ではなく、引き算(集中と選択)をすることでライバルを出し抜く方法が紹介されている。

企業が生き残りをかけて引き算をすることでより成長していく過程であったり、アンケート調査を元にいかに引き算が世間で受け入れられやすいのかを客観的に観察することで引き算の優位性をうまく説明している。

たとえばカレー専門店のCoCo壱番屋を例にとっている下りを引用すると、元々CoCo壱番屋は名古屋のとある喫茶店が発祥なのだが、ここのカレーがうまいと評判だったため、店主は思い切ってカレーに絞り、専門店を立ち上げたのだ。

そのあとの成長についてはご存知のとおりだが、ここでひとつ問いかけをしてみる。

あなたは次のうち、どちらのお店でカレーを食べたいと思うか。

 1.こだわりのスパイスが効いたカレー専門店
 2.ハンバーグ、ピザ、オムライス、カレーがなんでもうまい洋食屋さん

おそらくほとんどの人が1のカレー専門店で食べたいと思うはずだ。

要は、企業を経営する側としては、戦う武器を増やそうとして2の店を目指そうとするのだが、庶民が求めているのは逆にカレーしか取り扱いのない1の店だという現実である。

この引き算の発想であったり、さらにその武器を強めていくための掛け算の発想について本書は丁寧に説明してくれているので非常に読み応えがある。

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