タロット。大アルカナと小アルカナ、読み方のコツ。トランプ占いの有効性。

 大アルカナと小アルカナの読み方について、ややコツがあるので、お話ししたいと思います

 大アルカナは、大秘儀と言われます。これは大きな意味での秘密という意味です。一方で小アルカナは小秘儀で、これは大秘儀に比べると、やや小さな範囲での秘密という意味。でもどちらが優位というわけでもなく、大小という言葉の上澄みに流されてはいけないと思います。大は小を兼ね、小は大を根底から支えます。そして大の礎を備え、小はさらに意味を持つのです。

 小アルカナについては、よく似たものにトランプがありますね。このトランプはクラブ、ハート、スペード、ダイヤがあります。それはそれぞれ、小アルカナでの4スートに置き換えられます。

 クラブはワンド。
 ハードはカップ。
 スペードはソード。
 ダイヤはコイン。

 この4つのスートは、トランプ占いをするときにも同じような意味で使えます。もちろん数字の意味もカードの象意も、そのまま流用できます。
 世界を四分割するという基本的な意味と考え方において、このまま流用した方が占いとしては分かりやすいし、筋が通っています。

 ただコートカード、つまり人物カードについては違います。タロットでは各スート4人いますが、トランプでは3人です。

 キングはキング。
 クイーンはクイーン。
 ジャックは、ナイトとペイジ。

 タロットの象意のままトランプ占いに流用できるかどうかですが、キングとクイーンはそのままで問題ありません。ただしジャックは、ナイトとペイジの混同となります。
 ナイトとペイジにはキングとクイーンに比べると非常に現実的であり、かつ分かりやすく手に入りやすい事象として考えます。ふたりとも「実際に行動する」というところに主眼がありますので、トランプ占いでも、たとえば「現実的に解決できる」とか「実際に手に入れる」という意味になります。
 ただしタロットでのナイトにおける「なんだかわからないほどの高揚感」、「それほど自分で何かをしなくとも成功する気概と勢い」みたいな実感は、差し引いて考えた方がいいでしょう。
 ナイトには「現実離れした幸運な状況に乗って進む」という意味が根底に流れているのですが、ペイジには、それはありません。それよりも「じっくりと手に入れて頑張る」という、非常に現実的で着実な手法が求められます。その点はナイトとペイジは相反していますが、「手に入れ、具体的に行動する」という点では一致していますので、そこを強調して読むと良いでしょう。

 そもそもタロットもトランプもカードゲームとして発展した歴史があると言われます。タロットカードを遊びに使うのですが、占いの道具としてのタロットの使い方とは、やや趣が異なります。
 でも裏を返せば、それだけタロットデッキが身近なものであったということにもなるのです。だからこそタロットやトランプが身近にある占いとして発展してきた、ということも重要なことだと思います。使いやすければ身近なものになり、身近だからこそ使いやすいものが求められるわけですよね。

 さて、大アルカナと小アルカナの意義についてです。

 大アルカナについては、一般的に言われる「タロットカードはこれ!」という認識があると思います。意味ありげな絵柄のついたカードですから、その存在自体がちょっと怪しいし、解読方法も勉強しないとわからないところがあるので、興味はあるけど難しそう……とはよく言われるところです。実際、私もよく言われますし、私自身もそのお気持ちがよく分かります。
 そう考えるとオラクルカードは、カードの意味と絵柄でストレートに解読できるので、そちらの方が楽だし理解しやすい、という気持ちも少しわかります。ただしオラクルカードにはオラクルカードの難しさがあるので、またいずれかの記事にするべく、ちょっと話を横に置きますね。

 大アルカナというのはタロットカードの最も分かりやすく、かつ難解な部分です。だいたいの方向がカードごとに定められてはいるのですが、ありとあらゆる解釈ができます。22枚という大宇宙がそこにあると思ってください。
 さて一方の小アルカナですが、これは大宇宙に比べると小宇宙という感じです。ただし誤解をしてはならないのは

『占いをするなら小アルカナだけでも成立する』

という点です。
 けっして大アルカと比べて劣っているわけではなく、ちょっと違う働きをしているだけです。
 たとえば、小アルカナだけでの占いをすると、非常に具体的な占いとなります。細かいところに手が届く、という感じです。だからすごく分かりやすくなります。占い結果の事象を噛み砕いてくれるんですね。

