「大丈夫よ、みんな一緒だから」
ごめんなさい。純粋でまっすぐな下ネタです。
イボ痔になって肛門科に行った時のことです。恥ずかしいので出来れば行かないで済ませたかったのですが、なかなか治らなくてやむなく駆け込んだのです。その医者がネットで調べて男性であることはわかっていたので、割と安心して行きました。
で、いざ診察室に入ると、おばちゃん看護師さんが医師の隣に、バイクのサイドカーみたいにピッタリ寄り添ってるじゃないですか!考えてみればそんなこともあるよな…トホホ。
「今日はどうしました?」と医師。
「…どうもイボ痔みたいなんです。」
おばちゃんはオドオドしてるぼくの目を優しく見つめています。まるで、
「いいのよ、恥ずかしがらなくても。うちはそういうところだから。」
とでも言いたげ。
「じゃあ、お尻出してもらえますか?」
「…はい。」
ぼくは一瞬間を置いておばちゃんをチラチラ見ました。が彼女が動く気配はありません。出て行ってくれないの?ねぇ?ねぇってば!
ぼくの不安を察したおばちゃんは微笑を絶やさずに言います。
「大丈夫よ。みんな一緒だから」
その“みんな一緒”が何を意味するのかについて一瞬ハイデガーばりに考え込みました。
「肛門の汚なさなんてアイドルから関取までみんな変わらないのよ」の“みんな一緒”なのか・・・
はたまた、
「恥ずかしいのはみんな同じで最初だけなのよ、人間何にだって慣れるものよ」の“みんな一緒”なのか・・・
いえいえ、
「これまで数千、いや、万の肛門を診てきたベテラン医師とベテラン看護師の私が一緒なんだから安心していいのよ。あなたの犠牲があなたの後に続く患者さんたちのためにも役立つの。私たち全力でサポートするから」つまり、One's asshole for all, all for one's asshole. の意なのか・・・
「はい、それじゃ、この診察台の上に四つん這いになってお尻を突き出して」
医師は眉ひとつ動かさずに言うと、あっさりとぼくを思考の迷宮から引きずり出しました。ともかくぼくは観念して脱ぎ、人間すべり台のような姿勢になりました。医師は指サックをはめて「触診しますね」と仰せになりました。
「えっ!」
恋人にもそんなことされたことないのに…。初がこの人?強いて「渡る世間は鬼ばかり」で言えば、角野卓造さんみたいな人です。
おばちゃんは、ぼくの顔のすぐ隣に寄り添いつつ、
「大丈夫よ、先生慣れてるから」
とウィスパーボイスで仰います。つーか、一番大丈夫じゃないのがアナタに寄り添われてるからなんだけどね…。
「ぼくは初めてなんですっ!」
そう叫んだ後で、なんかちょっと違うシーンを妄想してしまい、吹き出しそうになりました。とにかくそんなこんなで自分史上最高の恥辱を味わって軟膏と座薬をもらって帰りました。おかげさまですぐ良くなりました。
みなさんも肛門科に行く機会があったら、同性のスタッフだけのところに行きましょうね。男性医師ばかりの肛門科ってのも別の意味で心配ですが…。
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