研究コラム◆言葉ってなんだろうか【全編】

言葉ってなんだろうか。

今持っている体感の中で1番しっくりくる表現は

「結果」で「記号」であるということ。

なんだか

なんだ

極めて繊細な話になるものだから、何言ってんだこいつと思われた方はこのまま読み進めずに閉じていただいた方が良いかもしれないけれど

あながち、あながち、ズレてはいないと思う。

言葉って、日常私達は当たり前にコミュニケーションに使っているもので

毎日毎日毎日毎日触れて発して聞いて見て

なんだかもう、深く吟味するまでもなくその存在を当たり前に知り尽くしているような感覚がある。

私は役者を志す人で
初めて舞台に立たせていただいてから、かれこれ15年といったところ。

どんなシナリオにおいても「そこに生きる、リアルな命」でありたくて。
ただ、おそらく少しだけ人とは努力の仕方がズレていた。

私が修行に選んだのは、とにかくバイトをハチャメチャに掛け持ちながら2年ごとに変えて、たくさんの人と、仕事と関わること。
どんな人の気持ちも理解し、許して、共感出来るようになろうとしていた。

自分ではない人を演ずるには、今の自分の命だけじゃ足りないと思ったから。

自分の中身をたくさん増やして、深めなければ
浅いまま、思い込みで、中身のない表現をするようなことになれば、キャラクターに失礼だから。

若さと勢いと情熱と体力に満ち溢れた時期を
ほとんどの時間を、進んでバイトに尽くしてきたアホな人間だ。
舞台の経験より、マイク前の経験よりもバイトの時間が圧倒的に長い。
おかげでどんな業種の仕事でも1週間あれば即戦力になるレベルの人材にまでなってしまった。

何やってんだ。
と、今思わなくもない。笑

事務所に入り、仕事をし、舞台に立ちながら、バイト先で一生懸命生きて、ひたすらに人と関わり、観察して、体感と経験を積むことを長く、愚直に続けていた。

言葉ってなんだろう
台詞ってなんだろう
人ってなんだろう
人柄ってなんだろう
関係性ってなんだろう
性格ってなんだろう
解釈ってなんだろう
読み込みってなんだろう
想いってなんだろう
なんで笑うんだろ
なんで不機嫌になるんだろ
なんで怒るんだろ
なんで泣くんだろ
なんでこの言葉が出たんだろ
なんでこの言葉にしたんだろ
なんでだろう

いつまで経っても
まだまだ、まだまだ疑問が湧いて
その明確な答えも追い切れないまま台本に向かうことが
私はいつも申し訳なく、不甲斐なくて
悔しいな、悔しいなって思いながら
ずっとずっと考えて、探し続けてきた。

まだまだ探している最中だけど、
人の心や言葉に、なんでだろうと問いかけ続けて生きてきた私の今の答えを
少し、言葉にしてみようかなと思う。

どんな風に言葉を選べば伝わるのか
考えるけど
どんな言葉を使ってもきっと
完璧には伝わらないし、伝えられない

それこそ言葉は記号で
なんとでも、どうとでも
暖かくも冷たくも伝わってしまう
それを無条件に盲信されてしまう
そんな、どこか不安定で
言葉の意味をそのまま盲信されてしまうことが
常識な世の中となっている故に
ともするととても危うい存在であるとすら、私は感じている。

言葉って、曖昧なもんだよ。
自分の気持ちを
自分の気持ちのまま
きちんと言葉にできる人なんて居ない
言葉にできたと思っても
受け取る側のその言葉への理解や解釈は
ほとんどの場合、違う。
生きてきた世界も環境も違うから。

言葉の裏にある想いは本当であっても
その想いを受け取るために
聞こえた言葉を、その言葉そのものが持つ意味を
お互いの為に無視しなければならない場面が
世の中にどのくらいあるのか
むしろ無視しなくていい場面なんか
あるんだろうかとすら
思ってしまう。

私たちが言葉を生み出す前には、必ず頭の中に「伝えたいこと」や「感情」等
なにかしらの情報がある。
それがまた、たくさんたくさんあったりしてね。
人間の脳みそどうなってんだってくらいに超高速でそれを無意識に処理して、いつの間にか言葉に、会話になってる。
だから、出てくる音も実はとても繊細で
だからこそ「ニュアンス」という違いが生まれて、演出でもそんな言葉が使われてくる。

ありがと。って言葉ひとつ、無限のニュアンスがある。

言葉が紡がれる前に生まれる感情どのくらいあるんだろって数えようとしたけど
無理だったわ。笑

言葉っていうのは、人が感じているよりもずっとずっと曖昧なもの。私は、そう思う。

筆がノッてきたから、ここから先は言葉に付随する芝居のお話。

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