 では、大アルカナと小アルカナを混ぜて占った場合、どう読めるかということです。
 大アルカナは大宇宙であることは先に述べました。78枚のフルデッキを使って占ったとき、どういった世界に生きるのか、どういった状態で過ごしている、あるいはこれからどう過ごすのか、という点が重要になるのです。そして大アルカナは変化です。まったく違った世界が目の前に現れるというか、いまのままではいられずに、世界の違う段階へと進んでいく、あるいは刺激を受ける、あるいはなんらかの出来事が起こる、という解釈になります。いまのままではいられないのです。

  カバラでの生命の樹でタロットを考える場合、小アルカナはひとつのセフィラですが、大アルカナはふたつのセフィラを繋ぐパスです。つまり大アルカナは、ふたつのセフィラの性質をつなぐものなのです。セフィラふたつをミックスして落とし込んだらそのカードの意義になります、ということです。ということは大アルカナを解釈する場合、ふたつのセフィラの意味を考慮せねばなりません。セフィラはそのセフィラの世界ですから、ここで完結してもまったく問題はないのですが、これを打ち壊すのはもう一方のセフィラでありパスなので、質問者にとって変化といういか刺激になる、という仕組みです。
 それは質問者にとっては快にも不快にも成り得ます。だからこそ大アルカナを吉凶で捉えすぎてしまうと、まるっきり違う意味になりかねません。
 これが大アルカナの解釈が多岐にわたる原因のひとつでしょう。それぞれどちらのセフィラに重きを置くかで、解釈もちょっと違うニュアンスになるのです。

  また、大アルカナが現れるということは、質問者にとって、その地点が問題というか大きな意識を持つ場所にもなります。質問者からすると、もうそこが大一番であると自覚していて、他はどうでもいいかな、みたいな場所、ということになります。ひとつで完結するはずのセフィラに違うセフィラからの刺激があって落ち着かないとか悩ましいなど、大アルカナが出てきたところに意識がいっていて、小アルカナのところは手薄な場所、という感じです。これは質問者が無自覚な場合が多いので、占う側が指摘するとハッとする、という瞬間も、往々にして訪れます。「実はあなたが関係ないと思っていたところが本当の原因なんじゃないですか」みたいな場合ですね。


  では、たとえばフルデッキで占って、10枚引きをしたとしましょうか。そのときに大アルカナが3枚ほど出てきたとしましょう。78枚における大アルカナの割合は約28%なので、10枚引きで3枚の大アルカナが出るというのは平均的な数字です。

 カードを展開する場所には、それぞれの意味があります。過去から現在を経て未来の状況はどうか、過ごしている環境はどうか、質問者の無意識の本意はどうか、いまなにをした方が良いのかなど、展開された場所によってカードを読み解きます。もし、ふたつの選択肢で迷っているなら、こっちを選べばこうなるし、あっちを選べばこうなるよ、というところもわかります。

 さて、10枚引きの場合、現在の位置に大アルカナが出てきたら変化が起こっている最中。ちょっと先の出来事で大アルカナが出てきたら、ちょっと先に大きな変化がある。環境のところに大アルカナが出てきたら、環境が変化しつつある状態。そんなふうに各々の展開された場所によってカードを読んでいきます。
 さらに、これに合わせて小アルカナも読み解きます。残りの7枚は小アルカナのはずですが、ここでは物語が詳細に示されます。いわば小アルカナは状況を詳しく話してくれます。

 このように、大アルカナの骨組みに小アルカナの肉付けをして読み解く、という方法は、ちょっとしたポイントを意識化するのに便利です。余計なところまで気を回さずに、ここが大切なんだな、というところまで落とし込めます。
 大アルカナと小アルカナを組み合わせれば、それはもうまるでシンフォニーのように、強弱と音階の重なりが見えてくるというか感じられるので、かなりダイナミックな解釈になります。

 また10枚引きの場合、5枚以上の大アルカナが出てきたら明らかに過多状態です。わりとよくあるのですが、あまりにも変化が大きい、あるいは刺激が強いと読んでください。この場合、どこの場所に大アルカナが出てきたのか、それをまず読み取らねばなりません。そのうえで、他の場所の小アルカナを読み解きましょう。

 もし大アルカナが多い場合、とても深く読み取ると良い場合がありますが、情報過多にもなりがちです。私は大アルカナが5枚も出ると、ちょっと時間をかけます。結論はパッとすぐに出るのですが、そこまでの道筋がとても長い。ひとつひとつを噛み砕いて読んでいくと、たとえば数学の証明問題のように、答えが出ているけれども式を用いて証明しなければならない、という状況になります。結論だけスパッと読み切って問題ないなら、それで進めれば大丈夫です。それは占い師さんそれぞれのやり方なので、ご自身で最適解を求めるべく、いろんな読み方で噛み砕いてください。
 ただし大アルカナを読むだけでいっぱいいっぱいになると迷ってしまい悩むので、すっきりバッサリ進めることがポイントです。その人にとってどこが重要ポイントなのかは、たくさん占っていけば、パッとわかるようになります。

