『夏の鴨』
『夏の鴨』
R6.5.10
樹々の気に膨らむ川や夏の鴨
樫の木
葦原を大きな風よ夏の鴨
富山の露玉
川と川混ざらぬ水や夏の鴨
さおきち
樋門へと水吸はれゆく夏の鴨
吉野川
橋脚の完成間近夏の鴨
たかみたかみ
橋桁の格子の影や鴨涼し
穂積天玲
大橋の日がな点滅夏の鴨
あいむ李景
金なくて憩ふは夏の鴨の川
みかどなな
クビでせいせい夏の鴨すいすい
平良嘉列乙
コーギーの尻夏鴨に突かるる
池之端モルト
太陽に尻を赦され夏の鴨
凡鑽
夏鴨に触れてさびしき瑠璃の雨
押見げばげば
夏の鴨鳴くや雨粒美味からん
播磨陽子
夏の鴨過ぎぬ土産屋ひまさうに
西野誓光
つぶれない湖の売店夏の鴨
朱鷺9条湯八
ポップコーンへなへな投げて夏の鴨
とべやすこ
R6.5.17
夏鴨へ洗いざらしの朝来る
綾竹あんどれ
さざ波をさも美味さうに夏の鴨
三尺玉子
夏の鴨猛し水紋立てて立つ
札幌のとべちゃん
夏の鴨外輪船の引き波へ
近江菫花
夕風の沼みづみづし夏の鴨
百瀬はな
夕されて夏の鴨には広き湖
椋本望生
倒木に藻の青々と夏の鴨
巴里乃嬬
夏の鴨みづのにほひはみどりいろ
湯屋ゆうや
掻き入れる水に太陽夏の鴨
メレンゲたこ焼き
夏鴨に追はれ太陽動き出す
嶋村らぴ
夏の鴨太陽は無垢ゆえに刺す
イサク
夏の鴨ひかりが群れたがつてゐる
山本先生
光源はフィルムのやうだ夏の鴨
八幡浜うさの
水に浮く静物として夏の鴨
古賀
『天』
夏の鴨どぷんみどりに病むみづへ
常幸龍BCAD
水紋に届かぬ胸や夏の鴨
眩む凡