ペットロス(相棒ロス)
2021年9月9日、うちの犬が亡くなった。
名前はルーク。17歳7ヶ月。
この冬、これまで撮り溜めてきたルークの写真をフォトアルバムに入れて整理したり、中でも気に入ったものは写真立てに入れてあちこちに飾ったりしてきた。
コルクボードには10枚の写真を付けて、寝る時に見える場所に飾っている。そのコルクボードそのものを、今の自分のiphone用待ち受け画面にもしている。
月命日には葬儀場の納骨室へお参りに行くようにもしていて、これまで何度かお参りノートにメッセージを残してきた。
もう亡くなってから半年が経ったのか。
早いな……。
心情的には「ペットロス」という表現より「相棒ロス」と言った方が近い。
恋しくて仕方がない。
ベッド代わりに使っていたルークのクッションを嗅ぐと、まだ微かに匂いが残っている。
ああ、この匂い。
ルークの匂いやなぁ。
嗅いでは思い出して、寂しい気持ちになる。
よくこのクッションの上で振り向きざまに視線をこちらに向けるポーズをとっていたな。
あの姿、心を鷲掴みにされるほどに愛くるしかった。
居間に入る時には、その辺にいるルークにぶつからないようにと気をつけながら扉を開けていたけど、その感覚が染み付いていて今でも同じことをしそうになる時がある。
前は扉を開けたら、尻尾を振りながらこちら側へ出迎えにきてくれていた。
「そうかいなそうかいな。ええ犬やな〜。ああよしよし。わぁしゃしゃしゃ〜〜」
とか言いながら、頭から全身へと包み込むようにしてなでる。
そのまま顔を自分の体にうずめてきて、なめてくれたり、甘噛みされたり。
ちょっと自分が小走りで逃げるようにしてみたら後ろから追いかけられたり。
あのムキになって走ってくる顔がたまらなく可愛かった。
全力疾走で突進するようにして自分の方に飛び込んできて、しゃがみながら体全体で受け止めてあげる。
ああ〜〜よしよしと、抱き締める。
「じゃあ、やるか?」
ボールを見せる。
「ワンワン!」と返事があり、向こうへ投げる。
すると口にくわえてこちらへ持ってくる
……ということもあれば、ボールを見つけただけでその場に立ち止まってワンワン吠えているだけだったり。
「なんや。なにしてんの」
うれしそうに尻尾を振って、口を開けてハァハァしながらこちらを見ている。
いやしんぼのお前はすぐに人が食べているものを欲しがってきたよな。
ドッグフード以外の食べ物は犬の健康上あまり良くないとわかりつつも、ついついおねだりに負けて少し食パンなんかをちぎってあげちゃったり。
奪い取られることもあったりとか。
留守にしている時には漁りまくって、帰宅したらそこらじゅう物がひっくり返っていたことも何度かあって、「なにしてんのーあかんやろー!」っていうこともあったよな。
ほんまにやんちゃな犬やで君は。
クッションで寝ている時に少し指でちょんちょん触ってちょっかいを出すと、怒って「ワウゥゥゥ」と言ってかぶってくる。もう一回やるとまた「ワウゥゥゥ」と言ってかぶってくる。
爪の辺りを触るだけでもダメ。寝たい時に触られるのは嫌なんよな。
「ゴロロロゥゥゥ」と喉を鳴らした声で、やめろやー的な威嚇をされることもあったり。
「ごめんごめん;」みたいな。
そういう少年の悪ふざけのようなこともして遊んでいたな。
おもしろいやつだった。ノリが合った。
いつもこうして戯れていた。
これが日常だったし、自分の大好きなひと時、癒しのひと時、楽しみのひと時だった。
家にいてくれることでの安心感が非常に大きかった。
「おおーよっしゃよっしゃ。そうかそうか。すごいワンちゃんやでお前は」
今でもこうして一人でなでる仕草をやってしまうことがある。そこにいるテイで。
いないのをわかってるくせにね。
少ししたら虚しくなって、どっと悲しみが押し寄せてくる。
「もういないんやったな……」
もっといっぱい広い公園などへ連れて行ってたくさん遊ばせてあげればよかった。
基本やんちゃで遊ぶのが大好きで、教えればなんでも覚える犬だったから力が有り余っていたやろう。
ルークには吠え癖があったから、あまりに鳴き止まずいつまでも「ワンワン!」とうるさかったもので、こちらの集中力を欠いたりストレスになったりしていた部分は、正直ちょっとあった。
でももっと家族が協力的であれば、きちんと吠え癖を直してやれないこともなかったやろうに。本人には何が悪いのかわからないのだから。
うちの家には秩序がまるでなかったので、そういう状況の改善を試みてもできなかった。
家庭内では色んな争いごとがあり、それを見られてルークを怯えさせてしまうこともあった。
逆にそれがルークのストレスとなり神経過敏にさせていたところもあったやろう。
もっと若いうちから積極的に教えたり、環境を整えられていたら……
それは今でも心残り。かわいそうなことをした。
本当にごめんな。
やがて認知症になり、徘徊するようになり、柵を立てて食事の補助やおむつを変えたりするようになった。
そして一人で歩けなくなって寝たきりになっていった。
きっとルーク的には不本意やったやろうな。
本当に元気いっぱいで感性豊かで賢い犬やったから。
「気持ちはあるのに体がついていかない!クソーッ!」という悔しさを抱えていたんじゃないだろうか。
そちら側では広くきれいなところで、ストレスフリーで、自分のしたいことを思いっきりやれて、自由に楽しく過ごせていることやろう。
友達もできているかな。
パピー(先輩犬)とは会えているか?
俺も早くそちら側へ行きたい。
お前のいない人生なんて生きていても仕方がない。
お前だけだった。体全体で愛情表現できて、全部をさらけだせて心を許せる相手は。
やんちゃで、人懐っこくて、おもしろくて、可愛くて、個性的で、最高の犬だった。
家族であり、兄弟であり、親友であり、相棒。
なんと表現すればいいか、とにかく俺たちは似たもの同士。2人で一つ。そういう関係。
自分には人間の友達はいないから、唯一の友だったし、かけがえのない存在だった。
そんなお前が、もういない。
ルークを思い出す度に、涙が溢れて仕方がない。
りんごやキャベツなど、おいしそうにこちらを向いてシャリシャリと音を立てて食べる姿
途中グッと足で踏ん張って、違う方向へ引っ張って行こうとする散歩のマイペースさ
一緒にくっついて寝てくる甘えん坊なところ……
全部が思い出。
iphoneに残っている画像や動画を見て懐かしんでいると自然と笑顔になるけど、寂しさのあまり自分の顔を覆い隠してしまう。
こうして書いている今も涙ぐむ。
ルークは俺のことをどう思っていたかなぁ。
また会ってくれるかな。
再会できるかな。
また会えたら、前のように一緒に走ったり、はしゃいだり、くっついて寝ような。
待っててな。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?