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デビルマン(邂逅)3

そして、今船の甲板にいる
風は強く、散々昨日いた甲板に
船室にいるよりは、外の方が気持ちがいい
朝の4時と言うのに
思ったより、明るい空。
濁った雲の色ではあっても
彼女が振り向く
「飛鳥君」
「ヤァ、おはよう」
「おはよう」
2人とも声が大きい、少し叫ぶように言っている。海の上を走る風の音で、声が聞こえづらいからだ

僕と彼女は笑ってる
「眠れなかった?」
「君もだね」
「一年に一回の島のお祭りね、今日。
「潮の満ち引きで現れる今日だけの道、楽しみだね」
「結構こっちのプランに来た人いるわね、もう少し少ないかなと思ってた。地味だし」
「君は、前僕にモテモテで困るでしょっと言ったが、遊園地の魅力には負けたね」
「そうね、でも17人は飛鳥君目当てよね、一緒に入れるもの魅力よね。29人中、17人女子。写メ祭りだったわね」
「まあ、ちょっと疲れたね。なんで、牧村はこっちを選んだの?」
「飛鳥君は?」
「一年に一回が見たいと思った。遊園地はいつでも行こうと思えば行ける」
「私も同じ、あと見れるうちに色んな風景見ておこうかなって、今見れるうちにって思うの」
「・・・ 」
「あっ、病気とか病弱とかじゃないよ」
 僕の顔を見て、慌てて言う美樹
「なんだろう、今見ておかなきゃって思うの。ほら、色々開発やら、パピリオン。沖縄の軍施設の建設で、自然の景観って壊れていくじゃない。話で知ってTVで観たりして、いずれは行きたいと思っていても、行く頃には見たいと思った景色はないかも知れない。そう思うと」
「そうだね。•••恐竜がいた頃って、どの程度の原生林、平地がどの位の規模で破壊されていったんだろうと思うね。大きいからさ、通る道も決まっているだろうけど、喧嘩?闘争?彼らが争いをする度に、どの位の規模で、1日の行動半径ってどの位だろうって。言ってて、ちょっと気になってきた」
「そうね恐竜だと、どの位の規模???今度調べてみようか」
「いいね、今度うちにくる」
「いいね、おやつ期待しているよ」
「任せといて、姫」
2人して、笑いだし
「全然、近づいているように見えないね」
「1時間位前に思うのかな?まだ、海海海かな」
「私時々ね、そんなに頻繁じゃないんだけど、年に一回か二回、なんとなくだったんだけど、今年になってから、なんか忘れている事を思い出しそうな気持ちになるの。よくはっきりとわからないの、場所なのか、出来事なのか、夢で見た事を思いだそうとしてるのか、でも小さい頃からあるの?小学校2年生くらいから、あれ?とか、ん?とか、そんな感じ。急に怖く感じる時もあるの
追われて怖い思いするような。夢だと思うのだけど、小さい頃に何か怖い思いしたのかな?って、それを思い出そうとしてと考える時があるの、どう思う?」
「どう思うって、わからないけれど。夢以外なら、何か怖い話を読んだり知った事が残ってる考えも」
「お話か、ありえるかもね。記憶にないだけで。高校に入ってから、少し頻度増えてるの。思い出しそうで、思い出せない名前」
「名前?」
「名前と思う。人の名前と思うだけのなのか、物や名称、地名、建物かも知れない」
「んー、思い出しそうで思い出せない、何かわからないけれど、怖いと思ったら、変な感じしたら連絡して。いつでもいいから、気にしなくていいから」
「ありがとう。親切ね」
「いつも明るい牧村がそんな微妙な顔をするのは気になるよ。たよって気にせずに、僕を」


