『獣交む』
『獣交む』
R6.3.1
獣交む微かに唸る電気柵
山田はち
獣交む種芋五キロ注文す
花豆
獣交みてタクシーは来なくて
北村崇雄
獣交むなんてまあるい雲だらう
門前の一草
雲の凹凸や獣の交みけり
音羽凛
獣交む墓仕舞ふ日の日の匂ひ
南亭骨太
獣交む太陽も死ぬんだって
三隅涙
朱を帯し生ぬるき月獣交む
田村こあら
獣交む咬傷は暁の色
仁和田永
夕雲ははらわたのいろ獣交む
押見げばげば
獣交む花弁の如き舌を垂れ
葉村直
千里来て知らぬパンダと交ませる
石井一草
人類は滅びたやうだ獣交む
冬島直
宗教画のやうに野犬の交みをり
ギル
R6.3.8
獣交む静脈あをき犬の腹
ひでやん
決闘は止めじゃ獣ん交みよる
丁鼻トゥエルブ
獣交むふるふるふると尾を揺らし
彩汀
獣交む豊かなる尾の収まらぬ
黒子
濁り視る眼をして交みたる獣
澤村DAZZA
獣交む尻やまばたきなき眼
みいみ
獣交む声なき声とある声と
梅鶏
こゑ発火しさうに獣交みたり
一斤染乃
獣交む影も交んでおりにけり
嶋村らぴ
獣交めばおうおうと匂ふ土
小野更紗
竪琴はひかりに獣交みけり
広瀬康
獣交む空美しき島の午後
そまり
獣交むアンリ・ルソーの羊歯の闇
中型犬
荒垣の赤きカンバス獣交む
満生あをね
むらさきの野に種馬の脚赤し
伊藤映雪
獣交む関東ローム層の夜
飯村祐知子
『天』
犬交むハイライト喫む家の前
生田久孫子
獣交みをりけり釈迦よ寝返るな
いかちゃん