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映画『レスラー』のラウンド・アンド・ラウンド

ヒロセ・ハジメ

■映画『レスラー』


大好きな映画がありまして、『レスラー』という映画です。
2008年の映画でヴェネチア国際映画祭の金獅子賞を受賞した作品です。あの北野武監督の『HANABI』が受賞したことでも知られる三大映画賞の一つです。
余りネタバレしないようには話しますが、純粋に映画を楽しみたい方はチャプターを選択してT シャツの所を観ていただけると良いかもしれません。

レスラーというのはプロレスラーのことを指しています。
メタル・ヘルスが入場テーマ曲のベビー・フェイスレスラー、ランディー”ザ・ラム”ロビンソンは1989年にヒール(悪役)レスラーのアヤトラーと伝説的な試合をした超人気レスラーでした。ファミコンのプロレスゲームにもなったくらいのかつての人気レスラーも年老いて細々とローカルなリングに上がったり寂しいファンミーティングでグッズを売ったりして食うやくわずの生活。かつての栄光もすっかり翳ってしまっています。

プロレスのリアルな裏の面赤裸々に描いており、ステロイドやブックという試合の申し合わせであったり、歪みあったり敵対するストーリーもアングルであり本当はお互い身体をはった、ある意味命を預け合う仲間意識の高い世界だとか、
ステロイド注射や痛み止めのドラッグのせいもあってランディーは心臓発作を起こして倒れて一度は引退してスーパーの惣菜売り場で働いたりするんですけど、やっぱり自分の輝ける唯一の場所はリングの上だけだと、アヤトラーとの再戦、伝説の再戦に挑むことになるのですが…

■80年代の二枚目俳優を代表する役者、ミッキー・ローク


このかつての人気レスラー演じるのは80年代ニヒルな二枚目を演じて人気アクターとなったミッキー・ロークです。レスラーと彼の役者人生がシンクロしてミッキー・ロークを知る者はもの凄く感情を揺さぶられます。
ロークはこの映画でゴールデングローブ主演男優賞を受賞しています。
エンゼル・ハートやナイン・ハーフ、ハーレーダビッドソン&マルボロマンなんかを観て大好きだった俳優だったので、影響を受けてCAMELのタバコを吸ったり、バイクもそっくりにカスタムしてたりしたので、整形にほとんど失敗して落ちぶれたロークを見るとなんとも言えない寂しく悲しい気持ちになったものでした。

劇中、ランディが好意を寄せるストリッパーのパムに娘へのプレゼント選びに付き合ってもらい、バーでビールを飲んでいる時のこと、そのバーでラットの”Round and Round”がかかります。
ランディとパムはノリノリで歌い
「昔の曲はい」「80年代が最高」「ガンズ・アンド・ローゼズ、モトリー・クルー、「デフ・レパード」「でもニルヴァーナの登場で」「楽しさがぶち壊し」
そう盛り上がり、思わずキスをしてしまうというシーンがあって、この映画の中でとっても印象に残っています。

■80年代のハードロックを代表するバンド、ラット


くしくも、ガンズもモトリーもデフ・レパードも実際にライブを観たことあるんですが、その中でもラットは85年、86年と2年連続で来日したこともあって、その両方を観に行ってますし、その時期コピーバンドもやってたりして、85年、86年と名古屋市公会堂でラットを観ました。
ラットは見た目も良かったですし、ステージのパフォーマンスも派手でしたし、サービス精神も旺盛でした。僕が一緒にバンドを組んでた友人が公演終わりに出待ちじゃ無いですが、バンドのメンバーに会えたりしないかと会場の周りを探っていたらトイレで要を足しているドラムのボビー・ブロッツアーを見かけてトイレの小窓の枠にしがみついて「ボビー!ボビー!」と叫んでたんだそうです。そしたらボビーは要をたす格好のまま窓まで来てくれて笑って何事か話しかけてくれたんだそう。友人はボビーの●●●を見たと興奮してましたね。そういう指向ではなかったハズですが(笑)
音もカッコ良かったです。個性的なボーカルにしっかりとしたハードロックのリフ、テクニックもありましたし、曲もバラエティ飛んでいたのですが、一貫し他ところがあり、ファンは安心して聴いていられる感じでした。

■ラットのTシャツ


そのラットの85ー86年に日本を含む世界中をツアーしたインヴェジョン・オブ・ユア・プライバシーツアーのTシャツです。
アルバムジャケットの美しい女性が靴下を履く姿がなんともセクシーな柄が気に入ってます。80年代当時のもので古着で購入したものです。

ラットもある意味純粋に80年代のロックを象徴するようなバンドであったんだと思います。ただ、さっきも言ったように一貫していた、ラットンロールと呼ばれるくらい、終始ラットはラットで時代におもねるようなことはなかったんです。
4thアルバム、5thアルバムとどちらもすごくカッコイイ名曲が入っているアルバムなのですが、時代は90年代に突入しており、バンドの創設メンバーであるギターのロビン・クロスビー、この人が本当にイイ人だったそうなんですが、ドラッグの問題もあって離脱。バンドの核を失ってラットは解散することになってしまします。
それはまさに映画レスラーの元人気レスラーが引退するのと重なるようでもあります。

■80年代の栄光の果て


レスラーという映画、最後ランディがどうなったかは描かれていません。それはミッキー・ロークという役者も終わっていない(いなかった)からだと思います。

そしてラットも、80年代のロックも、終わったようにも取れますし、終わっていないと思うことも可能にしています。
さて、このレスラーという映画からさらに10年以上経った2020年代ですが、
ミッキー・ロークは役者としてではなく、相変わらず整形なんかがちょろっと話題になるくらい、ラットは離合集散の上、老いた名を残して入るようです。

最後にレスラーという映画のサウンド・トラックがとっても良いので全てでは無いですが紹介しておきます。
Metal Health / Quiet Riot
Don't Know What You Got (Till Its Gone)/ Cinderella
Don't Walk Away / Firehouse
Welcome To Hell / Rhino Bucket
Round and Round / Ratt
I’m Insane / Ratt
Dangerous / Slaughter
Animal Magnetism / Scorpions
Balls To The Wall / Accept
Sweet Child O’ Mine / Guns n Roses
The Wrestler / Bruce Springsteen
そしてオリジナルスコアのギターはスラッシュです。

https://www.youtube.com/watch?v=BA0B487iQbM&t=13s

■おまけ


娘とダンスを踊るシーンがあるののですが、ボロボロで見窄らしいのに、娘をダンスに誘うのにお辞儀をする姿がかつての二枚目はっていた頃並にセクシーなのです。役者としてのミッキー・ロークとレスラーのランディがとの重なりが狙い以上に観る者に伝わってきます。
 映画のストーリー、映像と本当の役者の人生や見た目とが観る者の中で重なる稀有な作品だと思います。ただ、ミッキー・ロークという役者を二枚目の頃から知っていないといけないという条件はありますが…
そういえば、映画の中でも名前が上がったモトリー・クルーも伝記ドラマが作られたり、80年代懐古的な復活ツアーをデフ・レパードやポイズンといったバンドと行うとか(2022年3月現在では延期の状態)。
それにあたってメディアで見られたモトリー・クルーのボーカル、ヴィンス・ニールの姿もかつての面影なく、悲しい感じがしたりしました。
やはり、人生というものはいくらお金や名声があっても世の中の人、皆がが納得するようなものにはならない、ままならないものなんだなぁ、と。
だからといって、綺麗に辞められるものでもないというのが、面白くもあるのです。そんな思いをさせてくれる映画『レスラー』だったり、80年代の音楽、大好きです。


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