一年の時、同じクラスだったから牧村とは喋る事はあった。演劇部に入ってから、喋る事は増えて、部活後帰宅も途中まで一緒に帰っていた。その時に牧村に言われた
「私の事、美樹って呼んでいいわよ、みんな呼んでるでしょ」
「・・・いや、みんなって言っても女子だよね。男子は呼んでないよね。男子は牧村、牧村さんとか」
「みんなに言ってるんだけど、気にしなくていいって。従兄弟や親戚の人は美樹って呼び捨てするんだけどね。美樹とか美樹ちゃんとか」
「従兄弟や親戚の人は、そうかもだけど」
「遠慮する事はないぞ、好きなように、呼びやすいように呼んで」そう美樹に言われても、最初は牧村さんと呼んでいたが、牧村と呼ぶようになった。美樹とか美樹ちゃんは声に出すと違う感じがして、彼女をその名前では呼んでない。口にしないだけで美樹とは言ってはいるが、何か違う感じがして。彼女が、そう呼ばれたがっているのはわかるのだが…
頼ってと言うなら、牧村ではなく美樹、美樹ちゃんと言わないと、仲良しな感じにならないか? 他のクラスメイトに比べたら、全然仲がいい僕と彼女は、ただ何か隔たりがあるような気もするのは確かで...、僕は彼女と喋りながら、彼女の横顔に少し回想をしだしていた

今年は、県大会も一位だ。国体の参加資格もあるのに、本来は18歳だと言って断っていて、学校としては、出て欲しい所だが、ガンとしてYESと言わなかったとの事だ「今は、競技はいいわ」と、美樹は言った。顧問も先生も生徒達も僕も持ったいないなと思った。でも、本人が出る意思がないならと、僕は意を唱えなかった

彼女は、部活の演技の練習中や通し稽古をしてる時は、演技に特別何も思わない。下手ではない、時折センスを見せると思う時はある。文化祭では演劇部の芝居では、一年も全員参加だチョイ役で、度胸付けを兼ねていて、長くても3分、舞台にいるのは。その時も別にだった。
 
今年の県大会の予選の時、先輩が突然の腹痛で(後で盲腸とわかった。あまりに痛みように救急車を呼んだ)、その芝居では、美樹は最初の方に少し出る位で、着替える時間もあり代役を先生に言い渡され美樹が出た時に思った事は、彼女は舞台で芝居をすると、異質だった

今迄、端役で演技時間も短かったから、分からなかった

彼女が舞台で演技をすると、舞台が似合わないように見える。演技が下手とかではなく、舞台のライトよりも、青い空の下の方が似合うと思わせる、特に陸上の時の彼女を知ってる人なら、舞台より陸上と思うだろう
彼女の明るく元気なエネルギーが、芝居のライトよりも彼女自身がどんどん明るく見え、主人公が、メインの人物達が、先輩達が彼女の元気で明るいエネルギーに吹き飛ばされ、霞んでいるようにしか見えなくなっていくのは、青い空の下の方が彼女には良いのではと苦笑いさせるモノが、上手い下手を通り越して目がいく
特別上手い訳ではない、ただ時折見せるセンスに溜息はつきたくなり、演技が長くなればなる程、彼女のエネルギーの明るさを見ていたくなり、意外にも最初は合わないと思った舞台の芝居が... とても惹きつけられ

やっぱり陸上や運動系が本質、職員室で先生が言っていた事の方が正しいと少し思えていたモノは、消えてなくなっていた

それは先輩達や顧問も、全員そう思った
主役をやる人間とはこう言うものなのかと
まだまだ素人のイキで荒削りではあるけど、学校で彼女の演技を見た者達の間では、太陽とかアポロンと言われ出していた。僕は美貌とクールな感じと見た目より低いと思われる声にアルテミス、月と言われ。演劇部のアポロンとアルテミスと言われるようになっていた

また、女生徒の中には「飛鳥君って、アルテミスより「明けの明星」と言われる金星のヴィーナスじゃない。美しいし」と言うのもいて、いくらなんでもヴィーナスはないだろうと笑える

三木のおかげで僕は、素直に自分の事をクールな美貌と言えるようになった事に、口元が少し緩み、笑える話だ。性別逆で、別称が付けられたのは

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