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「”弱火で10分”を低クオリティとは言わない」(39日目)

■概要。 

「プペルSTAGEを例に、全体の仕上げの為の”火力調整”で調和を図るお話。」

※当時の「西野亮廣エンタメ研究所」の記事を、感想(しるし)を追記して再掲載します。 

■本日の応援者。 

この記事は、「ただただ雄心さんを応援したいbyFumitakaHanaka」さんのご提供でお送り致します。 

Fumitakaさん、応援ありがとうございます!!

■以下、本文。 (2020/02/06)

2月6日(木) ※2月8日以降は『いいね』を押さないでください。
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こんにちは。
年に一度、東野幸治さんと二人で呑みに行く日があるキングコング西野です。
ちなみに、今日が、その日です。

仲はいいけれど、それはそれとして処刑される西野さん。

さて。

昨夜、舞台『えんとつ町のプペル THE STAGE』の大千秋楽がありました。
全18回公演、誰一人欠けることなく、無事に走り終えたことをご報告させていただきます。
本当にありがとうございました。

無事に終える。最高に大事で、決して欠かせない事。

昨日を含めて、僕は4回観に行かせていただいたのですが、もちろん改善点はあるものの、舞台『えんとつ町のプペル』には可能性しか感じませんでした。

舞台『えんとつ町のプペル』は、まず間違いなく、今後数十年続くエンターテイメントになるでしょう。
そこに向けて、どう改善していけばいいのか?
どの部分を伸ばしていけばいいのか?

解像度をグッとあげて、皆様に御説明させていただきます。

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▼ 『えんとつ町のプペル THE STAGE』とは何か?
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『えんとつ町のプペル THE STAGE』を「舞台作品」「ミュージカル作品」としてしまうと、あの作品の可能性はその瞬間に終わってしまいます。

これは昨日、堀江貴文さんやSHOWROOM前田さんとも話したのですが、『えんとつ町のプペル THE STAGE』の可能性は…

① 絵本の舞台版(1時間半)を観る。
終演後にグッズ(おみやげ)で絵本を買う。
③ 買って帰ってきた絵本を家に置く。
子供が生まれたら、絵本を読み聞かせする。
⑤ 子供と共に絵本の舞台版が観に行きたくなる。
⑥ 絵本の舞台版(1時間半)を観る。

…という無限ループ(少なくとも2週目)が生まれるところですね。

シナジーマップでいう、ID(世界観)を共有しているからこそ成立している。

つまるところ、『えんとつ町のプペル THE STAGE』は、【絵本『えんとつ町のプペル』のCM】なんですね。

厳密に言うと、皆、死ぬ気で舞台を作っているわけで、CMを作っているわけではないのですが、「CMとして機能している」という話です。

まずは、ここを押さえておかなくちゃいけません。

シナジーマップでいうAD(宣伝)の矢印。舞台→絵本。

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▼ 絵本のCMとして考える
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CMとして考えた時に、実は邪魔をする可能性があるのが、ミュージカルでは必要不可欠な「圧倒的は歌唱力」です。

圧倒的な歌唱力というのは「一方通行のエンタメ(※私の歌唱力どや?)」で、子供を巻き込めない(子供が真似をしない)ので、CMとしては邪魔です。

圧倒的な歌唱力は、さながらプロのシェフが提供するレストラン型のサービス。

子供にバズっている『パプリカ』は米津玄師さんが歌っているバージョンではなくて、子供が歌っているバージョンです。
“子供が再現できるように”調整する必要があるわけですね。

こちらの場合、BBQ的な体験になる。今回は絵本を読んだ子供たちが将来プペルの舞台のお客さん&演者になって欲しいので、今からお子さんが主役になれる様に設計した方がプペル全体の濃いファンを生み出せる。
現在(2021/08/24)は4000万回再生オーバー。本家の億回越えも凄まじい。

ここを見誤って、歌唱力を追い求めてしまうと、余多あるミュージカル作品のうちの一つとなってしまって、『絵本の舞台版』というアドバンテージが消えてしまいます
無限ループが途絶えてしまいます。

