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現実離れした、現実の話[キノの旅-the beautiful world-】

 「人を殺すことができる国」 

 
 このアニメの世界には様々な個性を持った「国」が存在していて、主人公であるキノとその相棒である二輪車のエルメスがその世界を旅していくのがおおまかなあらすじだと思う。 

 そんな優しい雰囲気のアニメの第一話のタイトルが前述した「人を殺すことができる国」
そんな国、国として成立してるのか?一話で主人公死なないよな?

 そして、恐る恐る観ていくとそこは予想とは全く異なる平和そうな国。お店に銃が置いてあったりと怖い要素はあるが、あちこちで殺し合いが行われているといった様子はない。  

 そんな時、殺人目的で国に入ったであろう血気盛んな若者がキノに襲い掛かり、銃を構えると突然国民全員がその若者を取り囲み彼を殺したのであった。

 「禁止されていないということは許されているということではない」

 若者にとどめを刺した際のおじいさんのセリフである。原作が小説さながらの言葉遊びのような、はたまたこずるい法解釈のような、そんな印象を受けた。それと同時に、どこか切なそうな国民の雰囲気も気になった。

 もしかしたら、あのおじいさんもまた、かつて人殺しを求めてこの国に入ったのでないだろうか。たくさん人を殺してきた人ほど人殺しに抵抗がなく、その国で生き残る。しかし、その繰り返しにだんだん人殺しが嫌になり、そういった思いを抱えた人がひとり、また一人と増えた結果がこの国を作り出したのではないか、と思う。そう考えると、なんとなく国民全員が人殺しに抵抗はないけど、あまりしたくない顔をしているように感じた。

 
 人は他者から行為などを禁止せれるとかえってやりたくなってしまう。これを心理学用語でカリギュラ効果、という。
殺人を禁止されるとかえってしたくなる人が一定数出てくるのであれば、いっそこの国のようにしていい、にしたらだれもやらなくなるのだろうか、、
うん、そんな簡単にはいかないよな。

 この話以降もたくさん魅力的な「国」が出てくるのでお勧めです。

 




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