見出し画像

奇妙な余所者 in 80s

■80年代のお話しをお届けしたKeep Calm on Tee Schatz


2022年も気が付くとあと2か月とわずかといったところです。
2022のKeep Calm On Tee Schatz はseason8でスタートし80年代にMTVのミュージックビデオの中で観られたTシャツから、80年代のライブ、80年代まで活躍したQueen、それに80年代を中心としたなつかしの映画そして前回までのseason12ではアイアンメイデンのエディ・ザ・ヘッドについてデレク・リッグスが描いた80年代の頃のエディのプリント柄と、80年代を中心にロックとTシャツの話をしてきました。
私個人としてロックや映画やTシャツといった物に対する萌芽の時代であり、今もその影響から逃れられずにいるので、こうやってYouTubeのチャンネルでお話ししたりしているわけです。

■突如、80年代の名曲がチャートを上昇?!


そんな2022年の6月にあるニュースが目につきびっくりしました。
1985年にリリースされたケイト・ブッシュの” Running Up That Hill(邦題:神秘の丘) ”がチャートで1位になったというものでした。リリースされて37年で1位になったのは楽曲が1位になるまでの期間が最も長い記録だということです。
ケイト・ブッシュは私も大好きなピンク・フロイドのデビッド・ギルモアが見出しプロデュースしてデビューしたのですが、圧倒的な美声で一度聴いたら忘れられない歌声のすばらしいアーティストで日本でも超有名な曲” Wuthering Heights(邦題:嵐が丘)”は当時の英国チャートで4週連続の1位になるといったように70年代の終わりから80年代では、今で言うビリー・アイリッシュとかテイラー・スイフトくらいのトップアーティストでしたから、2022年に1位になった” Running Up That Hill(邦題:神秘の丘) ”も楽曲としてすばらいいということは疑いの余地もないところなのですが、37年経った今なのはなぜ?ということになります。
そこでそのニュース記事をよく読んでみると、” Running Up That Hill(邦題:神秘の丘)”が大ヒットしているドラマ、ストレンジャー・シングスで使われたからだということを知りました。
ストレンジャー・シングスというドラマがあることは知っていたのですが、内容は全く知らず、「いつか時間のある時に観よう」と思っていた程度でしたが、1985年の曲を1位にするくらい影響力があるのか、と俄然興味が沸いた覚えがあります。ただ、それもそれきりすっかり忘れてしまっていた先日、今度はメタリカの1985年の”Master of Puppets”が突如としてチャートのトップ10入りのニュース!これもドラマ、ストレンジャー・シングスで使われたということで、ストレンジャー・シングスは1985年の時代とロック、ポップミュージックにもの凄く関係したドラマなんだということに気づいたのです。ということで、ちょうど、Season12の動画を全て撮り終えたところで慌ててストレンジャー・シングスを観始めたといった次第です。

■ドラマ『ストレンジャー・シングス』


4シーズン、全34エピソード1カ月弱でまさに一気観しました。もう次が観たい衝動を抑えられないおもしろさでした。
物語の舞台が1980年代のアメリカの架空の街で、中学生~高校生のオタクの男の子4人組を軸に話が進行するので音楽含めて服装や生活スタイルも忠実に80年代を再現しているだけでなく、物語自体も80年のテイストで作られているので、まさにこのチャンネルで紹介したグーニーズやバック・トゥ・ザ・フューチャー・スターウォーズ、遊星からぶ物体Xとかエイリアンとかホラー映画なんかの要素が詰まっていますし、スタンド・バイ・ミーのスティーヴン・キングやETのスピルバーグ、日本のAKIRAの大友克洋などの影響ともう80年代がギュウギュウに詰まっているドラマなんです。
これまで観た海外ドラマの中でもっとも興奮したドラマかもしれません。

80年代の単純リバイバルでないところがまた面白いんです。
あまり内容に触れるとネタバレしてこれから観る方にとってつまらないものになるといけないと思うのですが、Season12でホラー映画の話をしたときに、死亡フラグとかホラー映画のお約束をいかに上手く裏切るかが映画を面白くするというような話をしたかと思うのですが、このストレンジャーシングスではそれをものの見事にやってくれています。

