入院と退室(2)

 (しばらく間が空いてしまいました…。申し訳ありません……。)

 夜、どうにか眠ることができ、翌朝がやってまいりました。朝食、といっても、人数は10名に満たないくらいです。手に消毒を行うと、アクリル板で区切られたスペースに一人一席設けられていて、コロナ対策のため、かなり厳しい処置が講じられているようでした。ご飯といっても、かなり少なめですが、まぁ、軽くお腹を満たすには十分すぎるくらいです。

 朝食が終わるとウォーキングをし、歩行訓練をして朝の連続テレビ小説「おちょやん」を観ました。昼まで読書とウォーキングをしてあっという間に昼前。お昼ご飯をすませて荷造りをし、ケアマネージャーの中田さんの来るのを待ちます。「お世話になり、ありがとうございました」とお礼を言い、自動車で13時前にグローインに到着し、中田さんは、「15時過ぎに迎えに来るから、それまで待っていてくださいね」と念を入れ、あわただしくその場を後にしました。理事長の石田さんが、「大変やったね…」と声をかけてくださったのが嬉しかったです。仕事はマスクの検品という軽作業ですが、黙々と15時まで仕事を続け、15時前にタイムカード打刻、作業日報を記入して終了です。

 ちなみに私は、一日1万歩を目標にウォーキングを続けています。そのことを人に伝えると、たいていびっくりした顔をします。「やりすぎや…」「すごいなぁ」「自分もやらな思ってるけど、一日1000歩くらいしかいけへん」等々……。私も重々承知しているつもりですが、2日、3日怠けているとすぐに筋肉が落ちてしまうのです。やりすぎとはわかっていても、自衛のためウォーキングを続けなくてはいけません。

 しかし、広いとはいってもなにしろ施設の中です。廊下を伝って一周しても、せいぜい500歩くらいにしかなりません。さっき通ったと思った人が、少ししか経っていないのにまた現れるというのは、どうにも気恥ずかしいものです。2回、3回くらいはどうにか我慢してやったとして、4回目、5回目になるとさすがにあきらめてしまいました。それでも、夜遅くになるとTVを観ている人は部屋に戻って誰もいないのである意味、絶好のチャンスです。人がいないと、ここを逃してなるものかと、繰り返し歩き続けました。この日も、どうにか1万歩達成です。

 話を元に戻します。中田さんの送迎が現れると、横に乗って、10分程度で総合施設寿楽へーー。到着すると、面接のために 優楽のスタッフの方がお見えになっていました。スタッフの一人は、2年前にお世話になった方で「僕のこと覚えてる?」と尋ねられ、「もちろんです。ご無沙汰しています」と答えると、「覚えててくれたんや。うれしいなぁ」と言ってくださいました。とはいえ、ものの10分ほどで面接は終わり。何か、事務的・機械的にやられている感じがして味気なかったです。その事務的・機械的面接をやって、私は優楽にお世話になることができ、翌日10時にスタッフの方が迎えに来ることになりました。

 制約は、スマホが禁止であるということ。

 これってなんだか信じられない話ですよね。中田さんの「退屈やから…」という話にあった通り、長い、長い時間を潰さなくてはならないのです。優楽は、ご高齢の方が多数いて、認知症に近い人も多く、介護を受けて生活しているため、スマホを持っていない人が少なくないようです。それが「かわいそうだから…」という理由なそうなのですから、いたしかたありません。スマホがないということは、歩数計もなければ、暇つぶしのゲーム機能もない。これは大変なことになりました。ケアマネージャーの中田さんが、「万歩計持ってるから、私が何とかします。明日は都合が悪いけど…」とおっしゃったきり、結局、中田さんは一度も会いには来てもらえず、万歩計は、藻屑の泡と消えてしまいました。こんなことをいうのは僭越なのですが、中田さんに対する不満として今も残っています。(続く)

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