3_1_頭が良い人になるには

「教科書に書いていない勉強法」シリーズ-1
【頭が良い人になるには】
 私は化学を生業としている者で、幼少期から自然科学にどっぷりと漬かり、大学及び大学院でも化学を学びました。普段は「勉強した」と偉そうに言うのが嫌いだからと言うのもありますが、そもそも机に齧りついてまで化学を学んだ記憶がなく、「化学で遊んでいた」と表現することが多いです。とは言え、高校の受験勉強よりは勉強したと思います。現在は存じませんが、私の年代は大学時代より高校時代の方が勉強したと言う人が多いです。私はその逆ですね。化学が面白かったからそれなりに勉強していました。・・・ということにしておいてください。今から思い返せば基礎が足りないとか面白いところだけつまみ食いしてただけとか反省すべきところが山ほどあります。
 さて、ここまで読んで気になったことはありませんか?「ただ運が良いだけじゃないか」と思いませんか?大正解です。


1.頭が悪いのはあなたのせいではない 
 単純に行きましょう。頭が良いか悪いかは”運”です。上記の私の経験をもう一度読み返してみましょう。幼少期から自然科学に馴染めるのはそれだけ親が科学に対して理解があるということですが、これは”運”です。氷河期真っ最中で大学・大学院にさらりと行かせる経済力は”運”以外の何物でもないでしょう。細かいことを書けばきりがないのでこの辺にしておきますが、”運”があればそこそこの努力で何とかできてしまいます。
 身も蓋もないことを言うと生まれつきの頭の良さだって”運”でしょう。”才能”を否定する努力信者はたくさんいましたが、よく考えてください。尺度の一つに過ぎませんが、IQは正規分布の形を取っていますよね?低い部分を障害として助けることはありますが、一方で高い部分があることを無視していませんか?”運”良く生まれつき凄い人はいます。ここで頭の良し悪しをそのまま人権や思想に結び付けるからおかしくなるのであって、自分がどの程度でそこからどうすれば幸せになれるかを考える参考程度で扱えば良いだけです。
 ですから悔やむ必要はありません。学校の成績が悪かったのは偶々良い先生に出会えなかっただけです。頭が悪いのは偶々頭の使い方を教わる機会がなかっただけです。ここから巻き返していけば良いだけです。以下、巻き返しの助言を書いていきます。


2.よくある手段
 「朱に交われば赤くなる」とはよく言ったもので、周りの影響を受けて別人になる人の話は身近でもよく聞くのではないでしょうか。地元のヤンキーとつるんでから成績が落ちたとか都会に出て擦れてしまったとか聞き飽きたでしょう?その逆で「頭が良くなりたかったら頭が良い人とつるめ」はHow to本の定番でこちらも耳にタコができていると思います。
 しかし、いきなり頭の良い人とつるむなんてできるでしょうか?恐らくいきなり接近しても話が通じないでしょう。IQが20離れると会話が難しくなると聞いたことがあると思います。実体験として「頭が良い人の話はチンプンカンプンだ」と言うのもあるのではないでしょうか。私もあります。頭の良い人の話は専門用語などの知らなければ対応できない単語が連続で出てきたり、基礎を理解していることが前提となっていたりすることが多々あります。だからいきなり頭の良い人の話を聞いても着いていくことができません。ここで「本当に頭の良い人は頭の悪い人にも分かる話をする」とキレ散らかしても意味がありません。相手をしてくれている場合は好意で向き合ってくれているのですから。最悪の場合、切り捨てられてしまいます。と言うより恐ろしく頭の良い人の中には切り捨てがやたら早い人がいます。気を付けましょう。
 追いつけないのであれば何らかの対策を取りましょう。選択肢は3つ。

・それでも根性論で追いつく
 大して書くことがありません。やたら偏差値の高い高校に入学して追いつけず疲弊する高校生の話くらいは聞いたことがあると思います。無理だけはしないように。

・ランクを落とす
 先程のIQの話で言うなら10くらい上であればまだ話が通じるということです。話が通じたら次に彼らを観察してください。どういったことをしているか或いはしていないかをよく見て真似してみましょう。当然ですが無理のない範囲で行いましょう。馴染みのないことをいきなり真似するのは難しいでしょうから、先に”していないこと”を真似するのが簡単だと思います。いきなり全部ではなく少しずつです。そして全部できるようになって物足りなさを感じたら更に上を目指しましょう。その後はこれまでと同じです。

・そもそも身近に頭が良い人がいない
 ど田舎であれば十分あり得ます。周りはヤンキーだらけ、頭が良い人もたかが知れている(失礼)なんてことはよくあります。離島なんか(以下略)。そういう時は仕方がありません。これまで会ったことがある人、本やTVなどで知った人から頭の良い人を探しましょう。ただし、空想上の人物は止めておきましょう。整合性がない危険性があるからです。思い出したら彼らの行動を真似するのは先程の「ランクを落とす」の場合と同じです。

