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ポッドキャスト|AIラヂオ008前編|Web3はビッグテックの支配構造を壊すことができるのか?【文字起こしつき】

みなさま、こんにちは!テック系フリーランスライターの五条むいです。

テクノロジーとの共生でハッピーになりたいHarmonic Society株式会社の師田賢人とテック系フリーランスライターの五条むいがゆるく愉しくお届けする、〈AIラヂオ〉をお届けします!

今回のテーマは、ビッグテック全盛のWeb2.0の時代を、Web3が書き換えることができるのかです。

文字起こしもついてます。よろしければ、しばしお立ち寄りください。

AIラヂオ008前編の文字起こし

師田:皆さんこんにちは。AIラジオというポッドキャストです。この番組では、やさしいDXの推進をテーマに、AIに関する情報発信を毎週しています。今回はビッグテックとWeb3というテーマでお届けします。対談するのはHarmonic Society株式会社代表の師田と、五条むいです。

五条:よろしくお願いします。

師田:よろしくお願いします。

今回は、前回ちらっと話に出た、ビッグテックとWeb3というテーマについて話していきたいなと思います。

簡単に前提を共有しておくと、元々インターネットはWeb1.0っていう状態でした。

それがビッグテック、GoogleとかマイクロソフトとかFacebookとかが現れて、Web2.0っていう中央集権的な大きなテクノロジーの企業が、情報も何もかも握ってしまうっていうような世界、中央集権的な世界をつくったことに対して、よくないよねって声があって。

もっと分散型の社会に移行してこうとか、ブロックチェーン技術っていうようなものが出てきたことによって、それがテクノロジーで実現できるよねっていうような議論がされるようになってきたんですけど。

でもWeb3で果たしてWeb2からWeb3に移っていくのかとか、Web2に対抗しうる勢力にWeb3はなるのかっていうことについて話していけたらなと思います。

五条:はい。お願いします。

師田:それで言うとどうですかね。五条さんの考え的には、Web3的なものはビッグテックとかに対抗しうるものなのでしょうか?前回もそういう話をしたんですけど。

五条:うん。「そうなってほしいっていう話」と、「そうなりそうだっていう話」は違うんですよね。

Web3については、やっぱりまだファンタジーの世界という面が強いと思っていて。「そうなってほしいという人たち」が、すごくたくさんいると思うんですけど、そうなってほし世界を実現するためには何が必要なのかという議論が、まず一つ目に必要なんだろうなと思うんですね。

師田:そうですね。まずWeb3っていったものが、どのくらいの勢力なのかということも、ちゃんと解像度を上げなきゃいけなきゃいけないなっていうふうにも思うんですけど、やっぱりWeb3とかっていう言葉って、メディアが結構作ってくものでもあると思うんですね。

単純に新しいムーブメントを、Web3っていう文脈が都合よさそうだったから、メタバースでもブロックチェーンでもNFTでも全部、Web3っていう文脈に乗っかってたっていうところがあるんで、実際WEB3って、業界の人とかが言うくらい世の中に普及しているのかとか、世の中にインパクトあるのかっていうのが、まずボクとしてはちょっと気になるんですよね。

五条:うん。現状っていうことで言うと、ちょっと悲観的な面が強くて、ガートナーのハイプサイクルっていう有名なものがあって、このハイプサイクルでいうと、Web3とかメタバースなんかも、以前は関心が最大限にピークに達したけれども、今は幻滅期に入ってるという話がありますよね。

それはやっぱりまだ、試作品というか、プロトタイプ的な面がすごく強くて、実験段階にあるというのが事実なんだろうなと思ってるんですね。そうすると近い将来、大きな勢力になるだけのポテンシャルを持ってるのかどうかっていう議論にならざるを得ないんじゃないかと。

師田:そういう意味で言うと、そのポテンシャルっていうのは、思想の面では分散型社会とかがあるような気がするんですけど、ただギークが、サービスを展開していったりとかして。

