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芙美湖葬送―芙美子は芙美湖に還った。

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妻の葬送記を小説化しました。死んで20年になります。私も老いました。気がついたら87歳になっていました。コロナもやって来ました。先に何が来るか分かりません。だから疎開を体験した貧…
小説の背景は、東京大空襲、疎開、田舎での苛め、家庭内差別、脱出願望、ちゃぶ台一個・リンゴ箱式箪笥と…
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小説「死ぬ準備」読み切り版

小説「死ぬ準備」読み切り版

霧社・首狩り族・「人止めの関」私が生きている場所は六畳一間である。狭いから大概のことは坐ったままできる。まるで潜水艦だ。なかなか便利だ。悔し紛れにいうのじゃなく老いて豪邸に住むのはアホである。固定資産税は高いし電気代も高くつく。その分大気は汚染される。いいことはない。

六畳一間は快適だ。歩けば二歩で壁に当たる。天井を突き抜けば先は空で無限の宇宙に繋がる。下は板張りの、今風にいえばフローリングだ。

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