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神海戦士エルマーレ 第1話「戦士の目覚め」Part1 #エルマーレ

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プロローグ


海岸に火柱が立ち上り、夜帳を引き裂く。
その中で何かが蠢き、姿を現したのは赤熱する人型異形!その頭部が熱を増し、炎を吐き出す!一帯が更に炎に包まれる……その先には祠が!

(あのままじゃ……守り神様が!)

岩陰に隠れる若い女性が祠の様子を案じ……そして走り出した!
だがもう一歩の所で爆風が……燃え上がる祠……光が!
「だめ!」彼女は“それ”を掴んだ!

そして、紺碧の光が全てを覆っていった……。


神海戦士エルマーレ

第1話「戦士の目覚め」


――三日後、フェリー「かげろう号」船内。


『……続いては龍仙島海岸で発生した火災の続報です』
フェリーの船室で座ってラジオを聴く大学生風の男が一人。
龍仙島と聞いて彼……海藤碇は耳をそばだてる。この便の目的地という理由だけではない。
『……この火災で祠が全焼……浜乃奈海さんが行方不明……』
彼と奈海は幼馴染であり、中学校の頃まで龍仙島で暮らしていた。
奈海は島に留まり碇は上京したが、この一件で島に帰って来る事を勧められたのだ。
(辰五郎のじっちゃんが久しぶりに連絡してきたと思ったら、まさかこんな)
『……火元は依然として不明、警察は』
碇は彼女の身を強く案じていた。思わず指輪の青くさざめく宝石を覗き込む……彼にとってのお守りだ、見ていると心が安らぐ。
(頼む……無事でいてくれ!)

彼の感傷を打ち砕くように突如船体が激しく揺らぐ!

「嫌な予感がする……!」碇は船室を飛び出す!
轟音を聞き非常ベルの鳴り響く船内を走ると、デッキに通じる扉が吹き飛び煙が吹き込んでいる。
消火器を掴み外に出ると、火柱の中から固まった溶岩の如き体に赤熱頭部の怪人の姿が!赤熱する頭部が大きく燃え上がり、炎を吐き出す!
(まさか祠を焼いたのは……!?)その時は知る由もなかったが、彼はそう直感した。
もう二体の新手。碇は手にした消火器を噴霧!怪人の炎が熾火じみて燻り、動きが止まる!その隙に消火器で殴打!灼熱の怪人は消し炭の如く力なく崩れ落ちる。
「どうだ!」


「どうする?」
火災と騒乱の中デッキ上で全く動じず一際威圧感を放つ二者あり。
一人はファイヤーパターンガウンを纏った2m超のスキンヘッド偉丈夫、もう一人は褐色の肌に金髪、派手な髪飾りに刺激的な赤い衣の女性。先に口を開いたのは金髪の女性だ。

「あいつ、結構頑張ってるみたいだけど」彼女は偉丈夫に挑発的な視線を向ける。
「おいペレー」偉丈夫も睨み返す。「俺が連れてきたのがあいつら雑兵だけとは、無論思ってねえだろうな」
だが女性の方は特に意にも介さない様子だ。「……まぁスルトの連れてきたのなら大丈夫でしょ」


更に反対側から新手。振り向きざまに続けて消火器を噴霧!怯んだ隙に消火器で殴り倒す!「やったぜ!」
だが直後、背後で突然の爆発!碇は衝撃でデッキから大きく吹き飛ばされる……!
海へと落ちる直前に彼が目にしたのは、野牛の如き巨大な角を持つ巨躯であった。


溺れそうな碇に声が聞こえた……余りに聞き覚えのある声が。
海中で何かが光る。彼は必死に“それ”を掴んだ!


そして、視界を紺碧の光が満たす……!!



Part2に続く

スキするとお姉さんの秘密や海の神秘のメッセージが聞けたりするわよ。