ビッグテックの支配下のもとでということなんですけど、Web3が泳がされるみたいなことも全然あり得るわけで。

何かそうならないためには、五条さんがおっしゃってくれたみたいに、どうしていくべきかっていうところですね。

五条:そうですね。

前回、NFTコミュニティみたいなものが成立するとしたら、そのNFT通貨を信頼するコミュニティの存在が必須だっていう話があったじゃないですかです。

そうすると、そういうコミュニティは、そもそもどうやったら成立するんだろうかとか。そちらの話がまず先に来るのかなと。

師田:そうですね。そのコミュニティが成立する条件みたいなのが、いくつかあると思うんですけど。

ひとつは何か思想的なものがあるっていうことと、あとはコミュニティを引っ張っていく方向性が明確であるか、もしくはそういうカリスマ的なリーダーの存在があるかとか、あとは継続的なインセンティブについていうと、メンバーがコミュニティに貢献する継続的なインセンティブの仕組みがきちんと設計されているかっていったとこらあたりが、結構、重要かなと思うんですけど、どうでしょう。

五条:こういうときに、歴史を振り返ると結構ヒントになることがあって。
実はマルクスが共産主義を提起したちょっと前の19世紀頃に、シャルル・フーリエとかサン=シモンといった人たちが、空想的社会主義っていうんですけど、共産主義、コミュニズムの原型みたいなものを提起して、大きいところだと2000人ぐらいの自給自足コミュニティが成立したりしてたんですね。

それはどういう意味を持ってたのかっていうと、やっぱり当時でも問題になっていたアンチ資本主義っていうか、支配階層に対するアンチのムーブメントがあったんですけど。でも結局それも、結果論としては成立しなかったと。

つまり、アンチ資本主義とか、アンチ中央集権社会の文脈で、歴史を振り返ってみると、繰り返し繰り返し、Web3じゃなくても、そういうコミュニティを作ろうという動きは常にあって。でもポシャっていったっていう。

師田:はい。多分、その歴史的な以前のものと今とで違うのは、技術の存在っていうのがやっぱ大きいと思うんです。技術っていうのが圧倒的に発達して、あらゆる人類が使えるようなものになってくると、技術を利用したコミュニティの活動っていうのが、以前とは比べ物にならないスケールで実現できたりだとか、コミュニケーションがすごい速さで行われたりとか、何か以前のものと変わるとしたら、その技術の存在だと思うんですけど。その辺いかがですかね。

五条:うん。前回もそういう話になったように、たとえばNFTコミュニティみたいなものを考えても、ブロックチェーンのような技術を使うことによって、関係性のトレーサビリティが担保できるし、それをAIでビッグデータ解析すれば、そのコミュニティが発展するような政策への転換みたいなことも可能になるっていうことですよね。

師田:そうですね。

五条:だから可能性としては大いにあるんだろうと、ボクは思うわけです。

師田:でも実際にそれが成立しうるかというか、世の中にインパクトを与えるかに関しては、五条さん、結構、疑問視してるって感じですよね。

五条:ボクはプラグマティストというか現実主義者なので、やっぱりGAFAMですよね、Google、Facebook/Metaですとか、Apple、Amazon、Microsoftといったビッグテックの影響力があまりにも強力すぎると。

なぜ強力かということの裏付けとしては、どうも当面、資本主義社会が壊れそうにないという見立てが、ボクにあるんですよね。

師田:そうですね。あまりにもあらゆるものが資本主義を前提として社会システムが作られすぎているから、それをスイッチングするコストってもうものが、すごい莫大に高いわけで、それを変えるだけの何か魅力が、そういうWeb3的なイデオロギーにあるかって言われると、結構、たしかに疑問だと思いますよね。

五条:もしも仮にスイッチングしようとしたら、1回、今の社会システムを解体しなきゃいけないという、アナーキズムの発想に走っていくわけですけど。だけどボクは、どう考えても、それって現実的じゃないという気がするんですよ。

師田:ただWeb2.0とかって、ビッグテック的な資本主義的な考え方に敵わないからといって、そういう、Web3的なものの活動を絶やしていいかとか、活動しないとか、そういった理想のを掲げないっていうことは、またちょっと違う話かなと思っていて。

なので、そういったものに仮に代替しうるものではないとしても、あくまでもカウンターカルチャー的な存在として、Web3的なものが、勢力を一定に保っていって拡大してくっていうことは、社会的に必要なことなんじゃないかなと思うんですけど。
(後編に続く)

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