「平造夫妻2」 前編 陽炎番外編 仮面の忍者赤影 二次小説 1451文字

青影、陽炎の母は、平造がお役目でいない時、たまに里に降りていた
(自身が、お役目の時もあるが)
山で取った茸や山菜を持って、情報収集も兼ねて里から離れた村人達と喋ったりしていた
その日も里に降り、噂を聞き夫の乱行にまいっている幼子3人抱えての女の元に、山で取れたキノコを勧めていた


「茸は、朝か昼に食べさせて。一日一回、三日」と勧める。察する女に、陽炎の母の目は光る。躊躇し手にしようとしない女に強引に
「まあ、明日のお昼にでも」と茸を渡す平造の妻

「ほら、旦那が帰って来ましたよ。昼食べさせて」と言い去る。最初、自分に「山で取れた山菜や茸はどうだい」と声をかけながら近づいてきた女は、ほっかむりでわからなかったが近くで見ると若々しい顔は意外であった

その意外さになのか、つい女は無理と思うも茸を受け取っていた


翌日の昼、夫のご飯の支度
昨日の昼、夜だそうにも夫のご飯に出す気になれなかった茸
何か怪しく思え躊躇し捨てようと思うも、なぜか手が勝手に動き、茸を焼いて、里芋と味噌と一緒に出す
台所の突き出し窓からは、平造の母の眼が
女は全く気がつかないでいた


(一回位では死なないし、具合が悪くなるだけよ。試しよ試し)と思いながら、夫が口にするのを見守る女


食す夫、何事もない
昼から、川に行って魚を取ってくるという
その日、川で夫が酔ったように変な事を喋り、ちょっと暴れて転んだと、夫と一緒にいた者が夫を連れて帰ってきた
女は、いつもの事であっても頭を下げて謝る
またかと。もう何かあるたびに、頭を下げるのが本当に苦痛で、肩身が狭かった


(茸じゃないわよね。いつも、なんだかんだ言って暴れるし。きのこじゃないわ、きのこじゃない)と、女は胸に思う


翌日の朝、女は夫に朝ごはんにキノコを焼いて出す
夫はバクバク食べ、朝から久兵衛の家に行くと言って出かけて行った


久兵衛の家は、ひとり者でひとり住まいという事もあって、荒くれどもの、賭け事の場になっていた
家の前の畑の仕事もせず、いつも何処かに出かけて行く夫


昼過ぎの八つ時、「変な事言って喧嘩になり、橋の下で横になってる。いつもより大喧嘩になっただけで心配ない」他所の旦那達が「ほっといて大丈夫」と家に教えに来てくれ、それに従い、夫が戻ってくるのを待っていた


不貞腐れて戻って来た夫に「食事だ、食事」と言われ、女はもう茸を出さないでおこうと思っていたが、夫が早くしろと煩い

ださないでおこうと思った茸は、まだ捨てないで台所にある

明日ではもう鮮度が駄目であろうなと思っていると、夫の催促の煩い声に茸と魚を焼き、夫にだすと、夫はさっさと食って寝てしまった


夫は夜中、突如起き出し
「朝だー」と大声で喚き、隣の家の戸を叩き、起きろーと喚き、意味不明な事をいい、開かない戸に、隣の家の庭を少し荒らして、大声張り上げてズンズン遠くに行ってしまった


隣の人は庭での声が遠ざかっていくのを聞いてから、ガラッと戸を開け庭にその家の夫と祖父が出て来ると、夫の嫁がささっと走ってきて「申し訳ありません」と頭を下げるのを、その家の祖父が制する


「いいっていいって、庭荒らしたといってもいつもの事。これは、あんたに言ってもなぁだ。あんたの夫は、子供頃から知ってる。いつからか、あんなになっちまって。まあ、何事もないように祈るよ」と、いつもやさしい言葉をかけてくれ隣に、女ありがたいと思っていた


朝、男は戻ってこなかった。
昼になっても
女は、子を隣の人に頼み、村の井戸に水を汲みに行く途中、村長に声をかけられた
夫が川下で、死体となって見つかったと


続き
→「平造夫妻2」 後編 陽炎番外編 
  仮面の忍者赤影 二次小説


  
※青影、陽炎両親のお話です。今回は、陽炎の母親のみです。陽炎の母親は、里一番の影舞の使い手、二番は青影、陽炎の父親



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