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Queenのお仕事(The Works)

■新曲が聴きたい

1984年の年末だったと記憶しているのですが、中学3年生だった私は高校受験が迫っているにもかかわらず、学校が終わると、友人の家に遊びに行ってロック音楽を聴いて過ごしているような感じでした。
その2年前13歳の時に”Another One Bite The Dust(邦題:地獄へ道づれ)”に出会って、初めて買ったLPレコード、アルバム『The Game』のお話は前回した通りで、そこから弟が買った『Hot Space』、ジャケットの絵が好きで買った『News  Of The World(邦題:世界に捧ぐ)』をよく聴いていました。あと友達のお姉さんが持っていた”Bohemian Rhapsody”の入った『A Night At The Opera』をテープにダビングしてもらったりして擦り切れるほど聴いたり、『Live killers』を貸しレコード屋から借りてきて"We Will Rock You"のファストバージョンのカッコ良さに衝撃を受けたりして、Queenへの思いが盛り上がっていました。渇望に近い感じになっていたと言ってもいいかもしれません。
個人的な盛り上がりとは裏腹に日本でも大人気だったQueen、ミュージック・ライフ誌の人気投票では何年も1位だったQueenがDuran Duranに取って変わられたり、なぜか『Hot Space』がイマイチだという評価だったり、私と弟の中ではかなり聴き込んだ大好きなアルバムなんですが、あとメンバーのロジャーやブライアンがソロ活動をしていたりといったことも影響していたのだと思うのですが、後追いではないリアルタイムなQueen、Queenの新譜を新しくリリースされる新曲を聴きたい気持ちが積もっているような状態だったのだと思います。

■ラジオ、から

1984年、ロック好き友達の家で音楽雑誌かマンガを読みながらレコードを聴いて、ダラダラ過ごすのが楽しい15歳、友人がふと「Queenの新曲、昨日ラジオで聴いたぞ」と言い、私はダラっとした気分がシャキッと覚醒したようになったのを記憶しています。「どんな感じの曲だった?」とすぐさま聞いたけどのですが、その友人は「う〜ん、なんか普通の曲だったかな」というツレない返事。
まぁ、一回聴いただけの曲をこんな曲と表現するような知見もボキャブラリーもない中学3年生ですから、そんなことをたずねる方が間違って入るのですが、もうそう聞かずにはいられませんでしたし、私は食い下がったわけです「どんな感じで普通だったの?例えばQueenの他の曲に似てる感じのは?ボヘミアン・ラプソディみたいな感じか?それとも地獄へ道づれみたいな感じか?」そんな感じで質問攻めにするも、「似ている曲はない」というあっさりとしたものでした。
もうそこは自分で聴くしかないと思い、新聞のラジオ番組表を見て、洋楽がかかりそうな番組をエアチェックすることにしたのです。80年代という時はそれが最も近道だったわけです。
Queenの新曲ですから、そう苦労することなく直ぐに何かのFM番組でDJが"Radio GA GA"を紹介した時は興奮してカーッとなった覚えがあるのですが、聴こえてきた音はいかにも80年代らしいドラムのビートにエフェクトがかかったイントロと綺麗なキーボードの音でした。そしてシンプルなバックに朗々と歌うフレディの歌が乗っかるミドルテンポの大らかな曲でした。何を期待していたかは分かりませんが、思っていたものとは違っていた感じがしたことはよく覚えています。
そして、良い意味でも悪い意味でも熱いものは感じなかったのです。
そして気づいたのは、13歳から14歳、15歳の私がきいたQueenのそれまでの曲はどんな曲にも熱苦しいくらいの熱量を感じ取っていたということでした。
”Bohemian Rhapsody”でも"地獄へ道づれ"でも"Stain Power"でも"伝説のチャンピオン"でも”Killer Queen”でも”輝ける7つの海”でもどんな曲調からも感じられた熱量が感じられない、心地よい音と一緒に歌いたくなるようなメロディのリフレインがある期待以上でも以下でもないQueenの新曲が聴けたのでした。

■レディオ・ガ・ガ

確か"Radio GA GA"は日本でもアルバムに先行して12インチシングル盤がリリースされたはずで、それを買いましたし、ニューアルバム『The Works』も発売日に予約して手に入れました。"Radio GA GA"以外の曲も良い曲ばかりでやっぱり何度も何度も聴きましたし、MTVで流れる"Radio GA GA"や"I Want Break Free"や"It's A Hard Life"などのミュージック・ビデオも食い入るように観たのですが、Duran DuranやPoliceやU2を聴いたり観たりした時に感じるリアルタイム感や同時代的な感じがなく、サラリと聴ける良い曲のQueenでした。
まさか、アルバムのタイトルの"The Works"(お仕事)に音楽に対する情熱ではなく稼ぐ手段であるというような冷めた意味があるとは思いたくはなかったのですが、そのじつはどうなのでしょう?後に色々な記録や証言物を読むに何となくそういった側面もあったようには聞き知るところではありますが…

年が明けて1985年になって、私は志望の高校に入学できて中学の三年間割とたむろしていたロック好きのお兄さんがいた友人とは年末とかにちょろっと集まるくらいになって疎遠になってしまったり。その年にQueenが来日するというニュースを聞きました。電話予約にチャレンジはしてみましたが、全く電話が繋がらなく、早々に諦めたり、その時は少し私自身のQueenに対する熱も少し落ち着いていたのです。今思うと何が何でもチケットを取るべきだったと思って悔やまれます。その理由はもう皆さんがご存知の通りです。

■メトロポリス・マリアのTシャツ

さて、今回も最後にTシャツになってしましますが、これは"The Works"の頃のツアーTシャツの復刻版です。QueenのツアーTシャツではこのデザインのものが一番好きです。1927年のサイレント映画メトロポリスという映画があってこれがSF映画の原点とも言われている有名な古典映画で"Radio GA GA"のビデオの中にも登場するの映画の中に登場するアンドロイドのマリアをモチーフにしたデザインになっています。この映画は80年代に一度復刻されていて元のサイレント映画に音楽をつけたりしたものだったのですがそれにフレディが曲を提供したりといった繋がりでQueenのビデオにもメトロポリスのマリアが登場したようです。


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