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床材の選び方とお手入れ方法

住まいは何十年もの時間を共にする大切な場所。だからこそ、あなたや大切な人が健やかなくらしを送るために、快適で安全な場所にしておきたいですよね。

「みんなでつくる住まいの手引き」では、快適な暮らしに役立つ知識や住まいを長持ちさせる適切なお手入れ方法をお伝えします。無印良品の家のスタッフによるノウハウと、実際のご入居者さまのアイデアもご紹介します。

あなたも一緒に「賢い住まい手」を目指しましょう。

今回のテーマは「床材の選び方とお手入れ方法」。床材は種類によって特徴が異なります。ライフスタイルに合う床材の選び方やきれいを保つお手入れ方法をご紹介します。


1.床材の種類①無垢フローリング

床材にはいくつか種類があります。最も大きな分類は「無垢フローリング」と「複層フローリング」です。「無垢フローリング」はその名前の通り、木材を一枚板として使う「無垢材」で出来ています。複層フローリングは、集成材や合板の上にさらに薄い木材や化粧シートを張り合わせた床材です。それぞれ素材によって特徴があり、予算も異なります。

まずは自然素材ならではの木目の美しさや経年による色合いの変化が楽しめる無垢材について解説します。木は呼吸をするため調湿効果があり、夏はさらりと心地よく、冬は静電気を抑えてくれるというメリットもあります。また木の繊維層の中に空気を多く含んでいることから、断熱効果が高く、肌に触れた際暖かく感じることも特長です。
一方で、反りや隙間ができてしまい、ストッキングのような薄手の素材を履いて歩くと、引っかかってしまう場合もあります。

無垢材の主な種類

木の種類は大きく2種類に分けられ、種類によって見た目だけでなく扱いやすさも変わってきます。

広葉樹(オーク、ナラなど)
密度が高く、比較的傷つきにくい素材です。

オーク
ナラ

針葉樹(スギ、ヒノキ、パインなど)
比較的やわらかく肌触りがよい素材です。

スギ
パイン

こんな人におすすめ

・自然素材ならではの風合いや香り、肌触りが好き
無垢材であれば、肌触りはもちろん、ほのかな香りも感じられます。色の薄い木材は時が経つにつれてあめ色に変化していき、徐々に味わい深い姿になります。育てているような感覚を楽しめるのが無垢材の魅力です。

・高級感を出したい
分厚い木を贅沢に使用したフローリングは、質感にも差が出ます。素材にこだわり上質な空間を求める方に人気です。

・傷や凹みをつけてしまいそうで心配な方
やわらかい無垢材は、傷がつきやすい分、補修もしやすいことが特長です。凹んだ部分を水でぬらすと、木が水分を吸い込んで補修されるので、傷の跡は若干残りますが目立ちにくくなります。(へこみの補修方法について詳しくは「4.フローリングのお手入れ方法」をご覧ください)。

2.床材の種類②複層フローリング(突き板・シートなど)

集成材や合板の上に、薄い木材や化粧シートを張り合わせた複層フローリング。温度や湿度による反りやゆがみといった変化が少なく、床暖房対応や傷つきにくい製品など、豊富な種類があることも特長です。

複層フローリングの主な種類

性質上、無垢材よりもコストが抑えられる複層フローリング。表面に張る化粧板には木材や化粧シートが使われます。木材の厚さ、木材かシートかの違いによって、大きく3種類に分けられます。

突き板
天然木を0.2~0.3mmほどの厚さにスライスした木材を合板に張り合わせたもの。無垢フローリングと比べ比較的安価ですが、天然の木材を表面に使用しているため、木目をプリントしたシートフローリングと比べ本物の木の質感が楽しめます。
コストが抑えられ、施工後も温湿度によって変化しにくく扱いやすいため、床材として広く人気があります。

挽き板
天然木を2mmほどの厚さに挽いた木材を合板基材に張り合わせたもの。複層フローリングの中で価格は上がるものの、厚みがあるため高級感を出したい方に人気です。

シート
樹脂や紙などに模様をプリントしたシートを基材に貼り合わせたもの。木目以外のデザインもあり、お手入れも簡単です。

さらに、無垢フローリング・複層フローリング問わず木の質感を楽しみたい方には「ラスティックグレード」といわれる、木の節ありタイプも人気があります。
「本当は無垢材が良かったが、コストや取り扱い面で厳しい」という方は、複層フローリングでも天然木をリアルに表現した節ありタイプを選択することで、「木」本来の質感を味わうことができます。

こんな人におすすめ

・コスパ重視の方
無垢フローリングと比較して、比較的リーズナブルなものが多いことが複層フローリングの特長です。無垢材よりもコストを抑えつつ木の質感を出したい場合は、天然木の突き板フローリングを選ばれる方が多いです。

・ペットと暮らしている・暮らす予定がある方
ペット向けにすべりにくく汚れに強い商品なども販売されています。子犬は粗相することもあるため、シートの方が安心です。または防水コーティングされた突き板フローリングなどもあります。

・床暖房を使いたい
無垢材は床暖房が使用できない製品もありますので、注意が必要です。(反りやゆがみが出る可能性があるため)。

・オリジナリティを出したい
木目以外のデザインにしたい方やドアなどの建具との統一感を出したいなど、こだわり派の方には種類が豊富なシートが便利です。

フローリングは素材によって特徴も予算もさまざまです。ご自分のライフスタイルや好み、ご予算に合わせて選びましょう。

3.フローリングのお手入れ方法


日々のお手入れ
基本的にはフローリングの種類に関わらず同じ方法で問題ありません。具体的にはドライモップ(フローリングワイパー)・ほうき・掃除機などで、ごみやホコリを取り除いた後に雑巾で乾拭きします。乾拭きで落ちない汚れがあれば、固く絞った雑巾で拭き取りましょう。最後は必ず乾拭きをして水分を拭き取ります。

