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「男でフェミニスト」なら良かった。

フェニズムを学びはじて、最初に思ったことは、「もっと早くに出会いたかった。」だった。
ただ、最近、その感情が変化している。
もっと早くに出会いたかったが半分。
もう半分は、「知らなきゃ良かった。」だ。

フェミニズムを学んで間も無く、私は今まで経験した数々の嫌な事が、明らかに性被害であることを認めざるを得なくなり、今までに感じたモヤモヤのあれこれが家父長制に基づく性差別である事を知った。

つまり、フェミニズムを学ぶことは、紛れもなく私が今まで蓋をしてきた私自身の感情を知ることであった。

電車の中でお尻や太ももを触られた事。
妙に身体を密着させられたこと。
気のせいだと自分自身に思い込ませた数々の出来事を性被害だと認める事は、同時に自分自身が性被害者であるとを認めざるを得ない。

私は、フェミニズムを学ぶことで、同時に自分自身を性被害者であると認め自覚した。

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バイト先での出来事は、忘れられない。

飲食店でバイトをしている私は、食べ終わったお客さんの様子などを見て回るために、フロアを歩いている際、とある男性のお客さんの手元に目が釘付けになった。

なぜなら、それは全くもって、飲食店に不釣り合いなものであったから。

ただ、その男性お客さんの手元にあったのは、紛れもなく使用済みのコンドームであった。
テーブルにそんなものが置かれている筈がない。何かの間違えでは?目を疑った。
恐怖で、息が詰まった。

この事だけでもかなり衝撃的な出来事であるが、あろう事かその男性のお客さんは、その使用済みコンドームを手に、私の方を笑いながら眺めているのだ。

生まれて初めて、「恐怖」を身をもって体感した瞬間だった。動揺、いや戦慄した。

あの時の出来事で、今まで他人事だと思っていた性被害者の恐怖を、私は理解できるようになったような気がする。



すぐに、そのたまたま居た店長やマネージャーに伝えた。


ただ、その店長やマネージャーは、あろう事か、そのお客さんをお店から追い出す措置をとったものの、他は何事もなかったかのように振舞った。
結局、私も大丈夫か?と1度声を掛けられた他、それ以上もそれ以下もなかった。

動揺していた私は、結局その場では、何も考えることが出来なかった。


あとから思うのは、なぜあの時直ちに警察を呼ぶなどの措置を取らなかったのか。

店長やマネージャーは、男性である。
どんなにこの状況に対して恐怖を感じようとも、伝わらない。後に、こう悟った。

「立場が人をそうさせるんだ。」
帰って両親に話した時、両親共にその結論に至った。

きっと、他のお客さんのことを考えたんだろう。
そこで、騒ぎになったら、大変だろう。


何故だろう。

おかしいと思う。

でも、結局私自身、
あの時、店長とマネージャーにどんな対応をとって貰いたかったのか。
あの時、店長とマネージャーにどんな言葉を掛けて欲しかったのか。

自分でもよく分からなかった。
今でも、よく分からない。

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伊藤詩織さんの「BLACK BOX」を読んだ。
伊藤さんの話については、もうニュースで何度も事件の全貌を聞き、調べて、知っていたはずだった。
そんな筈だったのに、、

読み終えた後、目から涙が溢れた。

悲しくて、悔しくて、怖くて、
そして、怒りで

涙が溢れた。

フェミニズムを学び始めてから、特に最近沢山の本を読んでいる。フェミニズムについて。性暴力について。など様々だが、自分が性被害を受けたと認識し自覚したその日から、それらの本は、全て他人事ではなくなった。


いつ、夜道で知らない男から、襲われるか分からない。
いつ、デートDVドラッグ入りの飲み物を飲んでしまうかもわからない。

自分の周りにも、レイプや、性被害に遭った人がいるからこそ

次は、いつ自分が被害者になるか分からない事を思い知った。

だからこそ、自分は性被害にあったときに自分自身と周りを護るために、どうすべきか、誰に相談すべきか、1冊本を読む度泣きながら、正しい知識をつけようと思った。

「男でフェミニスト」になりたかった。
女性差別や、性暴力を知っても、それが自分ごとでなかったら、どんなに良かっただろう。

時々そんなことを考える。

一冊の本を読み終わるたびに、涙が溢れてしまう私はきっと弱い人間なのかもしれない。

だって、社会にこんな問題が溢れていたとしてもこんな事でボロボロと泣いてしまい何も手につかなくなるのは私ぐらいだろうから。

自分と切り離して考えればいいんだろうか。

でも、どうしても感情移入してしまう。
でも、どうしても私にとってフェミニズムが浮き彫りにするさまざまな女性蔑視問題は、全て自分ごとなのだ。

怖い。

怖い。

私は、これからもずっとこんな不安と恐怖を持ちながら「女性」として生きていかなければならないのか。

生まれ変わったら、「男でフェミニスト」になりたい。




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