天使ウィンター&悪魔シャーク 双極の卵🥚🥚1
私が地上に降りるのは
いつも冬
どの土地も永久凍土のように
暗く、寒く、冷たく
地に眠りにつかせる
暖かい春に
日差しのある春に
一斉に芽吹かせる為に
活動をさせず
エネルギーを蓄えさせ
美しい彩りある姿をさせる為に
地に眠りにつかせる
雪を降らせ
霜をつかせるのも
一旦活動を休止させるため
冬も、もう終わり
春が始まる
私は少し暇を持て余して
地獄に行った
天使達は、たまにコソっと行く。地獄に
私は、まだ行ったことはなかった
黒いフード付きのマントを羽織り
手には紫のロング手袋にブーツ、
顔半分を覆うアイマスク
今迄見た事のない地獄の景色は楽しかった
ほぼ無彩色に見せる薄暗い空に樹々や森
不安な気持ちにさせるブルーグレーの空
暗い空の色が、
遠くの木々や森を影絵のように見せ
黒く枯らげうねった木々は
苦しく呪った吠え声を、空に上げているようで
その時、風は時折吹くのに音がしない事に
気がつく
地面を歩く音も、
落ちてる枝を踏んだ時も音がしない
《無音》
空気に音が吸収されていると思った
地面を見て、強く土を踏んでみると
音がしない
音は吸収されていた、土の硬さは普通
歌ってみた♪
声は聞こえないと言うより、
音さえ出ていないようだった
音が吸収されてると気づかなければ
声が出ないと思うだろう
沸き立つ楽しさが起こった
今迄にない感覚、楽しくて仕方なかったが
聞いていた、地獄と違う
入る入り口を間違えたのかと思った
「適当に聞いていたからな」話
遠いと思って見ていた木々の風景が、
20mも歩いていてないのに、
抱き合って苦しそうにしている2つの木々の
前にたどり着いていた
近いと思っていた岩場が、
いつまで経ってもその場所に着かない
自分の元来た道を振り返ってみると
歩いて来たと思えない景色が見える
頭より少し上の枝に手を伸ばすと届かない?
見上げると
枝は見た位置よりもずっと上にあって
クスクス笑ったな
「人間なら迷うな」と楽しくなった
道は突如、遠くに見えていた森が目の前に現れ
そのまま、進んだ
森は夜のように暗かった
まったく光の入らない森の中
暗い夜を
闇の中を歩いてるようで面白かった
苔やシダ類の匂い
静かで、新鮮な森の匂い
おどろおどろしい暗い陰気な色彩なのに
新鮮で綺麗な匂いでも
天国とは違う匂い
そんな時に微かな水の匂い
清涼な水の匂いに驚いた
川の流れる音のする方に
進んでいった
森も無音ではと思ったが、違った
あの道だけなのかと思った
天界にない感覚で面白かったな
天界は光、光、光、
陽の明るさと暖かさ
自分のレベルごとに開く、光の扉
森の木々を抜け、川の流れる場所に出た
岩場も多く
川の向こう側は平地のように広がっていた
地形はどうなっているのだろうと思ったが
空の色は、どんよりと曇ったままだった
最初、地獄に入ってきた時と変わらないでいた
水の流れは早く、上流と思った
地上でもよく見る、河原で
私は川辺に立った
話で聞いていた以上に水も空気も澄んでいた
(景色や天候は、確かに暗いけれどな)
川の水面を歩き中央迄行った
クリアな水の匂いが心地良かった
上から川の中を覗くと
透明な魚が泳いでいた
ブーツを脱ぎ、地面に移動させた(瞬間移動)、
マントと衣服の裾を両手で持って
膝位迄上げて水を跳ねたた
水は凍えるように冷たく
私には、問題はなかった
(天使にはだな)
魚の動きを見ていた❄️❄️
その時
シャークが上から降りてきた
黒く大きな翼の羽ばたき
水面の上に降り立ったった
水面は揺れ、川の水が渦ように跳ね上がる
全身黒、黒の革ジャンにパンツ、
ロックミュージシャンの格好だ
漆黒の黒髪に
少しくすんだ白い皮膚
格好とは裏腹に優雅な動き
清涼な水の匂い
上質なアルコールの匂い
水滴と供ない
人間を惑わせる
上質なコニャックの匂いを辺りに散らせ
大きな羽根の風と埃と共に
鼻腔をくすぐるコニャックの香りは
翼の羽ばたきで広がり
飛び散る水滴も気にならなかった
アルコールに酔うはずもない、
私が酔いそうだった
私達が酔うのは、神の酒のみで
この悪魔は酔いどれかと思った程だった
黒い大きな翼をたたみ、彼の回りで風吹き
開けたてのコニャックの香りが
広がっているのが目に見えるようだった
彼の動きそのものが音楽に見えた
言葉はぶっきらぼうだったが
「新人か、こんな所にいるのは」
「•••• 」
「まあ、いいか。俺は森に用があってきたんだ。欲しい木があってな。こんな所にいるから、ちょっと降りてきた訳だ」
「••••」
シャークは
そう言いながら私の横を通りすぎた
その時、マスクを思いっきり剥ぎ取られた
「新人、顔位見せろよ。お前どこの所属になるんだろうな。今時期だしな、ハッハ」
油断したと思った
ヘタに動いてはと思ったのが仇になった
シャークに、凍てつくような目を向けていた
長い淡い金髪のウェーブの髪を撒き散らして
マスクと一緒に
被っていたフードも後ろにずらされたからな
「・・・天使か、まあ喋らないのは分かるが。普通に喋っとけ。名前は」あららって顔だった
「ウィンターだ、お前は」
「シャークだ.... なんでこんな所に。いや、まあ、たまに変装して来てるのもいるし。聞く方が変だな」そう答えるシャークは、少し悪い事したかなみたいな顔をしていたな
あの時そうは思わなかったが
不思議だった、質問になぜ答えたのか?