ココからネタバレ
主人公達、テーブルトークゲーム好きなオタク達に対して、スクール・カーストの頂点にいる金持ちイケメンが出てきて、これがまた軽い感じにチャラチャラしてるわけです。もうホラー映画であれば完全に死亡フラグが何本も立つ場面があるのですが、これが、お約束の上を行く展開で、なんとストレンジャー・シングスのキャラクター人気投票では1位になったとか。
それも納得するような裏切り方、描かれ方で、観ている側に主人公達以上にシンパシーを感じさせるといった、SNS的な、2020年代的な描かれ方がめちゃめちゃ刺さります。このステーヴというキャラ、やっぱり私も一番すきです。
「ファラフォーセット・スプレーを4回だ」
と言うシーンが一番好きです。

と映画的な観せ方や脚本の素晴らしさだけでなく、もちろん音楽も先に上げたケイト・ブッシュやメタリカだけでなく、クラッシュやジョイディビジョン、ニューオーダー、サイケデリックファズといったパンク、ポストパンク、ニューウェーブの曲も印象的に使われたり、デュランデュランのグラビアの美少女がパーティで流れたり、アイシクルワークスの曲がエンディングで流れたり、脚本を書いているダファー兄弟は絶対50代のオタクだとわかる感じがたまりません。

■海外ドラマに登場するロックTシャツ達


今日のTシャツはストレンジャーシングスと海外ドラマに因んだもの三点を特別編として紹介します。

先ずはストレンジャーシングス劇中のメタル好きテーブルトークゲーム愛好会『ヘル・ファイア・クラブ』のベースボールシャツ
この『ヘル・ファイア・クラブ』が悪魔崇拝のカルト集団扱いをされるのも80年代のPMRCを背景にしてるようでした。

あと、劇中で曲が使われたニューオーダー。エレジアという大好きなインスト曲が使われていました。
このTシャツは90年代のアメリカのハイティーンを描いたビバリーヒルズ高校白書青春白書の登場キャラクター、音楽好きのデビット君が劇中に着用していたニューオーダーのTシャツとほぼ同型のTシャツ。
なぜほぼかはドラマをチェックしてみて下さい。

もう一枚はブラックサバスの75年のツアーTシャツです。
こちらも大好きな海外ドラマ”VINYL”という70年代ロック黄金期のレコードレーベル社長が主人公の物語で、ミック・ジャガーがプロデュースに加わり、ミックの息子も役者として気鋭のバンドのボーカリスト役で登場しているロック好きにはたまらない内容のドラマだったのですが、残念ながら1seasonのみで続編は作られませんでした。その”VINYL”の中で主役のレコード社長、リッチーが「ピンク・フロイドかブラック・サバスのどっちがいい?」とTシャツを選んで「ここはブラック・サバスだ!」とチョイスするのがこの73年ツアーTシャツというわけです。
ブラック・サバスのTシャツはストレンジャー・シングスにも登場します。
ストレンジャー・シングスは80年代ということで1983年にリリースされた”Born Again(邦題:悪魔の落とし子)”というこのチャンネルでも度々話題に上がるボーカリスト、イアン・ギランがな、なんとブラック・サバス加入?!で当時ハードロック界に驚きと不安が走った事件的なアルバムのジャケット柄のTシャツをオタク・メタル・バンドのヘル・ファイヤ・クラブのメンバーが着用してます。
また、その場面、別のメンバーはアイアン・メイデンの3rdアルバム”The Number of the Beast(邦題:魔力の刻印)”のジャケットTシャツを着ています。

ということで、ストレンジャー・シングスと80年代を中心に、70年代のロック・ドラマ。90年代の青春ドラマに出てくるロックTシャツを紹介した特別編でした。
80年代のロックや映画やカルチャーを総括するようなドラマ、ストレンジャー・シングス、面白いです!

■おまけ

ハリー・ポッターシリーズなど子供が主演するシリーズものには如何ともし難い問題があります。子供の成長です。
少なからず、子供の可愛さが映画やドラマの魅力になっているからです。それに対して子供の成長は早く、現代のように制作に時間がかかるようなものは物語の進行に対して子供の見た目の成長のスピードが待っていられないような状況になってしまうのです。気がつくと「子供の可愛さ」という魅力を失って物語自体が魅力を失いかねないという非常にクリティカルな問題です。
ストレンジャー。シングス然りですが、可愛さを失っていくことを逆手に取って”成長”を描くこととそこにオタクの悲しさみたいなものや、現代的なセクシャリティの要素なども入れ込むことで上手く魅力を損なわないものにしているところがストレンジャー・シングスの画期的なところでもあります。
どうやら次のSeason5でストレンジャー・シングスは完結するようで、2024年に配信予定とのことですが、主演の子供達(ドラマの中ではもう高校生ですが)がどう成長しているか、待ち遠しい気持ちでいっぱいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?