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漢字シリーズ『松』

R6.8.30
新松子むしりたがりしかたかりし
          人日子
百歳の松の松ぼつくり怖い
          広島じょーかーず
薪棚の上に松毬(まついが)冬支度
          藍月
冬ざれや黒松いたく拗けたり
          竹田むべ
臥龍松はだへも雪をこぼさざる
          彼方ひらく
色変へぬ松の正しき曲りかな
          きさらぎ恋衣
松の根を蟻かくかくとあざなへり
          ろまねす子
千年の愉楽の気分松手入
          椋本望生
松本はぼんぼん暑い夏の雲
          かすがさきこ
目印は龍なる松ぞ盆帰省
          宇都宮駿介
背表紙の灼ける松本零士かな
          灰色狼
富士の初雪おそ松さんの老いてゆく
          西村小市
五十路楽しや松葉牡丹咲く咲く
          のりのつばさ
赤松にきれいな鱗若冲忌
          越智空子
熊蝉や松皮剥がしさうな程
          家守らびすけ
青松虫焦げてるとこを擦って鳴く
          いかちゃん
(大山夏山開き祭)
奥宮を囲む松明二千初夏
          一港
R6.9.6
松虫やタワーマンションてふ独居
          ヒマラヤで平謝り
松虫や元寇遺構ありし浜
          世良日守
苦潮や舫ふに細き島の松
          清水縞午
桟橋は途切れ近松忌の波濤
          葉村直
夕焼けに松山を松山だと思う
          無敵なおき
愚弟と思うとつた松山に虹
          にわさきまちこ
宗教はいらない松茸はもらう
          朝日
松落葉尖るわたしの薄つぺら
          小染湧水
お守りをはずす月夜の松葉杖
          稲見里香
松葉杖立てかけてある桜かな
          ぞんぬ
行く春や叔父に見せたる松の帯
          乃咲カヌレ
海松色の秋思を詰める旅鞄
          七瀬ゆきこ
松の間は先客をりて菊膾
          ひらもとかおる
百物語の松吉がまた道楽で
          穂積天玲
松明を壁画へ翳す無月かな
          広瀬康
『天』
秋遍路松も昔の友ならむ
          近江菫花

R6.9.5 一句一遊 虎の巻より
『銀曜日』
色変へぬ松や砂丘に風の音
          岩本夏柿
パセリ食べてる松葉杖はどうした
          加納ざくろ
松山の初秋をさんざめく市電
          あみま
野分あと大王松のぬつと立つ
          めぐみの樹
外堀も内堀もなく新松子
          七色しぐれ
爆心地松は傾きながら生く
          つきのしゅか
松明に濡るる追儺の鬼の面
          ツナ好
逆鱗は三角松葉独活切れば
          つまりの
仰々しいその松茸の行書体
          凪太

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