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デビルマン(邂逅)4 完

階段を登ってくる音がする。複数、目が覚めて海でもみようと思ったのだろう
意外に船酔いはいなかったなと思った
思った通り、女子3名が僕と三木を見つけて、「おはようー、早いね」と1人がいい、他の2人も続けておはようーと言い、全員手を振る

「寝付きが悪くて、起きて、早々に・・・」と言いかけた時、自分は何を見てるとんだろうとなった

おはようと言った女子が、手を振った女子1人が、急に前に倒れた。側にいた女子も驚いている

急に動きが止まって、バタリと倒れた、前に
みんな、すぐに反応しなかった

そして、もう1人女子が倒れ
僕と三木、もう1人の女子は音を聞いた
風の音で、えっと思ったが
微かに、聞いたと思う方向に顔を向けた
女子は後を振り向き、僕と三木は真っ直ぐ船のヘリの方に目を顔を向けた
黒ずくめに黒いサングラスの男が2人いる
猛牛のような身体の男達だ
自分達の方に、何か持って腕を振り上げているのがスローに見える
状況がすぐに理解できなかった

もう1人の女子生徒は、僕達の方に振り向きざまに倒れ、僕と三木は、自分達に腕が上がってる先に銃がある事を理解した、

硬直する自分、また階段を上がってくる複数の足音がする
美樹は、飛び出していた前に
3人撃たれたのは、美樹のクラスメイトだった

だが、足がもつれて転ぶ
階段に上がってきた女子生徒が2人甲板に上がる。上から黒い何かが降りて来たと思った瞬間、1人の女子生徒の体が首無しで倒れる
血を噴き出して
一緒に上がってきた女生徒は、悲鳴をあげたと思う

つんざくような悲鳴を
風で、よく聞こえなかっただけで
彼女もまた、首無しに

首を拾って持った黒ずくめが、三木の前に女生徒の首を蹴る
男の手には、血の付い日本刀が血をポタポタ落としている。日本刀と思う。形は日本刀だが、刃が黒い
「試したくてな」と男は、口を開く
(試し切り?)と思うも

転んだ三木に、女生徒の首を投げる黒ずくめ
首は三木の横を転がって通りすぎてゆく

もう1人の女生徒の首は、男の近くにあっ、今まで身体に繋がっていた首を、男は僕の方にポンと蹴る
ボールのように
上半身を起き上がらせた、三木の横を通って
僕の前に、首はボールのように弾まないが転がり、海へと落ちていった
僕は顔が落ちるのを、目が追って見ていた
怖いのに
僕の身体は、恐怖で凍りついていた

僕は、恐る恐る首を戻した
僕が目を離した隙に、美樹の首がち思った

美樹の首はついていて、ホッとするも、黒ずくめの男は、銃で撃たれ転がってる女生徒の首を血のついた黒い日本刀で切り離し、三木の前にポンと置いた

「飛び出してまで心配したお友達だ、持ちやすいだろ。逃しちゃって」

三木の前に置かれた首は、三木身体で見えなかったけれど、長い髪の一端が見え

「あ、あ、あ... 」
三木が彼女が少しずつ声を大きくして、「あ」っと言っている
これくらい離れていたら風で聞こえないはずなのに、聞こえてる事に不思議に思わなかった

「美樹、美樹‼︎ 美樹‼︎」
自分は、足が動かないまま大声で叫んでいた

男は、美樹に話かけていた
「何、悲鳴でもあげるの?助けてくれる人の名前でも呼ぶの?」
美樹に言った男も、回りの黒ずくめ達もゲラゲラと笑った。太い声で
(日本人なのか、外人もいるようだが)

男は美樹の後ろに立ち、日本刀を打ち下ろした
首が転がる音に身体が前に倒れる音が、激しい風と共に響いたように思った

風で、聞こえにくいはずなのに、聞こえる

「兄ちゃん、全然動けんかったな。男の子失格や。彼女の代わりに、前に出てくる思うたわ。
まあ、しゃーないわな。こんなん、初めてだよな」男達は、笑ってる

別の男が、美樹の首を拾い上げ、
「こんなことも、できないよな美形くん」と美樹の唇にキスをし、飛鳥了に美樹の首を向ける

「こいつの試し切もあるんだが」美樹の首を切った男が、黒い日本刀を振り上げ、続けて言った。
「島にも用があってな」

(なぶり殺しをするのか)と僕は思った

「俺たちバイオ人間なんよ。薬で強化した。兄ちゃん、美形だけど。役に立たんなぁ」男は、美樹の首のない身体を無造作に拾いあげ、僕に投げつけた

僕の胸元に、血がべったりつき、血の匂いと共に、ゾッとする頭のない首の切り口に、吹き出してる血に、僕は三木の体を受け止める事もできずに、美樹の身体は海に落ちる

「兄ちゃん、受け止めなあかんよ。一緒に心中しな。俺からの情けや」僕の方に歩いてきて、僕の胸をトンを押した

僕は、海に落ちていった

美樹の首を、心配しながら

追うは影、愛するは影
そう頭の中で声が響く


大きな音を立てて、海に深く沈む

走馬灯のように、次々と色んな記憶が
また、自分が知らない記憶もでてくる

どんどん水面の明るさが遠のいて
息ができず、喉に水が入ってきて苦しい
沈んでいく身体

大海の一部が流れ込み、飲み干せないと思う海の広さが、頭がいっぱいに感情のように広がる

コップの水が口に流れ込んでくるのとは違って
息ができなくて、吐き出せなくて苦しい

大量の涙に、浸かっているようだ

「あなた方が泣けないから、大量の涙があなた達の体に入るのです」子守唄のように、そう声が響き、意識が遠のいていく中思う

彼女を通して、明を追っていたのだろうか?
それとも、明を通して美樹を...
牧村を好きな気持ちがわかるよ

あんな、すぐに手をあげる女
幼馴染だから、人間の不動明の気持ちが残ってとおもっていた、くだらないと

芝居をする牧村、舞台に立つ牧村を見て
あの明るい輝き...
皮肉だなアポロンの輝きに、アルテミスの光か


あの頃、明が牧村に惹かれるのがわからなかった、まったく

人間が勝ったデビルマンと思っていた
不動明の抵抗と考えていた
牧村美樹への気持ち
ただの元気で勝気な女と思っていたが
デビルマンが、人間の不動明のただの女の子を好きな気持ちを認めたくなかった

・・・明を通して惹かれていたのか?

牧村は、転生し続けて明の影を追うのだろうか?

不動明が、デビルマンが転生した人間を求めて

人間に狩られ、首を落とされる迄に怖い思いをした美樹。デビルマンに、哀しみを恐怖を怒りを与えた牧村一家、美樹の首だけの姿を魔鏡で確認したが、別に可哀想とも思わなかった
普通に、虫だからで殺してるような人間

悪魔と変わらない

牧村美樹は、僕を通して不動明をデビルマンを見ていたのだろうか?

お互いに、相手に明をみていた?

牧村は、不動明を追って転生を繰り返すのだろう

恐怖を抱えて

あの『あ』は、明の名前だ
悲鳴でも、叫びでもない

怖かったんだろうな、狂気にかられた人間に囲まれ、首を斬られて

明の名前を、何回呼んだんだろう

不動明が、転生する事はない
死んだら、魂は消滅する
悪魔と合体した人間に転生はない
悪魔と一緒に消滅だ
消滅させた魂を転生させる事は不可能だ

神でも無い限り


Fin 🌹

→エピローグ



END

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