絶滅危惧種には理由がある
大麦は世界で最も古くから栽培されている穀類の1つ。その始まりは約1万年前。日本には弥生時代(紀元前300年~西暦250年)に伝来し奈良時代(西暦710年~西暦794年)に広く栽培されるようになった。そして、2020年の現在も栽培されている農作物。
まだまだ『大麦ってなに?』のレベル
2014年。香川県のはだか麦の認知向上と価値の創造を目的とし『讃岐はだか麦本舗』を立ち上げました。
http://www.hadakamugi.jp/
これまで麦味噌や麦焼酎の原材料として出荷していたはだか麦。これを一般消費者に向けて小売販売への進出は後発の後発。その時思っていたことは、成熟した市場でどのようにすれば「はだか麦」を知ってもらえるのかということでした。しかし、いざ始めてみると大麦の事はほとんど知られていないというのが現実でした!スーパーマーケットなどの棚には長くお米の隣に並んでいるし、学校給食にも麦ご飯は出ているので、正直「えっ?」て感じでした。
お客さまからの言葉
・うどんの粉ですよね
・小麦と大麦って違うんですか
・食べると何にいいの
・食べ方がわからない
・私は好きなんだけど主人がね
・昔たくさん食べたからもういいわ
・体にはいいのよね
ここ数年、健康意識の高まりが追い風となり、大麦の食物繊維、特に水溶性食物繊維(βグルカン)の機能性への注目が急速に高まり、大麦の関心と需要が延びました。数年たった今でも、もち麦をはじめとした大麦や雑穀が食材の1つとして定着してきたようにも思えます。しかし、まだまだ広く認知されたとは言えない状況です。
そもそもの課題は知られていないこと
これまで、全国各地で色んな立場の方々にはだか麦の話をさせていただいた中で印象的だったこと。かつてはだか麦栽培をされていて方が『麦ってこんなに凄いんやな。麦なんか馬鹿にしとったわ』と話してくれたことです。そもそも生産者が大麦を栽培することに価値を感じていなかったこと。勿論、そこには補助金の仕組みであったり、手取の面もあると思います。しかし、一番大きいのは、丹精込めて栽培した大麦のその後を知る機会がなかったことではないでしょうか。
出荷した麦がどこに行き、どんな風に加工され、誰の手にわたり、どう評価されているのかを知ることができなかった。だから、手取で判断するしかないのは当然です。これは、伝える側にも大きな責任があると感じています。
先ほど、消費者にも大麦は知られていないと書きました。当たり前だけど、伝える努力が圧倒的に足りていない。そして、伝え方にも工夫が必要だと思っています。
実だけが麦じゃない!
はだか麦(大麦)は栄養が高く食材としても優秀ですが、茎の部分(麦稈)も魅力的です。
プラスチックストローが世界中で大きな問題となっていますが、麦わらの英語は「straw(ストロー)」。大麦の茎は空洞になっており、表面は滑らかで、昭和初期頃までは一般家庭で飲料用のストローとして使われていたそうです。写真は蛍かご作りを教えてもらっている風景。農家さんにとっても大切な麦わら帽子の生産も、かつては盛んだったようです。
残る物には理由があり、消え行く物にも理由がある。気づいた人が夢中になって、残せる物にする。はだか麦にはその魅力がぎっしりと詰まっている。
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