正面から見た時、目が離せなかった
私を見て途方にくれたような驚いた顔
ほんの数秒の事なのに、時間がゆっくり感じた
「らしいな、そんな話は聞いている。
だから、何を驚いている」
「驚いているのは、そっちじゃないかな」
「えっ」
「話に聞いてはいても、地獄の川や湖が水がクリアで澄んでいる事に」
鼻筋の通った顔が、ニヤっとする
「確かに、そうだ」
(変な答え方をしたものだ)と、
ウィンターはクスッと笑う
シャークのシビアな顔の中に明るさがあって、あの時あの驚いたような顔も意外で私は幸せな気持ちになっていたし、悪魔にも色んなのがいると、こうして人間の気持ちに入っていくのかと、思った。今迄悪魔に会っても思わなかった気持ちをシャークに思った
小さな秘密を見るように、ウィンターは
シャークの顔を声を記憶を詳細になぞりだす
「心配するな、別に言わないさ。
ここは禁区域で、滅多に俺らは来ない」
「滅多にか」
「滅多に来ない1人だよ、俺は」
シャークは笑ったように言った
あの時のシャークの顔
珍しく、少し口元が弛んだよ私は
ウィンターは、口元に軽く手を当てた
暗い瞳なのに、強く光る瞳
赤くないのに血を連想させる唇
人間には、魅力的映るだろう
野生的なのに、優雅
私より頭ひとつ分高い身長
魅力的と思った訳ではない
ただ目が離せなかった
シャークは、大きな岩を指し、
「あの岩近くは浅く、水の中に足がつけれる」
ナニを言ってるのと言った感じの顔で私は
シャークの方に歩いて行った
不思議だった体が勝手にスタスタ動いて
自分でも驚いたけど、顔には気持ちは出さなかった
「いや、折角だから
ここの川で遊んでいったらと思った」
「親切だな」
「天国でも、これだけの水にお目にかかれるかなって代物さ、ここはちょっと違う。天界の者が飲んでも大丈夫さ。嘘じゃない。ここの川の水は地下水。特に深い層の地中深くで濾過された地球体内の水」シャークの声は、音楽のように響く
「深層水か」
「天界は、大気から水に変換させる。
純化して、だろ」
森の外は、明るくても薄暗かった
曇った空は薄白い空をみせ
不穏なモノを思わせる空気で
人間には不気味で寒く感じ、
耐えがたいだろうと思った
この景色、この雰囲気では水に入ろう、
喉が乾いたからと
水を飲もうは戸惑うだろうな人間はと、思った
あの時
私はシャークの、ほぼ正面に立っていた
頭ひとつ分高いシャーク
「で、今回何を持ってきたんだい」
「持ってきた?」
「?!」
「なにを?」
「ここは地獄、悪魔と会った時に見逃す代わりの貢ぎ物。本来、ここは天界の者はダメだろ。だかと、そちらにしかない花や草、天界のエナジー封じ込めた石とか、神の酒とか... 」
「・・・」
「悪魔だって、天国に遊びに行って見つかったら天使に渡すぜ」と笑う
「・・・」
「なんにも持ってきてないのか?マジで?ホントに!見かけより脳無しか!イヤ、見かけ通りと言うべきか」
(聞いてない。
みんな当たり前で言わなかったのか)
別に腹は立たなかった、
言われるのは当然だなと思った
少し考えれば分かることであって、
自分が抜けていたなと思った
シャークのあの意外そうな顔は面白かった
なんか本気で心配してるみたいな顔で
だから、つい。ウィンターは、クスクス笑う
私は、軽く背伸びをして腕を伸ばし
シャークに軽くキスをし、
すぐに離すと
シャークは呆気に取られた顔をした
続く
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あとがき☁️☁️🥚
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