 一方で、まったく大アルカナが出ない時があります。10枚引いたらすべて小アルカナだった、という場合です。これはちょっと珍しいのですが、まったくないわけではありません。なんとなく適当に並べてみた、というときにはよく発生する出来事です。それほど切羽詰まった感じではないし、変化の予感もなくて、今の状態にそれほど不安も不満もなくて、という感じです。もしかしたら質問者の心情は穏やかではないかもしれませんが、実際にはそれほど深刻な問題ではない、ということもありますし、よくよく考えすぎという場合もあります。現状維持、変化はそれほどなく、こまごまとした気分や状況の揺れはあるけれど、根本的かつ決定的ななにかがあるわけではなさそう、というところです。
 その場合は小アルカナを細かく読んであげると良いでしょう。そのなかでもコートカードは少し強調して読むと、よりわかりやすくなりますよ。コートカードは漠然とした解釈になりやすいと思える節もあるのですが、それは人物として読むなり、私の過去のnote記事にもありますが小アルカナの複合として読むなり、ちょっと気を入れて読むと、コートカード1枚でも、予想以上の情報が隠れていることがあります。

 展開する枚数ごとに、大アルカナが出てくる割合を見るといいです。そうすれば、どのくらいの枚数が出ると大アルカナが多いと言えるのかがハッキリとわかると思います。展開法はいっぱいありますから、たくさん占うようになると『この展開法で、この大アルカナの出方は特殊だ』ということが自然にわかるようになるでしょう。確率など計算しなくとも、身に付いた経験則でわかるという感じですね。

 このように、78枚のフルデッキで占う場合の大アルカナの出方ひとつとっても、ここでの解釈法はとても基本的なものです。でも基本的だからこそ大切で、私の基礎はこの解釈です。そして実際のところ、これさえしっかりしていれば、タロット占いは怖くありません。

 繰り返しますが、重要なのは、展開枚数における大アルカナの枚数の割合と、その出方です。出た大アルカナを骨組みにして、小アルカナで物語を組み立てて肉付けしていくということです。
 『大アルカナを骨組みにしていけば、質問での内容も、どこが重要でどういった状況なのかが読み取れるようになる』ということです。
 小アルカナは詳細に事態を説明してくれます。つまり小アルカナを解釈できれば、自然とメリハリがついてきて、結果をお伝えしている最中に思わぬ事実に気がついたり、「あれ、もしかしたら」という直感が降ってきたりするものです。

 反対に、大アルカナだけで占う場合、これでカードを10枚もめくってしまうと、はっきり言ってしまえば『わからない結果』になります。大アルカナは22枚しかないので、10枚もめくると半分近いカードを駆使しなければならず、とくに重大なわけでもないところにまで、つまりテーマから外れたところにまで大アルカナが出るので、シンフォニーを構成するすべての楽器が大音量で奏でている状態になります。こうなってしまうと、どこから聴いたらいいのかまったくわからず混乱します。
 もしカードが言葉を発するなら『この場所に自分が出なくともいいのに、他に適応するカードがないから数合わせで出てくるしかなかった』と言うに違いありません。カードがなにかを諦めて場所を埋めるために出てきた、みたいな感じなのに、大アルカナだからといって思い切り重要視して読んでしまうと、まったくチグハグなピントの合わない結果になります。
 これだったら大アルカナ22枚のなかに白紙のブランクカードを20枚くらい入れ、42枚で10枚展開するくらいの方が、よっぽどわかりやすいと思います。
 
 大アルカナで占う場合、せいぜい3枚まででじゅうぶんです。3枚もあればきちんと読み解けます。状況がわからないなかでも大アルカナ3枚であれば、かえってスッキリと見えてくるものがあり、さらに今後どうしようか、というところまで断じられます。

 ただし、カモワンタロットなら、その限りではありません。カモワンタロットは大アルカナ22枚すべてを使っても結論が出ない、という場合があります。展開法そのものが独自というか独特なため、めったにありませんが、どうしようかなというところまで展開しなければならない状況になります。かえって3枚で終わるのが珍しいので、カモワンタロットはちょっと例外的だと覚えておいてください。

