見出し画像

No.1 燕岳 2763m

2018年10月、大学時代の友人Mちゃんに誘われて燕岳に登ることになる。

Mちゃんは大学時代に英語のクラスが一緒だったことがきっかけで仲良くなった。大学三年生の時に東日本大震災があり、「今しか出来ないことを今やろう」という話になり富士登山に行ったり、屋久島に一緒に行ったりした。卒業旅行では10日間トルコに行った。思えば、富士山はその後世界文化遺産になり大混雑、コロナだったり、トルコは日本人女性の殺人事件があったりと、本当にあの時に行っておいてよかったと思う。天気が悪くなってカッパドキアの気球に乗れなかったので、それだけはまた行きたいが。

富士登山のために42Lのザックや登山靴など登山道具一式を揃えた。Mちゃんは富士登山がきっかけで社会人になってから月に何度も山に行くようになった。サークルのようなものに入ったらしい。私はというと社会人になった年の8月にはフラメンコを習い始めたので、怪我を恐れたこともあり、Mちゃんから誘われたらたまに山に行く程度だった。

何回か関東の低山に一緒に登り(当時、地図も持たずについて行くだけ)、体力を見定められたのか、Mちゃんが誘ってくれたのが燕岳だった。

金曜日の夜発、松本駅で宿泊し、翌早朝の電車とバスで登山口に向かう。Mちゃんが松本駅のホテルをとってくれた。仕事に42Lのザックを背負って向かう。誰にも会わないことを願っているときに限って会ってしまう。廊下で出くわした当時の部長に「どっか行くのか?」と聞かれ、「つばくろだけに...」と言うがピンとこない様子。お昼休みにパソコンに齧り付き天気予報を見ていると「天気は大丈夫そうか?」と声をかけてくれる。ありがたく思った。

定時ぴったりに仕事を切り上げ足早に東京駅に向かう。新宿からあずさに乗り込む。Mちゃんに簡単に連絡し、明日の朝ホテルのロビーで落ち合うことにする。

翌朝、Mちゃんとロビーで約束通りに集合できて安心する。人気のない道を歩き、松本駅へ。コンビニで朝食用のおにぎりや飲料などを買う。
ここからの記憶はちょっと無い。空いた電車の中でおにぎりを食べた気もする、だが最後のバスは空腹状態だったので少し酔ってしまった気もする。

中房温泉に着くと、それなりに人がいて賑わっていた。そして、寒い。中房温泉の標高は1450mである。岩場にザックを下ろし、身支度、エネルギーチャージ、簡単に準備体操をする。Mちゃんは準備が抜かり無いしっかり者でザ・長女気質(私は末っ子)なので、とりあえず真似して従っていれば間違いない。荷物が多いのも特徴の一つで、Mちゃんのザックはいつもパンパンだ。偉いと思う。

燕岳のコース自体は、それほど特筆することもない。急登とも言われているが、割と整備されていて技術はいらない。道迷いの可能性もほぼない。何より距離が短く、あっという間に燕山荘(えんざんそう)に着いてしまう。

テント場と私

燕山荘は素晴らしかった。富士山の山小屋とは比べものにならない。綺麗に掃除がされているし、食事が美味しい。チェックインして荷物を下ろしてからカフェで私はホットミルクとケーキをいただく。Mちゃんは生ビールとモツ煮を食べていた。

山でもビールを飲める体質が羨ましい

少し休憩してから山頂へアタックする。山荘の目と鼻の先にピークがあるのも良い。山荘から見える白い岩肌が混ざった稜線が美しい。

身軽になったので、半ばスキップ状態でピークを目指す。ピークは本当に狭い空間なので、3〜4人で譲り合いながら写真撮影をした。帰りは、Mちゃんと写真撮影をしながらワイワイ進む。燕のポーズをしたりする。あっという間に山荘に着く。

少しのんびりしていると夕食の時間になる。メニューは覚えていないが美味しかった。バクバクバクと胃に流し込む。翌日の下山に備えて、早めに床につく。今思えば、夜中に起きて星空を見たり、早朝に起きて日の出を見たりすれば良かった。Mちゃんが気を遣ってくれていたのかもしれない。おかげで翌日も問題なく、サクサクと無事に下山することが出来た。

下山〜帰宅までの記憶は全く無い。

こうして私の北アルプスデビュー燕岳はMちゃんのおかげで何の滞りもなく、果たすことができた。

燕岳はアルプスデビューにおすすめしたい。登りやすいし、山頂で「なんだ、こんなもんか」とがっかりすることはほぼ無いと思う。景色も良いし、山小屋も良い。そして、それなりに山登りの経験があれば、ヒーヒー言うほどキツくないレベルで楽しむ余裕があるはずだ。

機会があればテント泊でも行ってみたいが、最近の登山ブームでなかなか気軽には行けなくなっている。相当早めに出発しないとテント場は空きがないだろう。
次に燕岳に行くときは縦走だろうか。それより他に登りたい山も沢山ある気がする。

中央線に揺られながら。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?