フローリングワイパーを使う場合、通常はドライタイプのシート、週に1回程度はウェットシートで汚れを拭きとるといいでしょう。ただし、無垢フローリングに薬剤の含まれるウェットシートを使用すると変色のおそれがあるため、無垢フローリングへの使用は控えましょう。

大掃除の仕方
・掃除機をかけ、固く絞った雑巾やウェットシートで拭きます。落ちない汚れがあれば、中性洗剤を薄めたものを雑巾に含ませて固く絞り、気になる部分を拭いてください。最後に乾拭きを忘れずに。
・無垢材は液体が染み込むとシミができてしてしまいますので、防水対策として1年に1回程度、オイル塗料の塗り直しをおすすめします。

傷や凹みができた場合
市販されている床補修用のクレヨンが便利です。フローリングに似た色味のもので傷や凹みの部分にぬりこみ、定規やヘラなどを使って平らにならします。ただしシートの複層フローリングはつやが変わってしまうため、跡が目立つ可能性があります。色味の近い油性マジックや補修ペンなどを使うのも良いかもしれません。

無垢材は傷を補修しやすい
無垢材の場合、浅い傷であれば水でぬらすだけで直る場合もあります。傷を水でぬらすと木が水分を吸収して膨らんでくれるのです。また紙やすりで傷を削ってならし、市販のフローリング用オイルを塗ると、風合いを残したまま補修できます(挽き板にも応用できます)。

Q.無垢材は水拭きしても大丈夫?
固く絞った雑巾で拭く程度であれば大丈夫です。ただし、最後はからぶきを忘れずに。水分を多く含んだ雑巾で拭いたり、乾拭きをせずに水気を残してしまうと、シミやカビの原因となりますのでご注意ください。

4.無印良品の家で暮らす方はどうやってお手入れしている?

無印良品の家オーナーさんが選んだ床材

(対象:2019年1月~2023年12月実績/木の家570件・窓の家119件・陽の家110件)

無印良品の家の標準仕様として、「木の家」「窓の家」では突き板フローリング、平屋の「陽の家」では無垢フローリングをご用意していますが、もちろんお好みにあわせて床材を選択することができます。
過去5年間の傾向を見ると、木の家、窓の家を建てられた方は圧倒的に複層フローリング(突き板など)を選ぶ方が多く、陽の家を建てた方は約8割が無垢フローリングを選んだという結果になりました。素材の風合いや質感を楽しみたいという方は、自然の美しさが際立つ無垢材を好むことが多いようです。

みなさんにフローリングのお掃除方法をお伺いしました。

無垢フローリング
・特別なことはしておらず、フローリングワイパーとロボット掃除機だけです
・フロアワイパーは引っかかってしまうので、掃除機のみで5年経ちます
・乾拭き、無垢専用ワックスで少し濡らして拭く
・普段は掃除機で、月一で専用洗剤で拭き掃除しています

複層フローリング
・モップで乾拭きしてから水拭き
・1日2階朝と夕方にクイックルワイパー、週一回掃除機がけ後水拭き、年1回蜜蝋ワックスがけです
・フローリングワイパーとロボット掃除機。犬がかむので、ロボット掃除機は犬の散歩中だけ使っています
・普段は掃除機だけ、大掃除の時は拭き掃除をします

5.フローリングをきれいに保つ7つのポイント

ちょっとした心掛けでフローリングは長くきれいに保つことができます。日常生活の中で気をつけたい、7つのポイントをお伝えします。

①アクセントカーペットを敷く場合
カーペットの下に湿気が溜まってカビてしまう恐れがあります。ときどきカーペットをよけてフローリングを乾燥させましょう。

②床暖房や電気カーペットを使う場合
床暖房をご利用の場合は、カーペットやクッションなど、放熱を妨げるモノを置かないようにしましょう。熱がこもるとフローリングをいためる場合があります。
電気カーペットを使用する場合は、フローリングに伝わる熱を和らげるために、普通のカーペットなどを電気カーペットの下に敷くようにしてください。

③ひび割れに注意
湿度や温度変化によって床材が伸縮してひび割れを起こす場合があります。熱に弱いため、暖房器具などを置く場合はフローリングに直接熱があたらないように気を付けましょう。

④家具を置くときの注意点
いすやテーブルを引きずると傷ができてしまいます。足の部分にフェルト生地などを取り付けて保護しましょう。重い家具を置く場合、部分的に荷重がかかると凹んで復元しにくくなる場合があります。重量を分散させるために、フローリングと家具の間に敷板などを置くようにしましょう。

⑤ペットと暮らすご家庭の場合
小さな犬や猫はフローリングが滑ると足腰を痛めてしまうこともあります。また子犬は粗相をして汚してしまうことも。部分的にラグやマットを敷いてペット専用ゾーンをつくってあげると安心です。

⑥アルコールで変色する場合がある
アルコールをかけると、無垢材用のオイルが反応したり、ワックスが溶けて白くなってしまうことがあります。アルコールを使う場合は、変色しないかどうか、狭い範囲で試してから使うようにしましょう。

⑦スプレー式の消臭剤で床がベトベトになることも
衣類などに吹きかけた消臭剤がフローリングにかかると、揮発しない成分が残ってべとついてしまいます。放置するとべとつきが取れにくくなるため、気づいたら固く絞った雑巾ですぐに拭きとりましょう。

床材は素材によってさまざまな特徴があります。ライフスタイルや好みに合うものを選んで快適に暮らしたいですね。また日々のお手入れや取り扱いに気を付ければ、フローリングを長くきれいに保つことができます。ご紹介したお手入れ方法や注意点をぜひ参考になさってください。