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『納豆造る』

『納豆造る』
R6.8.2
納豆造る塩とがらせてまろませて
          古賀
納豆造るやまとの友として麹
          Rⅹ
納豆造る桶の黒きを貴びて
          彼方ひらく
納豆造る木桶の蓋の深縹
          駒村タクト
納豆造るぐわと塩浮く桶の縁
          澤村DAZZA
寺じゆうに納豆造る塩にほふ
          ベス
納豆造る塩水は目に痛い
          おこそとの
お経より納豆造るのが巧い
          けーい〇
納豆造るほかはしづかな昼なりけり
          眩む凡
納豆造る室に眠らせ日に起こし
          にゃん
納豆造るぽっぴらぺんと麹咲き
          二重格子
納豆造る豆はきらきら饐えてゐる
          碧西里
納豆造る念珠くらいの色が良い
          笑田まき
納豆造る匂いに残る豆の熱
          藍創千悠子
納豆造る何かを諦めたかたち
          コンフィ
納豆造る食うて稼いで死ぬるため
          くるまや松五郎
藍玉どうか納豆造るこそどうか
          大友さち
納豆造る無心を仕込む僧ひとり
          川名まこと
R6.8.9
納豆造る桶に大豆のゆるぶ声
          岬ぷるうと
指先に豆のたましひ納豆造る
          トウ甘藻
納豆造る即身仏のごとき豆
          俳句ファイヤー立志
納豆造る汗をかかざる仏の手
          イサク
納豆造る寺の扉の菊御紋
          川越羽流
得度式終へ納豆の造り方
          熊の谷のまさる
納豆造る僧の橈骨(とうこつ)うねる
          門前の一草
納豆造る地底の膿を掻くやうに
          千夏乃ありあり
赤黒き泡吹く桶や納豆造る
          杏乃みずな
納豆造る樽ぞふぞふと昏き熱
          錆田水遊
納豆造る都に余る熱を用て
          浦野紗知
兵火黒し造る納豆また辛く
          古瀬まさあき
納豆造る乱を逃れし麹黴
          西川由野
陽光とは痛くて黒し納豆造る
          常幸龍BCAD
『天』
納豆造る禅僧の肉(しし)清らなり
          細川鮪目

〇季語の体験(R6.8.8 一句一遊)
《銀曜日》
納豆造る化成の塩の香るらし
          くま鶉
〇傍題の秀句(R6.8.8 一句一遊 虎の巻)
《銀曜日》
大徳寺納豆買うて供華買うて
          巴里乃嬬
大徳寺納豆旨し円安し
          草夕感じ
京納豆甘し鴨川よそよそし
          宇都宮駿介
京納豆杉の柾目の麹蓋
          上腕三頭筋
太陽黒点ぐるぐると一休納豆
          一斤染乃
一休納豆菊の御紋の開かずの戸
          加納ざくろ
風狂の人となりたし寺納豆
          井蛙


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