昨日、演出の児玉明子さんが、「ルビッチ役は歌が下手でいいんです。だって、ルビッチは歌手じゃなくて、煙突掃除屋だから。ルビッチが極端に歌が上手かったら、そんな子は絶対に成功している。そうすると、ストーリーの辻褄が合わないじゃないですか」と言ってらして、図らずも『歌唱力は要らない』で意見が合致しました。

余談ですが、児玉さんが面白いのは、宝塚歌劇団出身の演出家さんが、「物語の邪魔になるので、歌の上手さは要らない」と結論されているところ。すごいなー。
彼女は天才だと思います。
ちょっと、鳥肌が立つレベルです。

※当然ながら、クオリティが高い方が当然良いに決まっている。今回は「作品としてのクオリティ」を追求した結果…その最適な付け合わせとしてピッタシな、「成長中の歌唱力の役者さん」が抜擢されただけのお話。
ドラマの子役には、どれだけ芝居が上手くても「芸歴50年選手」は抜擢出来ないんだ。(整合性がとれない。)

話を戻します。

CMなので『歌の上手さ』は要らないのですが、『曲の良さ』は必要です。
ポイントはココですね。

曲が悪いと、『歌の下手さ』が不快感に繋がるので。
『パプリカ』は曲が良いから、子供が歌って、多少音をハズそうが聴いていられます。

年末に『天才万博』という忘年会をやっているのですが、そこでは、『えんとつ町のプペル』や『オーシャンゼリゼ』を音痴の子供がマイクを握って大声で歌っているのですが、全然、聴けるんですよね。

『えんとつ町のプペル THE STAGE』で流れる曲は、いわば「CMソング」なので、歌は下手でもいいから、曲は良くないといけません。

一方で、ブロードウェイでおこなう『Poupelle of Chimney Town』は歌も曲も最上級のものを提供しなければなりません。
あちらは「ミュージカル」なので。

つい先日、日本版のMVが一つ出来ました。子供による再現性なんてガン無視の、純粋なクオリティでぶん殴ってくるタイプ。


ここの棲み分けをキチンとしておかないと、皆すぐに、すべての項目のクオリティーを上げようとしてしまうので、気をつけておいた方が良さそうです。

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▼ これ、舞台だけの話じゃないです
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「すべてのクオリティーを上げた方がいい」という短絡的思考による事故は、いろんな場面で起きていて、たとえば「田舎のお店をオシャレにリフォームしたことによって、(オシャレに自信がない人が店に入りにくい雰囲気になって)集客が落ちた」ということが普通にあります。

ニシノコンサルを受けた、神楽坂イタリアンさんとかね。

目的に合わせて、どのツマミを上げて、どのツマミを絞るのか?
その判断が必要ですね。

『えんとつ町のプペル THE STAGE』を「絵本のCM(絵本のCMとすることでリピーターを生む)」とすることによって、見えてくる答えが結構あった。というのが今回の収穫です。

とりいそぎ、皆の耳に残る『えんとつ町のプペル THE STAGE』の曲を作ろうと思います。

現場からは以上でーす。

【追伸】

絵本『夢幻鉄道』の曲のラフは完成したよ。

作曲:西野亮廣 
演奏:中村文香

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■私のしるし。(当時のコメント)

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■今振り返ってみて。 

当然ながら、そもそも「クオリティが高い」なんてのは超超大前提。そうで無くてはなんの役にも立たないし、誰にとっても意味もない。

そしてその上で、適切な火力を「選べる」からこそこうして仕事を依頼する価値がある。

弱火で10分と指示しているのに勝手に強火で1分にする奴は総じて料理が下手だし、喧嘩自慢の脳筋では一流のボクサーが放つ軽快なジャブ一発で即K.O.だ。

クオリティとは即ち心技体の総和であり、なのに己の「体」という最大火力しか鍛えていないのならそれはただのサボりという。

依頼者の「心」を介し、適切な「技」を持って、そこで初めて鍛え上げた「体」がようやく全てを可能にする。

戦える(参加可能)と、戦える(戦場で生き残れる)は、全くの別の話なのだ。

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