 なお、小アルカナの占いを取得するうえで、効果的な勉強法があります。
 それは小アルカナだけでのタロット占いです。なんだかトランプ占いができるようになった気がしてくるのですが、かなりストンと腑に落ちるような占いなので、小アルカナが難しいかもと思っているなら、ぜひチャレンジしてみてください。
 もし手持ちのタロットデッキから小アルカナを抜くのが面倒くさかったら、トランプでタロットカードの展開のように並べて読んでおくのもいいですよ。
 私はタロットデッキから大アルカナと小アルカナを分けるのが手間なので、よくトランプを使います。一般的に売られているトランプを、占い専用のデッキにしていて、大晦日にはお酒を飲みながら来年の自分の運勢を占ったりしています。小アルカナだけで読みたい場合にはとても便利です。数の意味とコートカードの読み解きや、その質問の移り変わりがよくわかります。

 トランプ占いも、確立されたれっきとした占い法です。だからこそトランプ占いができたからといって、タロット占いが完全な形でできるというわけでもありませんし、その逆も然りです。でも小アルカナのようにトランプを展開して占えば、小アルカナの解釈の勉強になり、かなりのお手伝いをしてくれるのです。
 そもそもトランプ占いには絵柄がコートカードしかありません。スートと数字だけを見て占うのですから、これはもう小アルカナの解釈としてはスパルタ的に鍛えられます。


 また、トランプ占いも、タロットカードのように展開して占うばかりではありません。トランプ占いにも興味がありましたら、いろんな意味で試してみるといいと思います。
 たとえば遊んでいるといつのまにか占いになっています。数人でトランプ遊びをしていても、いつも自分に1枚の同じカードが配られてきて、いったいなんのメッセージだろうかと、カードの意味を考えるきっかけになるなどは、けっこうあります。
 そうやってタロットやトランプに親しんでいくと、カードを扱う行為に抵抗がなくなって、タロット占いが難しくなくなります。

 大アルカナと小アルカナは同じタロットカードでも役割というかニュアンスがちょっと違っているので、複数枚の展開をして読み方に迷った場合、大アルカナと小アルカナの出方で読み崩す方法がありますよ、というお話でした。

 最後になりますが、タロットカードには直感が必要かと問われれば、それはもう必要だと言わざるを得ません。しかし直感だけで進めると、どこか不安定になってしまう場合があります。もっと言ってしまえば、タロットカードを学んでいけば、カードそのものが必要ではなくなります。直感がタロットカードで生まれ培われ育って花が咲き実となります。
 これは私の実感としてそうなのですが、たとえば質問されたとしても、カードをめくる前に答えがわかってしまう、くらいの感じになります。ただしそこでハッキリと言葉にして伝えてしまうには、私自身の感覚として、どこか疑心暗鬼というか、本当にそうなのかな、と思ってしまいます。これはほとんど毎回そうです。自分の直感に自信がないわけではなく、むしろ信頼感でいっぱいなのですが、直感以外の取りこぼしが発生する可能性があるので、それが怖いというかイヤというか、納得いかないという感じです。どなたでもよくありますが、なんとなくこう、というひらめきは、そのままでは明確にわからないことが多く、意識していなければまったく自覚する感覚を通り過ぎてしまって、本質的な意義を逃してしまうのです。かといって結論ありきで進めるには、自分のなかだけで面白がって味わい、消化するのであれば問題ありませんが、どなたかへ言葉で伝えるには申し訳ないというか、私が自分自身に納得がいきません。

 だからこそ私は、直感を裏付けしてくれる根拠を、占術に求めています。
 太古の昔、北極星を目指して舟を漕いだ海洋の民のごとく。

 私にとってすべての占術は信頼に足る直感を形にしてくれるツールです。占いをしてみて、カードでも占星術でも命式でも、実際に目に見える形で提示されたら、やっぱりそうだよね、という想いになり、ようやく言葉にして伝えられる段階になります。これは一種の答え合わせみたいな瞬間です。
 無意識の直感を意識的なひらめきとして落とすツールがタロットカード、あるいは星の動き、または森羅万象である、と言い切ってもいいわけで、じゃあ直感力を磨きましょうという、鶏が先か卵が先か、みたいな話になるのですが、これはフラットな状態でタロットカードに向き合う必要がありますから、どうやったらフラットな状態に自分を持っていけるか、という問題になります。
 それはまた大アルカナと小アルカナの読み方のコツとは違う話になりますので、また別記事にまとめたいと思います。

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