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TOP GUN (マーヴェリックTシャツの着こなし)

■80年代、映画館へ行こう!


映画はかつて総合芸術とすら言われた表現でした。確かに、映画にその時代の知性が結集され新しい思想や文化の表現として重要なメディアであったのは間違いないと思います。
映画はその時そのものを映していたのでしょう。

ただ、僕がティーン・エイジだった80年代ころの映画はその技術的な表現方法の発達やグローバリズムに乗ってハリウッドで制作されたもののマーケットが世界規模になることで制作費とヒットした時の収益が一気に跳ね上がって行きました。
すると、総合芸術からビジネス・コンテンツへとシフトし、そこに関与するのはマーケッターになって行き、単純に分かりやすく楽しめるモノの意味あいがウェイトを占めるようになっていました。
産業ロックの構造とほぼ同じですね。

なので、その頃観た映画はどれも面白かったですし、一緒に映画観に行こうなんて言って女の子をデートに誘うにもって来いのコンテンツなワケです。
そういう意味もあってその頃観た映画は思い出深いものだったりします。

■トム・クルーズ登場!


1986年ケニー・ロギンスのドラマチックなロックナンバー、デンジャー・ゾーンをバックにF14トムキャット戦闘機に搭乗するトムクルーズが登場した時は世の男子も女子もカッコいいーと痺れたものです。

女子は当時のトム・クルーズの爽やかな男っぽさ顔ももちろんイケてますし、そりゃイイと思うでしょう。
男子は、何でしょう?まず、劇中のファッションがカッコ良かったかもしれません。トム・クルーズは、リーバイス501を愛用してるということでしたし、それに白いTシャツ、革のG-1フライトジャケット、首にはネックレスがわりのドックタグ、そしてレイバンのサングラスをかけてKawasaki GPZ 900R (通称Ninja)に乗ってるというカッコいいアメリカの典型とも言えるスタイルでスクリーンに登場します。またトム・クルーズはそんなに背が高くてスタイルがとってもとっても良いというわけではないから親しみも湧きやすかったのだと思います。
とにかく、このトップガンでトム・クルーズは当時ブラッド・パックと呼ばれた若い新進気鋭の役者集団から頭ひとつ抜け出した感じでした。

■本物の戦闘機


そして映画トップ・ガンの主役はやっぱり本物の戦闘機が画面の縦横の飛び回る映像だと思います。アメリカ海軍の全面協力のもと撮影されたという戦闘機のシーンは本物のF14戦闘機にトム・クルーズ他の役者も搭乗しカメラを持ち込んで撮影されたそうです。当時はCGってものがなかったので、当然そうなるわけですが、本物の戦闘機が飛ぶ本物の映像だからこその迫力と臨場感は劇場の大きなスクリーンや大きな音で鑑賞するために作られたような映画でした。そしてその主役たる戦闘機の足を引っ張ることがないような単純明快なストーリー、トップのパイロットになるためにライバルと競走、美人教官との恋愛、そして挫折を乗り越えて(冷戦真っ只中におけるソ連に)勝利という、本当に誰ば観てもわかるものがよかったのだと思います。
おかげでトップ・ガンは1986年の映画興行収益No.1の大ヒットになり、アメリカ海軍への志願者が5倍に増えるというおまけまでついたのは有名な話です。

■トップ・ガンの中で相棒グースがビーチバレーシーンで着ているTシャツ


戦闘機にはパイロットとレーダー要員がバディを組んで乗り込みます。
二人で一組のチームということです。で、なぜか訓練がチームで点数を競い合ってトップのチームが表彰されるというまるでスポ根マンガのような展開なんですが、実際にそれを強く意識させるようなシーンとして二人一組のライバルチームとビーチバレーで対決するシーンがあります。当時ビーチで上半身裸の男がバレーをやるスポーツがあるなんて知りませんでしたが、またいかにもアメリカン・マッチョ的な印象を強く刷り込むシーンになっています。
そのシーンでトム・クルーズ演じるマーヴェリックの相棒、アンソニー・エドワース演じる(この人、ERという医療ドラマのグリーン先生が当たり役で好きでした)グースが着ているTシャツが自分たちの所属する隊のエンブレムがプリントされたTシャツです。ファイヤーバードがプリントされているVF-1(ファイター・スコードロンの一番隊)ということらしいですが、これは架空の部隊でエンブレムはファイター・スコードロンではない部隊のものを使用しているとのことです。

このTシャツ、劇中でマーヴェリックが着用している所は確認できないのですが、映画のプロモーション用のショットで着用しているものがあります。
それもシャツを裏返して着ています。
そう言えば、80年代に流行った(?)着こなしとしてトレーナーやTシャツを裏か返しに着るってのがありましたね。ファッション的には首のところにあるブランドネームを見せるたねとか、機能的な意味ではガットという縫い目が直接肌に当たらないようにとかそんな意味があっての裏返し着用だったようですが、どう考えても「それ間違ってきてるよね?」ってなりますし、当然のごとく変なので、すぐに廃れましたね。(そう言えば、大学時代にサークルのオリジナルトレーナーは背面プリントだったのを前後逆に着て登場した奴がいたなぁ)

■30年以上経って続編が


というわけで、80年代を代表する映画になったトップ・ガンなので、続編の企画が長い間ねられていたようですが、2017年にトム・クルーズ主演でようやく制作発表されました。
ん???いつの間にかトム・クルーズはスタントマンを使わないアクション・スターになってはいましたが、前作から30年以上経っているってことはトムも50歳を過ぎて60歳に手が掛かろうかという年齢、前作の教官達より余裕で歳上になっていますし、本当なら退役していてもおかしくない年齢です。大丈夫か??と思いました。2019年には完成が発表され色んな意味で公開が待ち遠しかったのですが、諸般の事情で公開が延期に延期を重ね、2022年の5月27日日本でもようやく公開されました。
何の心配も及ばない映画でした。
前作を踏襲したストーリーにはなっていますが、前作を見ていなくてもわかるくらいお話しはやっぱり単純明快です。
何と言っても主役の戦闘機は本物で戦闘シーンもCGではありません。撮影もデジタルカメラを使用していると思われ臨場感が凄くて本当に戦闘機で空を飛んだらこんな景色が見えるんだろうなぁという感じです。


■おまけ


ライバルのアイスマンはヴァル・キルマーでこの役者さんも後にジム・モリソンをそっくりに演じたり、2代目バット・マンになったり、Out Of Your Mindっていうデュラン・デュランの隠れた名曲が主題歌になっている怪盗映画に出てたりと個人的にツボにハマる好きな役者さんだったり、同じ隊にはショーン・シャンクの空にのティム・ロビンスがいたり、グースの奥さんはメグ・ライアンが演じていたりと、映画のヒットに引っ張られて出演者も後にキャリア形成しているというのも面白く見られます。

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