 ここまではHow to本などに書かれた手段やその応用です。つまり、かなり使い古された手段ですが、これで誰かと競争するわけではないのでそれなりに有効だろうと思います。


3.あなたにとっての”頭が良い”とは?
 ここからが筆者による更なる掘り下げです。もう少し数学の方程式の様なものにしていきましょう。まず、自分にとっての”頭が良い”人はどんな人なのかをざっと挙げていきましょう。以下に幾つか例を挙げていきます。これらはあくまで例でしかないのでもし自分が想定している型が無かった場合は真似して考えてみてください。

・博識な人
 たくさんのことを知っています。聞けば大方の物事を教えてくれます。こういった人は日頃から知識を蓄える癖ができています。活字情報は当然のこと、彼方此方を見て回ります。現在はネットもあるので空間的な移動は昔ほど必要ではないかも知れません。従って、気になったものを調べるにはかなり楽な時代になりました。一寸したコツとして、知りたいものだけでなくついでに付属する情報も調べると更に知識を手に入れられます。これが百科事典などであれば隣に書いてあるまるで関係ないものまで視界範囲に入るのですが、ネットの検索だと難しくなります。
 できるだけ多くの物事に対して好奇心を持って当りましょう。ただし、嘘や誤情報、ガセネタに注意。
 因みに勘違いが多くて困りますが、私はこれではありません。

・知恵が回る人
 色々なことを思いつきます。アイディアマンなんて言われることもありますよね。これもHow to本にあります。
 普段からブレーンストーミングを行いましょう。とは言え、これは本来複数人で行うものなので一人で使うにはちゃんと練習しなければなりません。思いついたことをただ垂れ流すだけでは信用を失うので、簡単な推敲までセットで行うようにしましょう。もうここまで書けば分かると思いますが、これを数秒でできるまで練習しましょう。ただし、最初はゆっくり無理なく焦らずに行きましょう。
 因みに私は苦手です。

・要領が良い人
 少ない手数で要点だけ掻っ攫って行きます。個人的にこの手の人種は本当に苦手なため表現が酷いことになっています。弟が非常に要領が良い人物でずっと調子を狂わされていましたが、彼が死んだ後その行動と発言を整理してからなんとなく原理が掴めるようになりました。
 単純に言えば、彼らの好みは周りが望んでいるものと同じです。だから自分を優先しても周りにとっては利益があるように見えます。また、優先していないものに対しては素早く切り捨てることができます。つまり他に興味がないので気が散りません。従って、体力の消耗もなく短い時間集中しただけで必要なものを揃えることができてしまいます。無駄なことを思い浮かべることがないので頭の回転も恐ろしく速いです。頭の中の無駄を極端にそぎ落とせばこの領域まで行けるでしょう。
 私はできませんし、御免被ります。

・落ち着いている人
 常に冷静で何が起こっても動じません。表面だけ真似をしたければゆっくり喋ればそう見えますが、それだけでは化けの皮が剥がれるのでもう少し説明します。これもHow to本の定番があります。
 何か問題が起こったらそれに関することを箇条書きにして並べてください。一通り書いたら重要な項目から順番に並べ替えてください。最後に、各項目に対して対応策を書き足してください。対応策が見つからない場合はそこは空白として保留としますが、できれば何故保留にしているのかを書くと後から解決策が見つかることもあります。
 これを身の回りの様々なことに対して試して練習してみてください。これを自然に行えるようになると何か起こっても順序良く対応できるようになります。また、無駄な時間の短縮に非常に有効で、他人と相談する時もこの手順で資料を作っておくと非常に便利です。
 私はこの手段を度々使いますが、元が短気なので台無しになることが多々あります。

・他に思いついた場合
 色々並べてきましたが、実は特殊なことは一切書いていません。これらは全て人が知的な活動を行う際に頭の中で起こっていることです。ですから、他の人が何かを覚えたり思い出したりする際に彼らがやっていることを簡単な文章にして書き出すと上記のような表現にたどり着きます。こうやったら頭に入りそうと思ったら手順を考えて実際にやってみると良いでしょう。上手くいかなかったら所々修正しながら自分にとってやり易い頭の使い方を探っていくと良いでしょう。


4.どんどん頭を使っていこう
 これまで運悪く勉強法を教えてくれる人に会えなかったり、頭を使うことが大事だと教えてもらえなかったりした方々に向けて書いてきましたが、いかがだったでしょうか。幾らか取っ掛かりは得られたでしょうか。人によって得手不得手があるので万人に使い易い方法はないと思います。色々試してみてください。同時に複数使っても良いし、一つずつでも良いです。上手くいかなかったら上手くいくまで挑戦するも良し、改良したり他の手段を使ってみても良し。頭を使う癖ができていないのが一番悪いので、とにかくたくさん使ってください。


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