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そもそも最初の物件が曰くつき?

2013年。
プノンペンに移住してきて、最初のオフィスは間借り。

こっちにきて知り合った人が一軒家を借り切りオフィスにしていた。

そこの一部屋を間借りして私の最初のビジネスがスタートした。

数カ月後、もともと借りていた主が事業をストップし、でていくことになった。

仕方なく、しばらくの間、私だけがそこを借りることになった。

大きめの一軒家。

なんとなく不気味。

家主が置き去りにした子犬が一匹。

暗くなると、ある一定の方向をみて吠える。

吠えない時もずっとみてる。

なんとなく、闇が迫ってくる圧迫感。

突然閉まるドア。

すべては単なる物理学的現象にすぎない。

そう思い込まないとやってられなかった。

そこに「見える」A子登場。

A子はスタッフと夕飯食べにいったローカル飯屋で隣のテーブルだった。 

その縁で仲良くなり、うちのオフィスに遊びにきた。

「このワンコずっと怯えてるね」

「そうなんだよね」

「しかしこの家むちゃくちゃ居心地悪いね」

「そうなん?」

「女にとって居心地悪い気がある。女子スタッフは長く働けないんじゃないかな」

「そうなん?」

「あと、この奥のトイレ、ここからすごい気持ち悪い気が入ってきてるけど、この換気扇の先はなにがあるの?」

「ゴミ置き場だよ。一時的にゴミを置いて仕分けするところ」

「だからか。たぶん、ポルポト時代に死体置き場だったんだよ、そこは。そのエネルギーがまだいきてるんだよ」

「まさか、、、」

「信じられないのはわかるけど、きちんと盛り塩しておいて、ビジネスおかしくなるよ」

私は半信半疑で盛り塩をし、家に帰った。

翌朝、スタッフに、

「隣のゴミ集めているとこは昔なんだったの?」

と聞いてみた。

「ああ、ポルポト時代は死体置き場だったらしいですよ」

「やはり、、」

「それがどうしました?」

「え?怖くないの?」

「そんなの気にしてたらカンボジア住めないですよ、至るところで人死んでますから」

すごく悩んだが、結局、全然ちがう理由でオフィス転することになった。

そこはそこでまた別の悩みが発生したのだが、それはまた別の物語。

しばらく経って、その一軒家をあるNGO団体が借りたという話を聞いて、見に行った。

そのNGOは、ゲイを支援する団体で、男の子ばかりが働いていた。

「女にとって居心地悪い気がある」

まさに、男だらけの職場になった。

私の会社が移転したのも偶然ではないのではないか。

そんな気がした。

ちなみに、2020年現在、そのゴミ置き場は、賃貸アパートになっている。

私は、絶対に借りない。

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