冷静と情熱のあいだでゲームを作る
昨日、Twitterでこのようなつぶやきをしたのですが、なにせ文字数が限られているため真意を十分に伝えることができませんでした。
趣味を仕事にできるのは万能型の天才だけなのか?というようなご意見もあったため、誤解を解くためにもnoteで詳しく書きたいと思います。
趣味だったら好き放題やった方がいい
ツイートにも書いているように、インディーゲームなんてどう作ろうが自由です。何年もかけて作ったゲームがたとえユーザーに受け入れられなかったとしても、自分のやりたいようにやったならきっと満足だろうし、誰もそれに口出しする権利はないです。なぜならそれはその人の趣味だからです。
たとえばゴルフでOBを叩きまくっている人を見かけても、本人が好きでやっているのであれば好きにさせておくべきです。求められてもいないのにアドバイスをしたなら、それは余計なお節介以外の何者でもありません。
でもその人がプロゴルファーになりたいと言っているのであれば、話は全然変わってきます。もしあなたがゴルフの腕に覚えが多少でもあるなら、あきらかにフォームの悪いところがあれば直すようにアドバイスをしてあげるのではないでしょうか。
ゲーム開発にしてもそうです。将来ゲームを作って食べていきたい、お金を稼ぎたいという目標を掲げながらも、失敗する可能性が高いルートを進んでいるのであれば、それはやめたほうがいいよ。と教えてあげたくなるのが人情だと思うのです。
僕はゲーム開発を始めて5年になりますが、中小企業のサラリーマンの収入程度は稼げるようになりましたので、大ヒット作を飛ばす方法はアドバイスできないけれど、失敗をしない(エタらない)方法はわかっているつもりです。そこでこのようなツイートをしたというわけです。
情熱は大事。でも冷静さを欠いてはいけない
ゲーム作りに限らず、モノづくりに最も大切なのは「情熱」です。情熱とはいわばアクセルのようなもので、踏み込まなければどんな計画も前進することはありません。
趣味でゲーム制作をしている間は、情熱のアクセルをベタ踏みしていればなんとかなります。デザインが崩れていようがストーリーが破綻していようが、とにかく走りきった(リリースできた)のならそれは大成功ですし、クオリティに文句をつける人も少ないので傷つくこともありません。
でもゲーム制作のステージを趣味から商売に変えた段階で状況は変わります。いわばハードモードに切り替わるようなものです。
デザインが崩れていたりストーリーが破綻していると、ユーザーから容赦無く低評価レビューをつけられ、ダウンロードも売り上げも望めずに、次第に心が折れていくことになります。
つまり、情熱のアクセルベタ踏みではやっていけなくなるのです。
ゲーム制作に限らずモノづくりで食べていこうとするなら、時にはブレーキを踏んだりハンドルを切って、方向転換を図ることも必要になってきます。
「情熱」をコントロールするのに必要なこと、それは客観的に自分の作品を評価できるような「冷静さ」です。
僕はクリエイターを生業とするのであれば、冷静と情熱のあいだで戦わなければ活路は見出せないと思っています。
僕がツイートで言いたかったのは、ゲーム制作で食べて行きたいなら情熱だけではなく冷静さも身につけなければ厳しいだろうという意図で、そのために地雷として踏みがちないくつかの失敗例を挙げたのです。
(ひとつひとつの詳しい説明については、要望があればまた書きます)
ちなみにモノづくりで食べているプロとよばれる人たちはこの「情熱」と「冷静さ」の切り替えが半端なく上手いです。
ただ、稀にプロになってもずっとアクセル踏みっぱなしで食べていける人たちがいます。そういう人は努力(本人は好きでやっていて苦痛すら感じていないパターンが多い)を重ねた上に、生まれ持ってのセンスを持っている人、俗にいう天才と呼ばれる類の人ですので真似しない方がいい(真似しようとしてもできないですが)と言いたかったわけです。
私は趣味の延長でゲーム作りを仕事にしています。私のように楽しくゲーム作りをしながら生計を立てている人はたくさんいます。でも私を含めてそういった人のほとんどは、冷静と情熱のバランスをうまくとっているだけのいわば一般人です。なので
趣味を仕事にできるのは一部の天才だけ、と言いたかったわけでは決してありません。
あと、こうやってnoteを書いている行為はただの趣味です。
ですので、この記事に対してのアドバイスは受け付けておりませんのであしからず。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?