story ホットケーキ

ばぁばがホットケーキを
焼いています

あーちゃんは台所の
テーブルに座って
足をぶらぶらさせながら
ホットケーキが焼けるのを
待っていました

それで、どうだった？
くらべっこ

ばぁばが背中を
向けたまま
ききました

うん…
さやちゃんの方が
足が早かった

そう

そう…

あーちゃんは少し
ほっぺをぷーっと
ふくらました

さやちゃんは足が早いの
たっくんは絵がじょうずだし
それからまいちゃんは
漢字いっぱい書ける

そう

ばぁばはフライパンを
トントンッとして
ホットケーキをくるんと
ひっくり返しました

わぁ！
ぐうぜん見ていた
あーちゃんは驚きました

ばぁば、すごい！

あらら、そんなにすごい？
ばぁばは笑いながら
言いました
ばぁばにも得意なこと
あったみたいね

ばぁばが手作りの
スグリジャムと
バターをたっぷりかけた
焼きたてのホットケーキを
お皿に乗せて持って来てくれました

今日はたくさんがんばったから
ごほうびにあーちゃんの好きな
ジャムをたっぷりかけたよ

さっきまでほっぺを
ふくらませていた
あーちゃんはすっかり
笑顔になっています

あーちゃんさっき
ばぁばの得意なこと
みつけてくれたでしょ

だから今度は
ばぁばがあーちゃんの
いいところを教えてあげる

あーちゃんはみんなの
良いところをみつけるのがじょうず

すごいなぁって
素直に言ってあげられる

だからね、くらべっこして
がっかりすることはないんだよ

みんなの良いところが
見つけられたもの

この間あーちゃん
ばぁばのこと
写真撮ってくれたでしょ

あの写真
ばぁばとっても気に入っているの

今まで撮ってもらった中で
一番いい顔してるから

あーちゃんは
相手のいいところを
見つけるのが得意だから
一番嬉しい顔や幸せな瞬間を
みつけることができるんだと思うの

あなたが見つけられる
だれかの一番素敵な瞬間を
これからも教えてあげられる
ひとになったらいいわ

そうしたらきっと
あーちゃんも嬉しい気持ちに
なれるとばぁばは思うから

あーちゃんは
じっとばぁばの話しを
聴いていました

そして

うん！
と明るい声で答えました

あのね、わたし
ばぁばのスグリジャムが一番好き

だって、ばぁばのおうちで育って
ばぁばが作ってくれたのだから

そう！

ばぁばは嬉しそうに笑いました

そしてあーちゃんとばぁば
ふたりでスグリジャムを
たっぷりかけた
ホットケーキを食べました