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ゾウのうんこに会いたくてタンザニアに行った話⑤


長い移動を終えて2日目の宿泊地についた僕は、信じがたい光景を見た。

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2日目の宿泊地は、完全にただの野原だった。

柵もなく、本当にサバンナのど真ん中でテントだけ張ってキャンプをするって感じだ。

ぱっと見、いつハイエナが来てもおかしくない。

まあでも、あまり動物が来ないエリアを選んでいるのかもしれないし、と思い

「ここにはハイエナとか来るの?」

とキャンプサイトの管理人らしき人に聞いてみた。


「そりゃハイエナは来るよ!たくさん。トイレ行くときは気をつけろよ~。あっでも、ライオンやゾウはたまにしか来ないから安心しろ!」

と笑顔で言われた。


来るのか、ハイエナ。たくさん。
ていうか、たまに来るんだ。ゾウとかライオン。
聞いてないぞ、ツアー会社のおっちゃん。


ツアー会社のおっちゃんを呪いつつ、仕方なく小さくて薄いテントを張った。

キャンプサイトについたのはもう夕方だったので、すぐに夕食の時間になった。夕食を食べながら、みんなで自分の国の話をした。

宗教の話や政治の話、日本だとあまり日常的に話題に上らないようなことを、みんな当たり前のように話していた。それがとても新鮮で楽しかった。


食事の後、ジャッキー・チェンが焚火をやりたいと言い出した。
みんなでその辺から細い枝を拾ってきて、焚火をつくり、それを囲んでゆっくり話をした。

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僕がタンザニアに10日くらい滞在して、すぐに日本に帰るんだと言うと、みんな口をそろえて


「クレイジーだ!」と言った。


「せっかくアフリカに来るのにそんな少ししか滞在しないなんて!」
「俺なんて3か月休んでるぞ。」
「私は半年。」
「私たちはこのあとザンジバル(タンザニアの近くの島)にいく。あなたも帰るのやめて一緒に来れば?」

会社勤めの日本人からしたら、10日も休めるなんてなかなかなんだけど、ここではクレイジー扱いだ。世界は広い。


お酒を飲んで、みんな少し酔っぱらってきたところで、自分の国の歌を歌おうということになった。

みんな母国語で歌うので、どんな歌詞なんだか全然わからない。

だけど、なんだかみんな楽しそうだった。

僕は、その時なんとなく思いついた、ブルーハーツの「夕暮れ」を歌った。

みんな「いい歌だね!」と言ってくれた。

お開きにしよう、となったときには完全に真っ暗だった。

焚火を消して夜空を見上げると、今まで見たことがないくらい、たくさんの星が見えた。

つづく


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