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📽佐々木敦さん登壇 『ナナメのろうか』 イベントレポート 9/12📽

佐々木敦さんから見た『ナナメのろうか』

公開3日目は数々の映画批評を行ってきた文筆家の佐々木敦さんを迎え、出演の笠島さんと深田監督登壇しトークイベントを行いました。そのイベント内容を少しだけ皆さまにご紹介します!

佐々木さんからは「中編映画だからこそできる表現の映画、前半は姉妹の会話劇で後半からは家の存在が大きくなってくる」と切り出し、深田監督は「長編映画だともうひとつ展開が必要になってくるが、中編だからこそできた構成と終わり方をした」とこの映画の構成について説明しました。

この作品の終わり方について

三人の会話の中で、終わり方について議題が移ります。出演の笠島さんからは「台本とは違った終わり方になっている」監督は「小説でもない、演劇でもない、映画だけが持つ物語の語り方を模索した」とただ物語を語るだけではない映像表現ならではの見せ方について言及しました。

実はさっちゃん(姉のキャラクター)の方が色々問題を抱えていそう

佐々木さんからは、実はさっちゃんの方がリアルないろんな問題を抱えてそうに見えるという問いがありました。キャスティングの際に監督から笠島さんサイドに送った台本から、出演が決まった後に書き足している部分があったようです。劇中では妹の抱える事が表立って描かれますが、監督は笠島さんだからこそ姉が持つ根の深い孤独や感情を表現できるはずだと思っていたと。

イベントではもっと様々な話が繰り広げられました。改めて、佐々木敦さんご登壇いただきましてありがとうございました!

○作品情報
タイトル:『ナナメのろうか』 英題:Itchan and Satchan 
2022年/日本/44分/スタンダード/モノクロ/ステレオ 

 ○あらすじ
改装される予定の祖母の家に来た姉妹、聡美と郁美。妹の郁美は妊娠し、シングルマザーになる決意をしていた。2人は家に残された物を片付け始めるが、昔遊んだおもちゃ箱を見つけ、こどもの頃のように遊び始める。しかし、お腹の子どもをめぐってお互いの溝が露わになり、2人は家の中ですれ違い、会えなくなってしまう。嵐の夜の中、姉妹は暗闇の中でお互いを呼び合うのだった。

 ○映画祭入選
第70回サン・セバスティアン国際映画祭  サバルテギ・タバカレラ部⾨正式出品決定
 
○概要
本年6月に深田隆之監督初の劇場公開作『ある惑星の散文』が上映され、大きな話題を呼んだ。そして早くも最新作『ナナメのろうか』が公開決定! 姉妹関係の変化を描く珠玉の44分。 前作『ある惑星の散文』は作家性や芸術性の高さが評価される映画祭での上映が相次いだ。フランスのベルフォール国際映画祭やアメリカポートランド美術館で上映され、その豊かな映画表現とロケーションから着想を得たユニークな映画作りは観客の注目を集めた。最新作では44分という短い上映時間の中に2つの側面を持つ映画を見事に生み出した。また昨年、濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』や杉田協士監督作『春原さんのうた』がノミネートされたスペイン最大のサン・セバスティアン国際映画祭サバルテギ・タバカレラ部⾨の正式出品が決定。オルタナティブな映画表現を追求する深田隆之が最新作でもユニークな映像世界を紡ぎ出す。本作は9月10日からポレポレ東中野にてロードショーです。

○クレジット
出演
吉見茉莉奈 笠島 智

○スタッフ
監督・脚本・編集:深田隆之 撮影:山田 遼 録音:河城貴宏
照明:小菅雄貴 助監督:高橋壮太 制作:南 香好 音楽:本田真之 
整音:黄永昌 カラリスト:山田 遼 英語字幕:上條葉月 
配給:夢何生 製作:√CINEMA
公式webサイト:itchan-and-satchan.com  
予告編:https://youtu.be/-V4hFSxIS7M